“薔薇”
すがれたる薔薇(さうび)をまきておくるこそふさはしからむ恋の逮夜は
香料をふりそゝぎたるふし床より恋の柩にしくものはなし
にほひよき絹の小枕(クツサン)薔薇色の羽ねぶとんもてきづかれし墓
夜あくれば行路の人となりぬべきわれらぞさはな泣きそ女よ
其夜より娼婦の如くなまめける人となりしをいとふのみかは
わが足に膏(あぶら)そゝがむ人もがなそを黒髪にぬぐふ子もがな(寺院にて三首)
ほのぐらきわがたましひの黄昏をかすかにともる黄蝋もあり
うなだれて白夜の市をあゆむ時聖金曜の鐘のなる時
ほのかなる麝香(じやかう)の風のわれにふく紅燈集の中の国より
かりそめの涙なれどもよりそひて泣けばぞ恋のごとくかなしき
うす黄なる寝台の幕のものうくもゆらげるまゝに秋は来にけむ
薔薇よさはにほひな出でそあかつきの薄らあかりに泣く女あり
JINMOさんのブログ日記から。
芥川龍之介の短歌群を、引用させていただきました。
初めて知った。
濃艶な歌。岡本かの子と親交があったそうだけれど、このデカダンス、情感、独得。小説とおなじく、どこか病的だけれど、それが魅力でもある。
彼の歌をまとめて読んでみたくなりました。
知らせてくれてありがとう、JINMOさん。
彼のブログには彼の凄みのある返歌。そちらはご遠慮いたします。
好奇心を動かされた方、覗いてください。
直接お話する御本人は、やさしくて礼儀正しくってナイーブなかたと思います。
表現はすごいけど(ゴメン
つられてわたしも、つい詠いたくなった。
わたしはあんまりデカダンスには詠えないタイプと想うけれど。
エドガー・ポーの「リジイア」ふうに。
すがれたる薔薇(さうび)をまきておくるこそふさはしからむ恋の逮夜は
香料をふりそゝぎたるふし床より恋の柩にしくものはなし
にほひよき絹の小枕(クツサン)薔薇色の羽ねぶとんもてきづかれし墓
夜あくれば行路の人となりぬべきわれらぞさはな泣きそ女よ
其夜より娼婦の如くなまめける人となりしをいとふのみかは
わが足に膏(あぶら)そゝがむ人もがなそを黒髪にぬぐふ子もがな(寺院にて三首)
ほのぐらきわがたましひの黄昏をかすかにともる黄蝋もあり
うなだれて白夜の市をあゆむ時聖金曜の鐘のなる時
ほのかなる麝香(じやかう)の風のわれにふく紅燈集の中の国より
かりそめの涙なれどもよりそひて泣けばぞ恋のごとくかなしき
うす黄なる寝台の幕のものうくもゆらげるまゝに秋は来にけむ
薔薇よさはにほひな出でそあかつきの薄らあかりに泣く女あり
JINMOさんのブログ日記から。
芥川龍之介の短歌群を、引用させていただきました。
初めて知った。
濃艶な歌。岡本かの子と親交があったそうだけれど、このデカダンス、情感、独得。小説とおなじく、どこか病的だけれど、それが魅力でもある。
彼の歌をまとめて読んでみたくなりました。
知らせてくれてありがとう、JINMOさん。
彼のブログには彼の凄みのある返歌。そちらはご遠慮いたします。
好奇心を動かされた方、覗いてください。
直接お話する御本人は、やさしくて礼儀正しくってナイーブなかたと思います。
表現はすごいけど(ゴメン
つられてわたしも、つい詠いたくなった。
わたしはあんまりデカダンスには詠えないタイプと想うけれど。
エドガー・ポーの「リジイア」ふうに。
花が水がいっせいにふるへる時間なり眼に見えぬものもうたひたまへな
斉藤史さんから
今日いちにちのつとめは無事に終えた。
歌は短くて、あんまり(まったく)実用的ではないのだけれど、流れゆく日常の起伏を、いろんな彩りで飾ってくれる。あるいはうるおしてくれる。
心のそよぎ、ふるへ、ときめき……そんな瞬間を、くれたりする。
斉藤さんの歌も。
さはらか……さわやか、すずやか、さやか、すっきり、さらさら、はらはら……ニュアンスはとても微妙で口語ひとことではつたえられない。
古語でも、あまり見かけないけれど、すきな言葉のひとつ。ひびきも字面も。
暑苦しくない、うっとうしくない、という感じだろうか。これも源氏物語のなかでみつけた言葉。
源氏の側室(?)のひとり、明石上の髪のさがり端が、「さはらか」で「なまめかし」と。
明石上は、じっさいそんな雰囲気の女君だった。紫式部の人物造型は、さりげない形容詞のすみずみまで配慮されていると思う。
梅雨がまたもどり、大気は雨もよい、「さはらかに」こまやかに今日のつとめをと願う。
追)思い出したけれど、「さはらか」は、たぶん「さっぱりと」と訳されることが多いかも。
訳される方も苦心されることだろう。