一泊で実家に戻ってきた。母の介護認定更新の担当者会議のために。
母は前回と同じく要支援2。他に何かの特別な公費負担が使えるとのこと。
気丈なひとなので、生活はほぼ完全に自立、認知症状もなし。
透析だけ大変だ。でも、まあ、この程度でよかった、ということかしら。
帰りにデパートに寄って、母はわたしに雛人形を買ってくれた。びっくり。
伝統工芸士の手になる作品で、男雛と女雛の対、立雛。
来週届くとのこと。
わたしが生まれたとき、両親は七段飾りを揃えたのだが、それは母が重症で身のまわりを整理したとき、やむを得ず片付けてしまった。
鎌倉に引き取るために、仕方がなかった。わたしはとても悲しかったが、数えで五十歳になる今年、あたらしい美しい雛人形が来る。
うれしい。
数えてみれば空恐ろしい気もする、五十歳。知命の世代に入って、わたしはこの年齢にふさわしい落ち着きと心の広さを身につけたかしら。
円熟してゆきたいと思う。
で、さて。
「さゆらもゆらに水晶虹彩」に「タマゴ・ダンディ」をアップしました。
大晦日から正月にかけての時間を物語ります。
身体介護の世界を描いて、きれいごとではすませたくないので、ややきつい描写も加えた。
この小説のなかでは衝撃的な情景かもしれないが、巷のいろいろな「介護日記」「記録」の出版物には、はるかにシビアなミゼラブル、アクシデントが綴られているはずだ。
老いて、衰弱してゆくひとたちに、誠実な介護者はどんなふうに接しているか、想像していただきたいと願ってのこと。
ヒロインの茴は不惑になってもまだ夢見がちで、いろいろアンバランスな「婆ちゃんじょうちゃん」なのだけれど、まっすぐでユーモアのあるいいケアワーカー、と設定している。
御批判は謙虚に受け止めます。
お楽しみいただけましたら。