雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

雨の扉(と)のかたりと開きぬ爪先まで菜の花滲むるいつも初恋

2014-03-30 11:56:30 | Weblog


 風邪で昨日今日とストレスなしに過ごしている。

 体質上、市販の風邪薬が飲めないので、自然治癒。



 また絵を描き始め、それもほんとにのんびりとした描き方。気晴らしにと。



 このすきまの時間にまた色のことをまとめておこうと思う。



 重ねて申し上げるが、わたしの学んだ色彩調和は、あくまでクラシカルな、自然の諧調に乗っ取ったハーモニーなので、知能と欲求の過剰進化した人類にはそぐわない、ともいえる。

 なまいきだと非難されちゃうかしら。でも、色彩はハイクロマになればなるほど、人間のナチュラルな心理と生理になにがしかのダメージを与えるのは確かなのだ。

 濃い刺激は、当然ながら反作用も大きいので。

 はっきり書いておこうと思うのは、もうだいぶ人生を生きて、この先いつ死んでも心残りのないように、後世の誰かが、わたしの覚書を心に留め、人体の生理に快い、健康でうつくしいカラーハーモニーに興味を持ち、なにか未来社会の役に立ててくれればいい、と願うからだ。

 さらに厳しいことを書くが、ネット画面の色調は、おおむね「目に痛い」
 慣れてしまえばどうってことはないのか?

 いや、そんなことはない。このような色彩の過剰は、脳生理を侵食し、すこしづつ心を圧迫するのではないかと思える。

 長時間目にしなければならない画面なら、なるべく視覚に穏やかな、心理をなごます色彩調整を、デザイナーは心がけた方がよい。

 人類は肥大した脳を持つ生物だから、欲求は生理的な満腹では「飽き足らない」

 脳味噌の比重過多の分だけ、濃い刺激、幻想を求める。

 色彩をめぐる四方山話のなかで興味深い逸話がある。

 それは、世界大戦の度に、それ以前よりも濃いクロマの色材が発明されたという事実。

 新型の爆薬を発明した「副作用」として、より刺激の強い色が出現してきたという、なんだか「毒は薬で薬は毒」みたいな話。

 アフォリズムのようではありませんか?


 とはいえ、わたしは、ただ淡彩、地味が好き、無彩色、グレー、水墨画の世界のみに加担するわけではない。

 色を使うとき、その空間の広さ(面積)と色彩全体のクロマの比率によっては、ハイクロマを使ったほうがいい。

 やたらめったら濃い色彩を詰め込む画面は、おおむね色相も不調和で、クロマもいびつ、ヴァルールは無視、とひどい有様なことが多い。

 派手な色彩を盛りあわせれば「色彩感覚」が優れている、なんて大嘘だ。ほんとに繊細でこまやかな色覚を持っているなら、要所で適切な色使いをし、無駄な色を取り合わせたりしない。

 ファッションや、和装のセンスと同じだ、

 色彩てんこもりの画面を見るたび、主張を欲張りすぎて、ナチュラルなバランス感覚が鈍っているのではないかと思われる。

 口が悪いですか?

 でもわたしもいい年ですから、自分の得意分野については多少厳しくなっても、ご勘弁を(あ、ゾーキンが

 整ったカラーハーモニーは、繰り返しますが、ヒーリングと精神安定効果がある。

 だからこんなことを書く。教わったことを、みんなに伝えておきたいから。

 カラーハーモニーは厳密に測るなら数値を見極める目を作らなければならないけれど、色相と明暗くらいなら、日ごろの心がけ、ナチュラルな風景をしみじみいつくしむ気持ちがあれば、バランス感覚として養われてゆくのに。


 ネット社会の心の行方はどうなんだろう。


 続きはまた。



 どうぞあしからず。気分を悪しくしても仕方ないけれど、利用できるひとは利用してください。




 

 

 

 
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繭ほぐす夢に触れくる鳥たちの羽根とはなびら君に晶(すず)しき

2014-03-30 04:33:30 | Weblog


  

  一ヶ月ほどかけて、ちょこちょこと色鉛筆で描いた。



  軽くペン先をすべらせる描き方は、ほんとに淡彩なので、ぼけてしまうのですが。


  このごろこころに浮かぶファンタジー。


  絵を描くたのしさを、また思い出しながら。


  どこかで見た夢の情景でもある。






  覚めたくない、きれいな夢ってあるよね









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桜だけ話してほしい書きかけのノートのような春風のなか

2014-03-29 17:38:04 | Weblog


  また、桜に。



  そろそろと雨の気配。空は薄荷のようなうす濁り。




  風邪はぼちぼち。寝たり起きたり。






  来週には、ここらへんも爛漫のお花見が楽しめそう。



  袴田さんが釈放された。78歳。48年間の牢獄生活。

  もうこれ以上、彼を苦しめるのはやめてほしい。


  疑わしきは罰せず、ではないか?


  おだやかで幸福な晩年を、御本人とともに苦しんだお姉さんにも贖うべきだ。


  











  
  
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フォーレ聴く風邪心地して春の背はうす桜かも熱はつめたいか

2014-03-28 14:04:09 | Weblog


  ちょっと風邪っぽいかな。



  でもお昼ご飯はしっかりホットケーキと春雨サラダ。

  ケーキにピザ用チーズを混ぜ込んで、仕上げに水菜の緑を散らす。
  
  これは火加減が勘所

  さめても美味しい。ちなみに牛乳ではなく豆乳を使いました。



  


  げんきだして午後のケアをすませて、今日をしまう。





 


  この陽気で、関東の桜はいっせいにひらいてゆくだろう。




  

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水凪の空より伝ふ桜染めの爛漫ひとをやがて揺するらむ

2014-03-25 16:16:58 | Weblog


 染井吉野開花の報せに。







 暖かい、暑いほどの日差し。吹き渡る風をおもうさま享けて、呼吸が気持ちい、と感じるのはひさびさだ。


 桜の花は赤紫、RP、の色相。ヴァルールはきわめて淡く、ほとんど白に近い。

 その淡い色彩が、天を埋め尽くすほどの爛漫に咲きひろがる光景に、ひとは、ことに日本人は魅了される。



 色彩それぞれの感情を動かす訴求力は、色相によって定まり、ヴァルールとクロマが変化しようと基本的に変わらない。

 赤紫の訴えかけるものは、たとえるなら愛。
 さして目新しいことではありませんね。カルメンの薔薇は情熱の赤で、それが淡く洗練されてゆくと桜色。
  
 感情に明るさ、柔らかさ、奥深さ、控えめ、強引…etcという形容がつくように、色彩の明暗濃淡の相違によって、かきたてられる情緒は変わってゆく。

 おだやかにやさしい、そして少し愁いを帯びた桜色の抒情が、もうじき日本を覆う。




 ゆったりと咲き昇る桜の姿をみつめて…せつなくなったりしませんか?


 そんな季節です。



 






 
 

 
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月光の君は横顔夜に捺(お)して呼吸ころすほど桜握りし

2014-03-24 20:34:15 | Weblog


 

  夜桜に。





  幻想の情景。物語歌、というところかしら。


  ファンタジーはいつも傍にある。これはもしや、うっかりすると妄想癖




  絵を描いていると時間を忘れる。今も。


  すこしづつ、浮かび上がってくる物語のひとこま。




  
  ささいな慰みごとだけれど、そこにも自分の今の心のありかを見る。











 






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夕べ問ふ春の宛先ひとは見ずや桜鏡の音なく開けぬ

2014-03-23 17:31:00 | Weblog



 ゆふぐれに、






 今日もまた静かに(また)終わる。



 あとは家事のあれこれ済ませて、いろいろ(まただ!)片付けて。



 よくできました、と自分をほめて、眠る。



 毎晩。するときれいな夢が見られる。たいていね(ン?














 みなさん、おためしあれ、きれいな夢を見る方法







 






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くれなゐの溢るるばかり雛飾る春は千歳に黒髪のまま

2014-03-22 17:53:13 | Weblog


 友人のたまちゃんは昨夜我が家に一泊し、今日いっしょに北鎌倉古民家ミュージアムに出かけた。

 ネットで知り合って、直接に仲良くなることは、ほとんどないのだけれど、彼女は例外的に気が合う。とてもナイーブで芯の強いひと。




 こんな出会いがヴァーチャルでもあるのか、とネットには懐疑的ながら、やはり感謝してしまう。


 古民家ミュージアムに雛人形は華やかに溢れていた。百年以上も前のお人形の貌は秀麗に冷たく切れ長のまなざしが涼しい。






 木蓮、木瓜、水仙は今が盛り。

 桜ももうじき。





 気持ちのよい、午後の楽しみでした。
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うらうらとおくれ毛透けてあのときの風かはなびら少女になりしよ

2014-03-21 13:27:55 | Weblog


  春風に





 さて、また色のおはなしをしましょうか。



 ごくおおおざっぱな生理反応で、赤、という色は男性ホルモンを刺激する。

 世の男性の顰蹙をかってしまいそうなのだけれど、これはもうずいぶんと昔からの実験ではっきりしている。

 いいえ、なにも生体実験などでなくても、古今東西の文学では簡潔に叙述されている。カルメンシータは唇に真っ赤な薔薇をくわえて登場したし、わたしの知る範囲の日本の古典文学の『大和物語』には、赤い着物をまとった姫君は、ちらりと姿を見られたばっかりに、男に略奪されてゆく。そこでは、たしか「赤い御衣の…」という少女の描写があっただけ。つまり、それほど強烈な欲求をかきたてる色ということ。

 歌舞伎の赤姫なども、その典型例として挙げられるだろう。
 能楽でも、紅入(いろいり)は、若い娘のまとう衣装。年配の女性の衣からは、紅は消えてゆくはずだ。

 亭主の好きな赤烏帽子、赤提灯などという言葉もあったっけ。

 それから、現代で言うなら、ハリウッドでもヨーロッパでも、映画のヒロインは、情緒的シーンでは、ほとんど赤乃至赤紫の色相の衣装をまとう。たとえば007のシリーズ、最近の何作かはみんなそうだった。

 商業主義のアメリカは、ルイス・チェスキンの『販売と色彩』を即座に取り入れ、みごとに購買欲をそそる。

 ときどき映画を見ると、実に的確に生理的な反応に叶った衣装を、俳優、ことに女優にまとわせている。

 

 このことについて、もっと率直に言葉を飾らずに述べるなら、ストレートな男性性というものは、赤色にしか反応しないようにプログラムされている、ように思えることもある。これはわたしと、ある時期、熱心にいっしょに色を勉強した昔の学友何人か(みんな女の子でした)の感想。

 もちろん繊細な色彩感覚をもった男性もいる。パウル・クレー、ラファエルロ、ルノワール、印象派の画家たちは、ハイクロマだけれど、とても柔らかく繊細な画面を描く。

 一方、男性的にストレートな色覚に傾く「気丈な」女性も多くいる。

 赤を好む女性というのは、おおむね外向的、社交的な傾向がある。それも当然だろう。
 よい意味で、赤は注目され、またすべての色彩の中で最も突出してゆく色彩だから。

 闘牛を思い出すといい。闘牛士のひるがえす真っ赤な布めがけて雄牛が突撃する。手加減ない本能、男性性とは、こんなものではなかろうか。

 とはいえ、女性だって赤が好きだ。わたしも嫌いではない。ただ、ある程度色のもたらす効果と反応を学んでしまったので、なるべく温和な色調を選んで身に付けるようにしている。むやみな興奮は自他共に避けたいからだ。


 それでは、女性が生理的によろこぶ、心地よい色彩は何だろう。

 これはあまり自覚されていないようだが、薄紫だ。

 藤色、淡い紫。透明感のある、明るい(暗くてはいけない)紫。

 読者は驚くかもしれないが、ああ、またナマタマゴが飛んできそうなブーイングを恐れずに書くなら、この藤色は、男性には知覚することがむつかしい。ほとんど感覚できないということになっている。灰色にしか見えないということだ。

 それは、青緑に対する反応と酷似している。赤の補色である青緑は、緑と青の中間の、沈んだ冷たい色彩だが、男女問わず、この色彩は知覚しにくい。

 青緑でも、青と緑のバランス、明るさの度合いによって、まったく享ける印象は異なるのだが、あくまで生理反応として無刺激に近い。

 だからこそ、興奮と動揺を鎮める効果、癒し、静寂、安らぎの色彩とも言えるのだが、ヴァルールの低い濁った青緑は、私個人では苦手だ。緑は大好きでも、エメラルドグリーンから萌黄にかかる、明度の高い澄んだみどりでなければ受容しない。

 藤色をたいそう好んだ女性に作家の吉屋信子がいる。彼女の繊細で洗練された古典的色彩感覚は『花物語』や『女人平家』『徳川の夫人たち』などに、表現されている。


 三島由紀夫は、藤色を好きだったかどうかわからないが、『春の雪』では、藤色の持つ潜在的な意味を、過不足なくとらえていて、わたしはびっくりした。とても美しく、また透徹した描写で綾倉聡子を造型していたので。


 紫式部も藤色を愛したにちがいない。桐壺、藤壺、若紫、朝顔……どちらかというと紫から青紫につらなる彩りを冠したヒロインが並ぶ。


 だから。


 色づかいを小道具とするなら、女性の多い集まりなら、藤色系を選んでまとうと、好評まちがいない。

 また、男性に好意を持たれたいと願うなら、赤系がよい。これはもう、言うまでもないことだろう。

 ただ、ひとりひとりの個性は惑星ほども離れているので、男性の中にも、赤を着た女性を避けるタイプもかなりいる。その心理の微妙はわからない。生活歴によるのでしょう。

 だから、すべての事象と同じように、100パーセント効果的、という太鼓判は押せないが、ある程度の傾向は測れる。


 藤色は女性ホルモンを活性化する作用があるので、たいていの女性に好まれるといっても、やはりまったく感受できない女性というのも、結構いるのだから。


 どうぞあしからず。

 色は、ほんとにいろいろ面白いのよ

 
 




 

 

 

 
 
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海のまへ君は荒れぬる垂直に断つなら人も光のごとし

2014-03-20 15:25:37 | Weblog


 春の嵐に





 今日はおやすみなので、午後外出しようと思っていたのだけれど、大荒れ。

 それで家にいる。海はきっと怒涛だ。それもなつかしい。



 海際は嵐のとき空を疾走する厚い雲の移り行きがすさまじい。大風のはざまにふいに雲間から閃光が海面に射し込み、瞬時に消えたりした。波頭と轟き。潮の香り。

 荒れた海は、さまざまとりどりな匂いを運んできた。木や草、魚、藻、人間の排出したごみや、遠く異国の海岸から届くのに違いない何か。貝殻。磨かれたガラスの破片。


 たまに、嵐を、ぼんやり眺めたこともあったっけ。








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アルファポリス