雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

爪先へ時のかそけき違和おきぬ月昇るしづかに顔をそむけて

2010-07-28 19:20:47 | Weblog



 どこかで花火大会。

 大気に響く打ち上げの音が、遠く、くぐもって聞こえる。



 江ノ島かな、逗子かな……。






 今夜の月はまだ東の山に隠れて見えない。


 昨夜の十六夜より、もっとあちら向きに影を含んでいるだろう。



 
 日々こまごまと過ぎてゆく。




 できたこと、できなかったこと。


 とにかく今の私に適うぶんのことは済ませている。



 そう思って、納得して眠ることにしている。







 歌はおりふしの、ささやかな息抜き。




 過ぎ行くおだやかな日々と時間に感謝。



 打ち上げの音に興奮してか、どこかの犬ころが吠えている。こわがっているの?


 明日の夜明けには、またひぐらしと明烏。







 









 
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月光の凪寄る母はきらきらと臍の緒葡萄の幻影保(も)てり

2010-07-27 21:01:59 | Weblog

 海月、という単語を思い出して。



 今、夜空には、たぶん十六夜の月が昇っている。



 きれいな光りが、周縁の雲に映って、やわらかく白くなびいているのが見える。



 ふと浮かんだ言葉のいくつか。



 くらげ、海月、水母、葡萄、……。


 葡萄をモチーフにした短歌は、葛原妙子さん、迫力の在る作品あまた。



   たれか投げし命綱あり きらきらと葡萄實れる空に光りぬ


 この幻視は、こわい。


 命綱って、たとえば臍の緒のことかしら……。


 それで、このつぶやき。



 月影映る海が見たいな……。























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夕涼(ゆふすず)のそら満つ風のうつそみはまぼろし脱けて末摘アリス

2010-07-26 18:06:40 | Weblog


 たそがれに。



  なつかしき色ともなしに何にこの末摘花を……

  
 源氏物語から、だけれど、薄朱にきんいろが混じる空の明るみはきれいだ。

 末摘花いろ、かな……?




 どことなくおさなげないろどり。







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うつ伏して影煽らるる金属のドームみなぎるごとき熱帯

2010-07-26 13:43:44 | Weblog

 ひるにもどって。






 部屋中の窓をあけて風をいれる。




 外気と自分の体温との違和感が感じられないような真夏、まひるの。



 空調は苦手なので、なるべく使わないようにしている。





 熱のひく夕風が、いつも待ち遠しい。



 でも、この凄い真夏(朱夏、という言葉がぴったり)の熱風に煽られて、放心するのも、ときには悪くない。

 もちろん、ときには、だけれど。




 ケアひとつすませ、すこし横になって体を休ませる、ほんの30分くらいの仮眠を、なにか、夢うつつのもったりとした質量が、大気と同じ温度の脳みそを通り抜けてゆくようだ。


 眼が覚めても思い出せない。




 自分をおしつつむ世界の暑さは、今、金属の板みたいにぎらぎらしている感じ。








 水たまりのように、あちこちの軒で揺れている風鈴の音が、遠く、近く聞こえる。


 
 


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なめらかに糸吐くやうな呼吸せむ夏よりあはす蜘蛛に吹かれて

2010-07-24 12:31:27 | Weblog


 暑い日が続く。




 お野菜がすこしは安くなるかな……。

 ここは湘南とはいえ、山辺のほうだから、地野菜など、すこし奥まった小道や、農家の軒先で無人露天の棚店に売られていて、それはとても新鮮でおいしい。


 のどかに、お金を入れる木の箱がおいてあって、店番のひともいない。


 市価の半額くらいだ。すこしふぞろいだけれど、とりたての野菜の肌はぴかぴかしている感じ。


 おかしな表現かもしれないけれど、きれいな土の味がする。

 でも、そこへ通うのは、ちょっと遠くて、つい近間のスーパーへ足が向く。

 陽射しが照りつけるので、たまの休日の昼ひなかの外出は、つい億劫。

 



 午後になってようやく風が出てきた。


 わたしの部屋には、小指の先よりちいさい、かれんな小蜘蛛が以前から棲んでいて、こうしてパソコンに向かっていたり、勉強机や食卓の近くで、汗をかいていると、ふいにフワッと現れる。

 人間に対して、ぜんぜん警戒心がないみたいだ。

 全身黒くて、よく動くくちばしだけが白い。モノトーンの愛嬌者。


 何年も前からいる。たぶん、代替わりして、先祖代々なんだろう。


 蚊を食べてくれるのかな……でも、ここらへんの薮蚊はかなりおおきくて、蜘蛛太郎氏より逞しかったりする。


 たぶん、ドラセナに付く虫を食べているんだろうな。


 宙に浮かんで、空気の動きのまま、ふわりと彼は視界から消える。


 彼のからだを吊っているはずの、透きとおった糸は見えない。




 よしなしごと。





 ひるのひとやすみ。










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いつしかと夕べ漂ふ風のまま還れとどこかに月の裏側

2010-07-22 16:06:34 | Weblog

 めまいがしそうなほど暑かった。









 真夏の明暗濃い街を、ほんのすこしでも歩けば、まるで自分の影を切り取りながらあるいているような気がする。


 じっとしていても、知らず知らすしぼるような汗。アスファルトの陽炎がくるめいていた。



 そんなあららかな感覚を歌いたかったのだけれど。……。





 いつのまにか夕暮れ、もうじきまたひぐらしが鳴きはじめるだろう。



 また、静かな歌。つぶやきになった。










 これからもうすこしやるべきことがある。





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ひとたばのふさのごと今日しまひ終へて水消さむ月あかり射す寝床に

2010-07-20 20:15:26 | Weblog

 あわただしくいちにち終えた。




 できることは、今日も済ませたと思う。



 月明かり、外では透明だ。





 海辺はきれいだろう。波音が聴きたい。







 とにかく、悔いのないようにと思って、過ごしている。













 
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風の圧(お)す鈴野より夏明けゆけり夢の水際にのぼるひぐらし

2010-07-20 11:05:02 | Weblog

 夜明けに。









 昨日のゆうぐれ、ひぐらしの初音を聞いた。それはすぐ近くだった。どこだろう?

 どこの木立に?


 宵の空にはかたはれのおぼろ月。うすいろの雲間に、ゆらりと光って。

 

 


 


 そして、夜明け。



 
 遠く、はすむかいの、どこかの山辺で、ほのかにまたひぐらしが鳴きだした。

 ちょうど、目覚めたころ。





 昨日のひぐらしだろうか。










 今日も暑い。







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塔のごと水はすずしき音(ね)をそらに胸くつろいでうすものを着る

2010-07-19 12:32:01 | Weblog


 午前中、おつとめおわり、ひとやすみ。




 風がすずしく吹き抜ける。まひるなのに、薮蚊にさされてしまった。



 蚊取り線香、風鈴、お扇子、それから、目のすこし荒い、レース網ふうのブラウスやカーディガンに日傘


 麻の帯、絽や紗のきもの、街をゆきかう和服の女性は、ほんとにすっきりとすずやかに見える。

 ……夏のこまごまとした生活用品は、ちょっとしたものでも、さわやかな風情があって好き。



 あちこちで花火大会。







 夏、ことに真夏はきもちがまっすぐに天空に昇っていくみたいな感じがある。


 今日のような、真っ青な夏空へ。





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夏服を透くや風追ふ草のみち汗散らす影は鳥と化(な)るかも

2010-07-15 15:31:20 | Weblog


 真夏の光りが、まばゆい湘南。


 あちこちでは、梅雨の終わりの大雨、洪水。たいへんなことだ。



 これ以上被害がおおきくなりませんように、と願う。






 影濃いまばゆい夏の道をあるいて往復。短時間にちがいないのに、汗が流れる。





 突風のような風が雲をおしあげて吹きぬける。 夏だ。 道端の草陰がざわめく。





 くびすじをつたう、いくしずくの汗、空渡る風に散ってゆきそうな、とはわたしの空想で。








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アルファポリス