すっぴんの貌ひとつふんわり肩抜けて驟雨に泳ぐろくろ首かな

　じっとりと大気が重い。


　雨霧が海からじわじわと、まるで生き物のようにしろく這いのぼる夕暮れ。


　霧の中でぱらぱら雨が降り始め……


　湯上りのころにはベランダに飛沫をあげて大雨。


　こわばった背中にシャワーをたたきつけ。

　
　首筋から肩にかけて、軽くなった気がした。　　



　ふわっと疲れが抜ける。





　雨音。すこしおだやかになる。


　どこかで水鶏の声が聞こえる。


　


　

わたしだけの体温湛へくちびるも触れぬ花々また雨が降る

　梅雨空。


　なんとか雨の前にきりあげられた。


　ぱらっと数滴、ひんやり。




　下野（しもつけ）の花。


　この季節がさかり。


　紫陽花に圧されてめだたないけれど、これも昔からある花のゆかしさ。










　


　


　

しなはせて空には背骨走り出す朝の視線は海よりもらふ

　朝の深呼吸。


　今日もあっちこっち。