風邪で昨日今日とストレスなしに過ごしている。
体質上、市販の風邪薬が飲めないので、自然治癒。
また絵を描き始め、それもほんとにのんびりとした描き方。気晴らしにと。
このすきまの時間にまた色のことをまとめておこうと思う。
重ねて申し上げるが、わたしの学んだ色彩調和は、あくまでクラシカルな、自然の諧調に乗っ取ったハーモニーなので、知能と欲求の過剰進化した人類にはそぐわない、ともいえる。
なまいきだと非難されちゃうかしら。でも、色彩はハイクロマになればなるほど、人間のナチュラルな心理と生理になにがしかのダメージを与えるのは確かなのだ。
濃い刺激は、当然ながら反作用も大きいので。
はっきり書いておこうと思うのは、もうだいぶ人生を生きて、この先いつ死んでも心残りのないように、後世の誰かが、わたしの覚書を心に留め、人体の生理に快い、健康でうつくしいカラーハーモニーに興味を持ち、なにか未来社会の役に立ててくれればいい、と願うからだ。
さらに厳しいことを書くが、ネット画面の色調は、おおむね「目に痛い」
慣れてしまえばどうってことはないのか?
いや、そんなことはない。このような色彩の過剰は、脳生理を侵食し、すこしづつ心を圧迫するのではないかと思える。
長時間目にしなければならない画面なら、なるべく視覚に穏やかな、心理をなごます色彩調整を、デザイナーは心がけた方がよい。
人類は肥大した脳を持つ生物だから、欲求は生理的な満腹では「飽き足らない」
脳味噌の比重過多の分だけ、濃い刺激、幻想を求める。
色彩をめぐる四方山話のなかで興味深い逸話がある。
それは、世界大戦の度に、それ以前よりも濃いクロマの色材が発明されたという事実。
新型の爆薬を発明した「副作用」として、より刺激の強い色が出現してきたという、なんだか「毒は薬で薬は毒」みたいな話。
アフォリズムのようではありませんか?
とはいえ、わたしは、ただ淡彩、地味が好き、無彩色、グレー、水墨画の世界のみに加担するわけではない。
色を使うとき、その空間の広さ(面積)と色彩全体のクロマの比率によっては、ハイクロマを使ったほうがいい。
やたらめったら濃い色彩を詰め込む画面は、おおむね色相も不調和で、クロマもいびつ、ヴァルールは無視、とひどい有様なことが多い。
派手な色彩を盛りあわせれば「色彩感覚」が優れている、なんて大嘘だ。ほんとに繊細でこまやかな色覚を持っているなら、要所で適切な色使いをし、無駄な色を取り合わせたりしない。
ファッションや、和装のセンスと同じだ、
色彩てんこもりの画面を見るたび、主張を欲張りすぎて、ナチュラルなバランス感覚が鈍っているのではないかと思われる。
口が悪いですか?
でもわたしもいい年ですから、自分の得意分野については多少厳しくなっても、ご勘弁を(あ、ゾーキンが
整ったカラーハーモニーは、繰り返しますが、ヒーリングと精神安定効果がある。
だからこんなことを書く。教わったことを、みんなに伝えておきたいから。
カラーハーモニーは厳密に測るなら数値を見極める目を作らなければならないけれど、色相と明暗くらいなら、日ごろの心がけ、ナチュラルな風景をしみじみいつくしむ気持ちがあれば、バランス感覚として養われてゆくのに。
ネット社会の心の行方はどうなんだろう。
続きはまた。
どうぞあしからず。気分を悪しくしても仕方ないけれど、利用できるひとは利用してください。