家内の掃除片付けをしながら、立作業に疲れると本を読む。この一週間は山﨑豊子さんの「白い巨塔」に入り、昨夜全5巻を読み終えた。「不毛地帯」もそうだったが、長編の重さを感じさせない。壮大な社会派小説とはいえ、基本は「最後はどうなるの?」式に吸引してゆくエンタメだからだろうか。
若い頃、ドストエフスキーに耽溺した時期があるが、どの作品も息苦しく深刻で、読んでいる途中で、もういや気がさす感じがあった。それでもカラマーゾフなどは、推理小説めいた謎解きの面白さと、無垢でかわいいアリョーシャに惹かれて最後まで、たぶん夢中で読んだ。
私は長編小説が好きだから源氏物語でも紅楼夢でも、とにかく最初から最後まで読み通す。
それにしても、山﨑豊子さんの作品には引き込まれる。
母が山﨑ファンだったので、甲府の我が家には、山﨑作品の文庫本版がほぼ全部揃っている。
今夜からは「華麗なる一族」を読み始めた。
「白い巨塔」は面白かったが、私の思考回路には単純すぎる偏屈な面があるので、前々からの病院嫌いに拍車がかかった気もする。もちろん、医師や看護師、医療介護従事者への尊敬は揺るがないが、欲に取り憑かれた人間て、いやだなあ、と感じてしまう。
ドストエフスキーやシェークスピア、テネシー・ウィリアムスなど、優れた作家は呵責ない視線を人間に向け、それを言語芸術化している。
山﨑豊子さんも。
さて、実家を掃除し始めて1週間近くなり、蜘蛛の巣と雑草だらけだった古屋はだいぶすっきりした。
それにつけても、家の至る所に祖母や母の面影が刻まれている。祖母はこの数日間に、2度ほど夢に現れた。
亡くなってから、25年近くなるのに。
87歳で亡くなった祖母は、臨終の床で母の行く末をうわ言につぶやくほど心配していたから、今夏、私だけ戻り、帰ってこない母を思って現れたのかもしれない。
夢に出てくる祖母も母も若い。
ネボスケ変顔のアクア💕
感謝。