雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

風ぐるま絹の永さよ葛篭よりほのぼの出でし袖柔らかき

2013-12-28 10:03:32 | Weblog


  朝早く起きて、狭いながらも楽しい我が家のお掃除をざっと済ませた。

  小鳥と暮らしているせいで、だいたい毎日簡単にきれいにする習慣。


  引っ越ししたばかりだし、そんなに隅から隅までの大掃除もまあ、と省略して今年のけじめ。



  今朝も隣の部屋でララとすずがうれしそうに鳴いている。


  この子たちのおかげもあって、毎日の彩りが賑やかになる。


  


  横浜で友人と今日会う約束。朝、ふと思い立って和服で出かけることにした。

  着物も袖を通してやらないと絹の命が生きないと聞いた。



  年末だし、ちょっと華やかに、また八十年くらい前の長羽織りを着ていこう。

  何十年も経った絹は、しんなりとたたみ筋が定まらず、手にやわらかい。

  風車の模様が、黄菊散らしの時にカラフル。昔の和服はなんておしゃれなんだろう。

  今のものも、もちろんすてきだけれど、こういう街着のセンスには眼をみはる。

  ちょっとめずらしい意匠かもしれないので、アップします。

  古い葛篭(つづら)から最初これを取り出したとき、防虫剤の藤沢樟脳か、それともこれを着ていたひとの匂い袋なのか、黴臭いようで香ばしい、つややかな昔の絹の匂いが残っていた。

  昔の藤沢樟脳は取り扱いに手間がすこしかかるけれど、いまの化学製品とは違って、ほんとによい香り、芳香がする。

  

 

  このブログの今年の記事はこれで終わります。

  御訪問くださった方ありがとうございます。


  

  昨日、『未来』の新年号が届いた。中で、昨年以来、ご近所ということもあって、親しくしている保田斐佐子さんのお歌を載せさせていただきます。

  言葉遣いや物腰に気取りがなく、上品で、いつもお召し物のセンスが独得、そんなすてきな女性の雰囲気を。



   荒波のこころにあらずふたたびの髪型ソヴァージュお洒落のつもり
  
   みづみづしくかはゆき絵らは囲みゐる室のまなかのひとつ飯釜


 さまざま、とりどりの心を託して短歌はうたいつがれてゆく。




 みなさん、よいお年をお迎えください




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水のうら何をか包む真珠母の幾重めぐりて珠となりにし

2013-12-25 10:47:23 | Weblog



  クリスマスプレゼントと誕生日プレゼントをいっしょに昨夜夫からもらった。

  ぜんぜん期待していなかったので、びっくり。

  わたしは真珠が好きだから、ゴールド真珠のイヤリング。これがお誕生日。

  コルトオのCDはクリスマスにと。

  今年の誕生日は、実家に帰るので鎌倉にいる夫とは別々だからと。

  真珠は、増渕先生のお店、アンティークアルフィンで。


  秋にたまたま立ち寄った一見のわたしのことを,先生も息子さんもよく覚えていてくださって、わたしにはこれが似合うと勧めてくださったそうだ

  こちらには、増渕先生のお選びになった、みごとな真珠の装飾品がたくさんある。


  真珠だけでなく、櫛笄、アンティークジュエリー、ビスクドールなどもすばらしい。


  それに、高価ではあるけれども、ふつうの骨董品店に比べたら格安と思う。


  お好きな方は,是非訪問なさるといいと思う。先生や息子さんとのいろいろなお喋りもたのしい。






  で、わたしのほうは、夫にリーガルの編みあげベルトをプレゼント。

  日常でもちょこっとおしゃれ心を失わないで、と。





  感謝を交換しあったイヴでした。


  それから、真珠の隣のボトルは、夫のお兄さんから。

  お花の香が甘く濃厚な、白葡萄酒。こっくりとしておいしいです。

  スペインのフロラリス・モスカテル・オロ。

  こちらにも感謝

  
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思い出のかたちは落葉裏側にこっそり耳と音符を残す

2013-12-23 14:21:56 | Weblog



  落葉に。










  今週は仕事おさめの訪問先になる。

  ていねいにお仕事して、みなさんに明るい思い出を残してこよう
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今日明日君の問など柊に飾りどうでもこどもでいいよ

2013-12-22 18:35:56 | Weblog


 クリスマスに
  
 ちょっとおふざけっぽいかしら。オノマトペで。















 あっというまに休日が終わる。今夜はこれから近所のbar10の一周年のお祝いに

 出かける予定。




 ここはお料理もお酒もユニークでおいしいのです




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冬の藤ながく埋めぬ海のあとの濡れた砂地にわたしを伸ばし

2013-12-20 20:28:15 | Weblog


  冷たい雨。都内では初雪と聞いた。


  こちらでは、傘を握る手が凍えるほどの霙もよう。

  だが、雪にはならない。






  堂園さんの歌集からいくつか載せさせていただく。



    僕たちは海に花火に驚いて手のひらですぐ楽器を作る

    地図めくる音がきこえるあなたからあなたからただ猟銃を買う

    明け方の夢の光を切り取ってあなたに渡すときの鳩たち



 


  歌集におさめられているすべての歌がみずみずしく思える。

  寡作の歌人とおっしゃるそうだが、言葉と言葉が一首のなかで響きあい、光っている








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白い傘に守らるるほど君のこと忘れて雨はわざとはみだす

2013-12-18 19:21:00 | Weblog


 今日も保田さんとお茶をいただいた。いつものとおり長谷ベルグフェルド。

 カルピスバターの厚切りトーストは美味しかった。


 カルピスバター、ご存知ですか? ちょっとお値段高いけれどおすすめ







 半日歌のことや世間のことをお喋り。

  



 お茶の前に、海岸通りの出版社「港の人」で、堂園昌彦さんの処女歌集を購入。
  
 『やがて秋茄子へと至る』
 
 ぱらりとめくって何首か読んだ。


   

 歌に流れている時間が静かで透明な印象。歌人の生きている時間の速度が、ゆったりと感じられた。

  主観的な印象だけど。



 心にとまった歌を、すこし「星月夜」にアップロードさせていただこうと思う、そのうち。





 

 たのしいお話や、心に訴える詩とのであいは、時間をリフレッシュしてくれる。










 

 
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スプーンにすくふ時間はお互ひの風船飛ばすイルカも仲間

2013-12-12 16:19:29 | Weblog



 先日、友人と食べた抹茶タルトセット。


 世間のざわつきや日常のごたごたを離れて、

 たのしくひとときを過ごせる相手がいるというのはうれしい。









 



 
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耳に触れちひさき鈴の絶えず鳴る宇宙の軌跡飛ぶや素粒子

2013-12-10 20:24:40 | Weblog


  夕方、5時45分ごろ、西南の空から北東にかけて、宇宙ステーションが通過。


  湘南ビーチFMから小耳に挟んだ情報。ちょっとときめいた。

  肉眼でも見えるそうなので、ベランダに出て空を見上げて待っていた。

 
  もう一番星、二番星の時間。雲が多かったのでどうかしら、と。




  でも、すうっと、雲間から光る物体。きっとあれだ!


  すごいなあ、宇宙を飛んでいるんだ、と感動。それがここから見えるなんて。


  いいなあ、宇宙から地上を眺めてみたい。





  きらきら光る点は、すぐに遠ざかってしまった。





  その感想。




  画像は記事とは無関係。


  夜明けの光景。冬景色。






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野宮になほ恋ひ添ふる光ありしと女人ほのめく舞ごろもかな

2013-12-09 11:46:42 | Weblog


  昨日、たまちゃんと水道橋宝生能楽堂に「月並能」を鑑賞。


  演目は、通小町、野宮、乱。 通小町のあとに狂言の佐渡狐が入った。

  


  たまちゃんはお能鑑賞は初めてというが、とても気に入ってくれた。

  



  この季節らしいきれいな番組で、衣装、能面、出演者、どれも楽しめた。

 

  源氏物語を素材にした「野宮」はとりわけてなつかしかった。
  原作でもこの巻は好きで、何度も読んだ。

  御息所と光源氏の再会と別れ。
  何度となく源氏から離れようと決意しつつ、結局御息所の恋情は切れなかった。

  のちのち、彼女は死霊となってまで源氏にまつわりつくのだが、この「野宮」巻では
おぞましさは皆無で、しみじみとした晩秋の情趣と、女人の気品、なによりも御息所に対する執着を断てない源氏自身の心迷いが、嫋々と描写される美文と思う。

  通小町でツレがかけていたのは「小面」だったそうだ。上演後フロアのスタッフらしい方に質問したら、丁寧に教えてくださった。

  野宮では尋ねそびれたが、わたしの半ば素人眼には、「小面」よりもうすこし玲瓏とした陰影の漂う、あるいは「増女」ではなかったろうか。


  シテの姿に白い女面が溶け込んで、うつくしい舞台幻想をくれた。


  最後は陽気で縁起のよい猩々の舞でしめくくり。

 
  年の瀬に、ちょっと疲れた心のお洗濯をした。





 この日は、祖母の手縫いの大島紬と、大正時代の長羽織を着ていった。

 紅色と白のデザインが今も斬新な羽織は、たぶん百年近く経っているが、まだしっかりとしている。


 着物の命は長い。百五十年は、ふつうに着られるのではないだろうか。

 羽織は今となってはヴィンテージ。染めも褪せず、縫いめもきちんと鮮やかだ。

 このごろではもうめずらしいかもしれないので、たまちゃんが撮影してくれた写真を恥ずかしながら掲載します。





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幾重にも少女の面くれなゐは鮮やかにたつ冬は炎(も)ゆらむ

2013-12-07 15:47:28 | Weblog



 クリスマスの赤に。



 それから能面の「小面」によせて。



 小面は、ふっくらとしたうら若い少女の顔。




 明日、お能を観るけれど、小面はたぶん使われないだろうと思う。どうだろうか。


 わたしは能面の中では「増女」の顔が好きだけれど。








 画像は先週、小瀬で撮ったもの。


 楓の深紅色がみごとだった。



 



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アルファポリス