雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

玻璃いろの雨去りぬ君濡れずとも激しきもののあらば耀く

2021-10-31 21:23:00 | Weblog

 晩秋の雨に。

 「興亡の世界史 通商国家カルタゴ」読了。

 私は古代屈指の名将ハンニバル・バルカのファン。この平易な教養本も興味深く読めた。塩野七生さんの大作「ローマ人の物語」の中の「ハンニバル戦記」と比較しながらの読みだった。

 小説ではなく、どちらも学術だから、天才ハンニバルの内面を想像、解説しないので、快適だ。
 塩野氏の方が読みやすいかもしれない。こちらは国家カルタゴが主題、主人公なので、2人の学者の視点は地中海都市の抱える国際的な政治経済宗教歴史、と常に多面的に忙しく動く。
 
 


 
 ハンニバル・バルカの全生涯を映画化したものはないようだ。もし製作するなら、エリザベス・テイラーの「クレオパトラ」級のスペクタルになるだろう。
 「クレオパトラ」はすばらしい役者たちが揃ったが、ハンニバルをエンタメ映画化するのは難しいだろう。戦う男たちだけの世界だから。変に色恋を脚色して添えると、レベルダウンしそう。

 


 油彩  ハンニバル・バルカ

 F8号

 彼はなかなかのイケメンだ。

感謝。

 
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秋の陽を布団に集めふくよかな新米のごと夢にもぐりぬ

2021-10-30 18:58:00 | Weblog

 何ごとも無く、淡々と一日が過ぎる。

 多少また、体調が良くないので、今夜は早々に布団に入った。晴天に干したので、ふっくらとお日様の匂いに包まれる。まさに至福(^∇^)

 
 毎晩夢を見るが、夢の中の私はたいてい20代後半から30歳くらいのようだ。そしてたびたび、いくつか年嵩の女性の友人が現れる。しゃきしゃきした感じの人で、夢の中ではウロウロぼんやりしている私に何かと気を配ってくれる。


 彼女は、ユング心理学では、私のシャドーということになる。


 今夜はどんな夢をみるだろう。

 煩雑のない穏やかな実家の世界こそが、夢のようだが。

 




 感謝。



 
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繭のなか緩き光にのびのびと猫の表情優しくなりぬ

2021-10-29 20:53:00 | Weblog

 静かな日だった。

 実家をほぼ整理し、毎日穏やかで気持ち良い。館山から連れてきたアクアも最初はびくびくしていたが、今ではすっかりリラックス。

 こもっていると、時間が止まったような感じがする。

 

 
 油彩  手の聖母子。M6号。

 神に感謝。

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青空に君のまなざし捉へむと諸手のばせは羽となりたる

2021-10-29 08:31:00 | Weblog

 青空に。

 私は空がだいすき。




 油彩ゆふまどひ。鉛筆下書き。


 全てに感謝。



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あらざらむこの世のうちにほのぼのとガラスを揺する君のいますか

2021-10-28 20:46:00 | Weblog

 言霊、という信仰が日本にある。

 若い頃には、それはただの知識だったが、還暦も近い今になると、実感を伴って畏怖を帯びる。

 自分を含めて周囲さまざまな遍歴を俯瞰すると、とてもしばしば、口から出た言葉が、当人の未来を引き寄せている現象を見るからだ。パフォーマンスが未来を予告する。

 言霊に畏怖を感じると、歌言葉でも以前のように大胆な超現実を作れない。現実を覆し、あるいは打撃、刺激を与えて、意表を突く短詩は、成功すれは磨かれた宝石のように美しいが、凝った奇抜さは、フォークロアの素朴な視点から眺めると、首をひねる。

 とはいえ、私は口語短歌を好まない。わかり難くても、現実とは一線隔てる雅語が良い。

 


 ラファエルロのデッサン。


 感謝。


 
 
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白粥に願ひを託すかるがると匙を運びて思ふいのちや

2021-10-27 20:09:00 | Weblog

 今朝からまた、失調。

 多少でも具合が悪くなると、酸素のように日常の健康がありがたく感じられる。今はひとり同然で甲府にいるから、ことに。

 若さも健康も、有りあまる平和な青年時代には感謝が難しい。今は自分自身、いくつかの大病を経験し、癌と腎不全の老母を世話したので、その価値が切実に思える。

 夕ご飯は白粥。食欲が湧かず、お菜が食べられない。だが新米のお粥は美味しい。

 


 それでもチェロの練習はした。乾いた空気で、楽器はよく鳴る。

 感謝。

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秋の陽は静かに照りぬガラス越しにまひるま君の星空となれ

2021-10-26 21:41:00 | Weblog

「二つの祖国」全4巻読了。

「不毛地帯」と同じくらいに衝撃的な読書体験だった。ただ面白かった、だけではなく、知識、情念、歴史、社会正義と倫理、
さまざまな要素が濃密に重厚に織りなされていた。満足だし、賞賛するために充分な言葉が見つからない。

 3巻では、広島の原爆、4巻では、東京裁判という巨大な歴史的人間模様が、物語の流れにすっぽりと嵌め込まれ、前後に違和感がない。  
 しかも膨大な資料を緻密に駆使して、ノンフィクションさながら、大戦昭和史を再現している。
 大事件を主人公天羽賢治のストーリーに織り込み、それが味気ない記録ではなく、エンターテイメントの感情移入スタイルに精錬されている。作家のすごい力業だ。

 あまりに感動したので、私はうまい感想文が書けない。

 山﨑作品は主人公をハッピーエンドで終わらせない傾向があり、これもそうだ。眉目整い、まっすぐな正義漢、体力知力才能に恵まれた日系二世の天羽は太平洋戦争の動乱を懸命に生きた。が、最愛の恋人を原爆に奪われて、次第に精神崩壊してゆく。

 主人公の悲劇にも関わらず、侘しさ悲しさよりも、大きな満足感がある。普通は悲劇を読むと、私は読後に寂しくなり、可哀想で、がっかりしてしまうのだが、山﨑作品にはそれがない。

 それでも多少物足りないところもあり、天羽の妻エミーが、単純に悪妻に仕上げられているのが残念だった。二世の美人でグラマー、派手好き、短慮、わがまま、無神経。ストレートに言うなら、女らしい欲望に忠実な女だから、もう少し可愛く描いても良かったのではと思う。典型的な悪妻過ぎて、ちょっと作り物めいたキャラクターになってしまっている。

 これは主人公天羽についても感じる。欠点のない好男子で、思慮深く、愛情深く、正義感が強い。読みながら「こんな人、現実にいるの?」と思ってしまった。
 
 が、ともかくすばらしい作品だから、今の私の読みでは浅いに違いない。また読書体力を新しくして、再読したい。

 


 良い日だった。感謝。

 
 
 
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冬の雨やはらかに濡れて冷ゆるとも君を想へば守歌のごと

2021-10-25 20:40:00 | Weblog

 雨音に。

 




 今朝、土鍋で黒米入りのご飯を炊いてみた。白米とは違う風味、歯応えがあり、おいしかった。

 ひとりごはんは、ゆっくり自分のペースで食べられる。

 


 
 ペンドローイングの聖母子。


 神に感謝。


 


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冬の葩は天より降るを逢ひがたき小説のごと君なつかしむ

2021-10-24 22:08:00 | Weblog

  初雪に。


 母の手習いろいろ発見。


 






 母は絵もなかなか上手かったのだが、それは残っていない。今のところ見つからない。色鉛筆で中原淳一の模写や、風景など時々描いていた。

 昨日から風邪気味だが、今日も静かな日だった。


 感謝。

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あれを片付けこれを済ませて暖かい布団に眠る幸せな一日

2021-10-23 21:22:00 | Weblog

 母の昔の写経がどっさり出てきた。
 習字が好きな人で、幼い頃から達筆だったから、さんざん周りから勧められたのに書の道には入らなかった。

 


 それにしても骨の揃った楷書で全部の文字をきちんと書いているのには感心する。膨大な束をざっと眺めたら、一枚ごとに日付があり、約10年間に書き溜めた清書らしい。

 いろいろ難しい母子関係ではあったが、
やはり自分の親だから、誇りたい気持ちがある。この人がいなかったら、私は存在しない。

 




 歴史が好きで、山﨑豊子をほぼ全巻愛読し、書道に親しんだ母。

 この写経の束を何かの形でオブジェにしたい。

 感謝。



 
 


 

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アルファポリス