徒然草の。
うろおぼえだけれど「九月二十日の頃」
夜中に、たぶん愛人を見送った女人、そのあとも、妻戸をすこしあけて、ひとりで残りの月をながめていたというくだり。
月を眺める彼女の余韻を、兼好さん、愛でていた。
日本の古典文学、月を眺める、という記述がたくさんある。
それぞれが、どんな思いを託したんだろう。
ぬばたま、という枕詞。
月、夜、髪、黒などにかかる。
つややかな言葉の親和。
霧雨。風が吹いて斜めの雨脚。
傘をさしてもそこはかとなく濡れ、ささなければ、なおつめたい。
厚い雲の動きがはやい。
雨雲がそのまま地上に降りてきたような大気。
ひんやりと一日が過ぎようとしている。
放心すると詠いたくなる。そうして気持ちが、次の節めへときりかわる。
やがて玲瓏の歌会。その日は晴れるらしい。
夏の着物でいこうか。
六月は、きめごとではまだ単の季節だけれど、天気によってはわたしはさっさと絽を着てしまう。
お能を観るとき、それから歌会と、これは和服でいきたいところ。
緊張するわけではないけれど。
和服の好みと、短歌についての定型志向、つながっているかもしれない。
それにしてもいそがしい日々。
わたしのこころがけ次第で、日常のなかから、いろんなことが学べる、という。