今日の最高気温は15℃とか。桜開花すんぜん?くらいかしら。
段葛からすこし昇ったさかみちで、紺色の大島紬を着た女人を見た。
ショールも道行きも纏わず、うなじもあらわなすっきりと長着姿。
さわやかでした。
明日は何を着ようか、と迷っていたところ。地方だから、目立つ必要はないのだけれど、あまり地味でも……とつおいつ。
白鳥さんとは初対面なので、彼女の衣装がわからない。いずれこのひとが華なのだから、三味線弾きは、なんでもいいかといえばそうとも言えない。
マチネでも、ひとさまの前にでるときは、やわらかものを選ぶのが常。
でも、今日の大島の女人のきりとした着付け姿は美しく見えた。
ふと、塩沢紬が着たくなる。藍染。帯と半襟ですこし明るさを出そうか。
和服を着ると、しぜんに背筋がのびる。
……それが紬ならなおさら。
十字架の道行き第四回。
キリストの苦痛を目の当たりにして、ふたりのマリアは、一瞬でも顔をそむけたいと思ったことはなかったんだろうか。
自分の心の痛みにたえかねて。
踏みとどまった女人たち。