雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

霜月の夢見は蒼し絢爛の帯耀いて巻く亡き妣(はは)の列

2010-10-31 20:01:20 | Weblog


 午睡の夢から。



 どこかの見知らぬ山の高み。田舎めく旧家、天井がたかい。ひろびろとして、もとは農家のような。


 何かの御法事。祖母らしい女性と参列。そこの居並びは、なぜか女性ばかり。男の人の姿は見えない。


 祖母らしい、と言ったのは、そのひとは現実のわたしの祖母ではないとわかっている。だけれども、夢のなかで、彼女はわたしの妣(おおはは)だと思っている。

 彼女は五つ紋の正装裳服。なのに、なぜか金糸銀糸の西陣の袋帯を締めている。


 周囲は彼女を賓客としてもてなす。御法事はどうなったんだろう?


 わたしは、彼女といっしょに、この家に泊まることになった。……。






 字あまりなうた、ゆめのかけら。






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冬なればいのちのあかり探りたき古楽逸らさずくれなゐ奏(ひ)いて

2010-10-30 19:45:05 | Weblog

 警報は解除された、とアナウンス。ほっとする。


 休日の今日はふりこめられて外出せず。おかげで、以前から積み残していたいくつかの課題が片付き、読みたかった本も読めたし、チェロにも触れた。

 湿気がひどくて、チェロの絃がしきりに狂う。ロココ音楽のデルブロワの組曲一番を気の向くままに弾き進めたが、しょっちゅう調弦。

 典雅だけれど、きっちりした端正な音楽なので、すみずみの音程が気になる。


 ゆっくりと時間をかけてお稽古できるわけではないけれど、音楽にひたっていると、心やすらぐ。その時間とそのあと、とてもたっぷりした気持ちになれる。


 寒くなってくると、あたたかい色味が好ましく感じられる。ハロウィンの南瓜はオレンジいろで、クリスマスのサンタクロースは真っ赤な衣装。

 
 音楽は何色だろう?


 フォーレはやわらかな薔薇色に感じられる。クリーム色とかローズピンクとか、オフホワイト、あかるくやわらかな中間色。

 デルブロワはもっとくっきりした色味に思える。


 音楽も、ひとそれぞれのこころの色を映すものだから……さあ?



 よしなしごとのつぶやき。








 

 

 
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胸開けて虚空生(あ)れゆく水荒れぬ海を待たずにも死んでもいいか

2010-10-30 12:22:47 | Weblog


 嵐、関東に上陸するかもしれない。


 暴風雨の警報が出た。




 生と死と。エロスタナトス。海岸はいまごろすさまじいだろう。防波堤を超えてしぶく荒波。それを眺めに行ったこともあったっけ。風に傘の柄が抜けてしまったこと……。





















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睫毛伏せて問はぬひとつは冬の雨あるひは嵐とならむ夜はどこ

2010-10-28 19:11:13 | Weblog


 台風。



 冬の嵐はすさまじく、奄美地方での被害、重なるとか。


 
 百年にいちどという大雨など、これも自然環境をないがしろにしてきた人間本位の営みへの報いかしらと思う。



 日常は、自分の眼の前鼻先のことを懸命にこなすばかりで、おおきな視野でものを眺めることを忘れてしまう。


 被災者の方々をいたむ。




 関東ではどうなるだろうか。もしも、自分の近親が、そんな目にあったらどうするだろうか?



 





 今日のわたしの日常のつとめは、ほぼ終わった。事故もなく。

 ちゃんとごはんをいただいて、あれやこれやを片付けすませて。



 感謝。

 



 
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おとなひは耳やはらかに聴きたまへ慕へば溶けて雫ひかるよ

2010-10-26 19:37:09 | Weblog


 もうひとつ。

















 
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はつゆきに触れざれそこに記しおく薄暮のやうな初恋ひのため

2010-10-26 19:31:44 | Weblog


 初雪の便り。




 今夜のつぶやきは、すこしあまったるいかも。


 感傷、追憶……じっさいの出来事でないにせよ、実景よりもせつなく心に刻まれている憧憬の「記憶」といってもいいし。


 湘南で雪景色はあまり見られない。そうして降ったとしても、じきに消えてしまう。

 由比ガ浜に降りしきった雪の無彩色の遠景は、この世のものとも思われない幻想的な記憶だ。そのときの渚の揺りかえしのりふれいんは、なお耳に残る。


 白いキャンバスに、ひとのこころはさまざまなものを想い描く。





 

 
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海に残す君へのまばたき一瞬はガラス砕けしごとき純血

2010-10-25 19:48:58 | Weblog


 少年に。



 




 
 通り過ぎてゆく季節の一瞬に。










 ふりかえる残像のあざやかさ。冬の海が見たいな…。







 今日も事故なく努め終えた。感謝。





 
 ……明日からとても寒くなるって







 
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手の動くさきへとこころはしらせて峠ひとつと手毬も越えむ

2010-10-23 20:58:11 | Weblog

 古風なうたいぶり、と我ながら思う。




 日常をしっかりと両手につかんで、自分のつとめを終える。今日は感傷の余地も、また余暇もないほどせわしなく過ぎた。


 かえりみれば、おおまかにこんな感慨。



 今両手を使って片付けている仕事のつぎには、なにをどうしよう、と考えながら体を動かしてゆく。どうしたら要領よく時間を節約して仕上げられるか、と。


 その合間合間にも、利用者さんの挙動に気をくばり、必要に応じてあっちこっちへ。



 いつのまにか、身と心が「現場で必要な速度」に慣れてゆく。利用者さんのためにはゆるやかであり、また突風のように駆け抜ける動きをしなければならないときも、ままある。

 せっかちでなく、のろのろもせず……。アタマのなかで、いつも次の仕事の流れをシミュレーションしながら、今日を終えた。


 疲れたけれど、わりあい芯はしっかりしている。それこそ綿みたいにぐったりする日もあるし、いろいろ。



 昼ごはんに、大急ぎで食べたおむすびがおいしかった。







 

 


 
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ふゆの海満ちてひそかにあふれくる片恋ひにしても岬の光

2010-10-22 20:38:40 | Weblog


 海のことをぼんやり考えていたら、こんなフレーズが浮かんだ。






 さしづめ立原正秋さんの「剣ヶ崎」など、思い合わせて。


 あれは夏の海かしら。初めて読んだとき、文体から怖いような切迫を感じた。



 放心していると、連想は心と記憶をめぐって飛んでゆく。






 晩秋から冬の海は、太陽のぎらつく反射からまぬがれて、たいらかな銀盤のように見えることがある。


 そのおおらかな揺り返しの彼方に逆光の突端。


 舳先のような心の先端。











 




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銀鼠(ぎんねず)の空をさびしみ寄り添へば霜月といへど血の明るむを

2010-10-22 17:53:24 | Weblog


 底冷え漂う空模様に。








 ひとそれぞれの体温のさりげない暖かさ。







 今日の海はどんないろをしているんだろう。空よりも低い鈍(にび)いろだろうか?

 それとも、微妙な夕暮れの微光を帯びて、薄いあぶらのような銀色だったろうか。






 渚に寄せるうしおのざわめきを、またしばらく聴いていない。




 ケアのあいまに、楽器にふれる。



 まるでアールヌーヴォーの曲線のように譜面に流れるフォーレのハーモニーのうねりは、波の造型みたいだ。





 



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アルファポリス