秋晴れに。
実家から桃が届いた。敬老の日に花籠を贈ったので、そのお返しだろう。
りっぱな桃。そんなに気を使わなくてもいいのに、と思っていたら、昼間母から葉書。
きちんとした楷書で「ありがとう」としたためてある。筆跡にみずみずしさが戻っていることに安心。
贈った花籠で「心が明るくなるね」と書いてくれた。
その一言がうれしい。
数日、彼女は風邪気味らしい。そんな体調の中で、果物を送ってくれたのか、とほろりとする。
夏と秋のさかいめの一日。風足が午前と午後で変わって行った。
十月にまたひとり語りをいたします。
今回はお三味線との奏きがたりで、泉鏡花『草迷宮』です。
細棹ひとり語り『草迷宮』
向こうの小沢に蛇(じゃ)が立って、
八幡長者のおと娘、
よくも立ったり、巧んだり、
手には二本の珠を持ち、
足には黄金の靴をはき、
ああよべ、こうよべといいながら、
山くれ野くれ行ったれば……
亡き母を恋いつつ、逗子海岸の化け物屋敷に迷い込んだ少年葉越明。
物語を紡ぐ幻想はきらびやかな手毬歌、美女と妖怪、そこかしこにいろとりどりの球体幻 想の乱舞。
「一木一草に鬼神力と観音力ともに相宿る」と観じていた鏡花の華麗な汎神世界を、
ゆるやかな細棹の調べに乗せて、雪香が語ります。
10月19日(土) 17:00~ 2000円(葡萄酒一献)
10月20日(日) 15:00~ 2000円(葡萄酒一献)
いずれも予約問い合わせはラトゥリエに(03-3486ー5343)
小鳥は、こちらの心の動きに敏感だ。いっしょに暮らして実感する。
たぶん動物たちはみんなそうなんだろう。
今年の秋は、いろんな分野の本をたくさん読もうと思う。
書かれていることの向こう側を想像しながら読むと、読後感がたっぷりする。
そういうときに限って、感想はすぐさままとまらない。時間の変化とともに、色合いは変化してゆく。
だから、速読というのは、ちょっと苦手。
読書の秋にしよう。
森と海、夏を送る恋歌として。
八月の末に、ミクシイで知り合ったたまちゃんが鎌倉に遊びにきてくれた。
鎌倉文学館、長谷寺、大仏などをゆっくり歩き、いろんな話をした。
文学館の庭園は緑陰がすばらしく、真夏の陽射しと初秋の蔭と、潮風の気配がいりまじり、とても気持ちが良かった。
正面からは由比ガ浜の入り江がひろがる。
風の荒さに、波の刻み目もとがり、白く際立っていた。
その木洩れ日をあおぎながら、想ったこと。もちろん、架空のことだけれど。
今年も暑かった。
異常気象による惨事のニュースは、各地に多い。
被災された方々の回復を願います。
画像は大仏で。