雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

さへぎらぬうたげのやうにかたらひて肉体のちに満ちる月光

2009-10-27 14:07:35 | Weblog


 三日夜の夢時間を過ぎて。



 


 現在と、過去の間にくきやかに曳かれたすこやかな曲線。



 虚構のロベルトは遊星軌道をめぐり、わたしは規則正しい地上時間へ降りる。



 芝居のあと、よく感じたこと。

 一人芝居ばっかりだったからか。


 語り続けた厖大な台詞のほうが、わたしの肉体などより、はるかに質量が大きくて、演じている最中、ふつうの「肉体感覚」が消えてしまうようだった。


 だから、終わった後、我に帰って、あ、ここにわたしがいる? と自分がそのままそこにいることじたいが不思議な気がしたものだっけ。


 血の通ったうつそみの自分がいる。


 日常がある。






 今度は、以前のように浮遊してはいなかった。

 舞台幻想の中に浮んでゆくロベルトを、わたしはちゃんとみつめながら演じた。



 でも、終わったあと、ちょっと、わたしのからだにも、月光が残っていたかも。


 月をまわって還ってきた感慨。












 画像は、ラトゥリエのらんぷ。

 オーナーの御厚意で、さまざまな小道具は、すべてアールヌーヴォーのほんものをならべていただきました。




 
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喪ひしものゆゑ追憶あかるめりきらめき透る秋はやさしく

2009-10-15 16:12:24 | Weblog


 落ち葉に。




 いつのまにか、あたりの桜の樹々、すっかり落葉していた。



 かわいた大気。



 そうしてあさっては、たぶんもう雨。


 
 そのくりかえしに、晩秋へとうつろうてゆく。




 一日、ふっと、時間のすきま。まひるの樹を包む光と翳の印象。



 枯れ葉を落とした枝たちは、いっそかろやかであかるい。



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ゆめのあとさき知りつくしにきぬばたまのサテンの月に透けむRoberte

2009-10-10 16:17:18 | Weblog


 午後いっぱい、納戸をひっくりかえして衣装さがし。



 どこにしまったろう、と考えても思い出せないほど、永かった時間のようなのに。

 あんがいすらすらとあれもこれも見つかって、よかった。



 あのころより、わたしはすこしふとって、どうかなあ、と心配したのだけれど。


 

 うすもの。

 ふだんほとんど着ない黒。サテン。ダンスシューズ、それにピンヒールなど。








 いつも言い聞かせてきた。

 その日、そのとき、できるかぎりのことを、と。


 今は、あのころよりもっと世界がひろがったから、ロベルトをみつめるまなざしも、演ずるための心構えも、多面的になった。


 それは、介護というおしごとのおかげと思う。


 あっちもこっちも同時に気をくばって、たてよこのつながり、いつも念頭に置く。


 どんな生活のシチュエーションの中だって、まなびとれるものがあった。


 永くてみじかい、たった数年。



 


 おいでくださるお客様に、たのしんでいただける舞台にしよう。


 「……女は月をまわって還ってくるだけ……

  うちがわのそとがわ……」


 衣装をならべて、ふとうたいたくなったことなど。




 日常の向こう岸の思い出。


 
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立体を離れて海へ向く朝な自在なるまま水を光らせ

2009-10-10 08:40:52 | Weblog


 秋の海へ。






 なにかあると、海が恋しい。なにもなくても。


 それはほんとに切実な感情。なぜだろう?


 こまごました日常を離れて想うこと。





 でも、今日のいろいろは、ちゃんと済ませよう。

 ひさしぶりの朝の歌。とりとめなくって。













 海は、ただこころのなかで想っているだけでもいいのだけれど。

 




 静かな、すこしつめたい朝。今朝の海は凪だろうか?

 

 
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半身は鳥また魚天球と水に離れずされど恋びと

2009-10-07 19:53:34 | Weblog


 くちずさみ。




 名無しさんの御訪問、うれしくって。



 この画像は昨日アップして、また削除したもの。


 歌がなんとなく気に入らなかったので。





 それだけのこと。






 


 
 
 
 

 
 





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風に鈴振りつつ踊る花野には狐のしっぽかくさずふわり

2009-10-01 09:40:18 | Weblog


 雨のあとのきれいな朝。






 もうじき十五夜。川の土手、山辺には穂薄ふくらんで揺れる。

 
 秋の野原、狐などひそんでいそうな、なんて空想はふるいかな……。


 昔は、動物たちが人間に化けてあらわれ、異種がまじりあい、いろんな物語を生んだ。

 狐妻などもそのひとつ。雀のお宿、とか。いまどきのこどもたちは知らないだろうな……。






 日本のアニミズムは、こわいものではなくって、人間に化生した精霊たちはかわいくってスグレモノだった。

 彼らが、人間界から、また精霊世界にもどらなくてはならなくなるのは、たいてい人間のほうがよこしまだから。


 水木しげるさんの『ゲゲゲの鬼太郎』など読むと、そうよね、と納得しきりだったっけ。


 これら↑は、いつもの、主観的な根拠の??よしなしごと。


 ひさしぶりに、また一人芝居をいたします。


 『ロベルトは今夜』今月の23、24、25日の三日間連続の上演。

 http://www.ac.auone-net.jp/~neige/information.htm

 
 声やしぐさなど、以前のロベルトよりもっと洗練させて……と考え。

 



 この数年、わたしなりに模索し、深めてきた人生経験。

 味わったさまざまとりどり。



 それらが、虚構の舞台に昇華されたすがたでロベルトに反映できれば、と願っています。


 お客様に楽しんでいただけるよう、お稽古の日々です。


 御光来くださいましたら。








 


 


 

   
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