雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

もの言はぬ夜空に落つる蜜のごと星となみだは素直に光る

2010-01-30 20:24:03 | Weblog


 夜に。































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手をとりてぬくもり分かつ母のごと添ふかりそめの小春びよりを

2010-01-29 17:30:28 | Weblog


 あたたかくうららかなまひるま。



 手をとって外出介助。


 わたしの手より、利用者さんの手はあたたかだった。




 相手の歩幅を測りながらいたわって歩く。



 そのひとの手は、まるで地図のよう。


 生きてきた時間のあかしが、筋目節目となって浮かび出ている。


 島影、大陸、回帰線。


 手相ではなくって、ふかしぎで誠実なそのひとだけの世界地図。



 わたしの手につたう体温。



 わたしの手もあたたかであって、と願う。




 手をつなぐと、そのひとのまなざしも、ふわっと和らいだ気がした。




 


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雨のしずく膝を濡らせり想ふこと海に還すとあなたを見やる

2010-01-28 19:46:22 | Weblog

 雨のあと。





 外出したら、あちこちすこし濡れて、いまは曇間からうすく月光。





 風のとだえて、しっとりした銀鼠いろの暮れがた。どこかでは、沈丁花のつぼみもゆるみそうなほのあたたかさ。




 日々、さまざまな想念にいろどられて時が過ぎる。



 わたしのこころを経巡った、そうした想いのいろいろは、やがてちりぢり。



 潮の気配を含んだ水滴のようにながれて……消える。



 海は、ここからはすこし遠いのだけれど、風向きと湿度で、磯の香りが昇ってくることもある。





 心のなかに潮騒。それは耳を澄ませばいつでも聞こえる。

















 
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オリオンの姿に眠る春の夜のゆめ星淡く責められるかな

2010-01-27 20:58:43 | Weblog



 星曇りの夜に。




 オリオンは、こんな夜でもくきやかに光る。




 季節はうつろい、半球はすこしづつ春めいて……そこかしこ、動き始めるような。


















 






 


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陽に晒し風みづさらしあかあかと家事に介助に使ふ手指や

2010-01-26 20:48:43 | Weblog

 あわただしく、また一日を終える。



 ふと手を見る。朝から晩までよくはたらくなあ、と思う。



 今のケアワークは、それほど厳しい環境とは言えないけれど、やはり、家事だけよりも手は酷使すると思う。

 先日、宅配業者から、荷物を受け取ったら、その男性の手には、空手を相当にたしなんでいる証拠のタコが、手の甲にくっきり。

 あ、カワラを割る人、と思った。肉の厚い、頑丈な手をしていた。

 がっしりした体型、いかり肩。ことばづかいはごくおだやかで、普通の労働者にしか見えない。

 けれど、彼の両手は、雄弁に彼の日常を明かしてくれた。

 趣味だろうか? それにしては、この空手ダコはすごいな……とわたしは感心してしまった。



 わたしの手は、ちょっと恥ずかしいかも。

 ケア先で、介助するわたしの手を見たある利用者さんに、言われたことがある。

 「まあ。はたらきものの手だわね」

 わたしもよ、とその女性は、しっかりしたご自分の両手をわたしの眼の前にそろえて見せた。

 今のわたしは、まだ、ちょっと自分の手を誇れない。


 たどたどしく始めたケアワークの中で、手あれを庇ういとまもなく、水をくぐり、利用者さんを支え……などしてきた。


 ワーカーさんはみんなそうだと思う。

 介護の世界で、「やさしい手」のひとたちはみんな手あれに悩んでいるみたい。

 昔から、家事炊事などは、まめにこなすほうだったけれど、今のいそがしさとは比較にならない。


 長いともだち、手。



 よくお手入れしよう。




 よしなしごと。








 画像は、メーダ・プリマヴェージ。


 利発そうなまなざしの……人生の扉を開きはじめたばかりの少女。

 クリムトも、こんなまっすぐな溌剌を描くのね、と思う。

 


 
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静かなるいたはりありて告げぬものまなざし逸れる愛のごとしも

2010-01-25 19:45:44 | Weblog

 また。














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水ならば透度見ゆるやうつそみはあたたかきゆゑに謎深むものを

2010-01-25 19:35:51 | Weblog


 ひとりごと。






 






 自問自答のような。ふっと。





 

 




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ちひさきもの片付け終へて家ゐして半月の向こうは見ずに玉葱の丸煮

2010-01-24 20:23:30 | Weblog


 いちにちの終わり。




 かんたんなレシピで、玉葱をまるごと、薄口のお出汁で、ことこと煮込んだ。


 なにかの片手間にできるから、煮物は便利。


 あちこち行ったり来たりしながら日曜日。


 それでも今日は、かなり自分の時間が持てた。


 玉葱は上手に煮あがった。


 ごろんと大きめに人参も添えて。高野豆腐など。





 なんとなく、今日一日のぜんぶが、この煮物にかたどられている気がする。


 お月様は半月かな……。




 忙しく、静かな休日だった。












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生(あ)れしまま水滴含む飾らずに佇(た)つ湯あがりのこの日美(よ)き哉

2010-01-22 17:43:33 | Weblog


 あっというまに、もう週末。



 ふぞろいだったかもしれない日常。できたこと、できなかったこと。



 さまざま思いながら、ほっと息を吐く。



 明日は、また明日のこと。

 まだ今日の片付けごとは残っている。



 一歩、一歩踏みしめてゆく時間。その実感。



 ささやかなこと、ケアでも、ほかのことでも、昨日より進歩があると思うとうれしい。



 ドラセナさんは、一週間咲きつづけて、まだ今夜も花をつけてくれた。


 室内にかけておいたあれこれの繊維に、彼女の匂いがほのかに浸みている。


 
 ナチュラルで不思議な贅沢……。



 



 
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ひめやかに匂ひ立たせり告げぬもの深さ我のみ知りて過ぐす夜

2010-01-21 19:54:43 | Weblog

 忘れてはうち歎かるる夕べかな我のみ知りて過ぐす月日を

                                         式子内親王








 夜に、ふと。









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