電脳筆写『 心超臨界 』

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与えられる人はいない
( マルクス・トゥッリウス・キケロ )

人間学 《 惜福の工夫――伊藤肇 》

2024-09-05 | 03-自己・信念・努力
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「人間金をかせぐだけかせいで、握ったら放さないでいると、必ず、神様がとりもどしにやってくる。それも金だけならまだいいが、まかり間違うと、自分の女房や子供までもっていかれてしまう。だから、神様が、この法則を実行される前に、自ら進んで、『惜福の工夫』をすることが肝腎なのだ」( 元国鉄総裁・石田礼助 )


『人間学』
( 伊藤肇、PHP研究所 (1986/05)、p53 )
第2章 人品骨柄の人間学

◆惜福(せきふく)の工夫

越王、勾践のもとをうまくのがれた范蠡(はんれい)は船で太湖から揚子江に入り、海に逃れて斉の国へ入った。

ここで「産ヲ治メ数千万ニ至ル」。そして、「斉人(せいひと)、其ノ賢ヲ聞キ、以テ相(しょう)ト為ス」とある。

范蠡の識見、人物にほれ込んで、宰相の地位に就いてほしいと懇願した。越であれほどの手腕をふるい、あれほどの大功業を成しとげた人物だから、治績は大いにあがり、数年は瞬く間に過ぎていった。

ここまでいきつくと、かなり修練を経た人物でも、つい驕慢になるものだが、范蠡は「一実業家としては身にあまる財を築きあげた上に、平民から成りあがった者としては、最高の位である宰相にまでのぼりつめた自分だが、はてさて、金と名誉の両方を長い間、独占していたなら、必ず、不幸のもとになる」といって、尽く、その財を散じ、重宝(ちょうほう)〈大事な宝〉だけをもって、人目をさけるように陶の国へ去った。もちろん、陶でも実業家として、数億の財産を築き、「陶朱公(とうしゅこう)」と自称したが、中国では、その後、富裕の表現に「陶朱の富」という成語をつかうようになった。

范蠡ならずとも、人生のある時期、バカ当りに当るときが誰しもある。

そういう時は、何もしなくとも、富も名誉も地位も、どんどん、向うからやってくる。ところが、それを手当たり次第にとり込み、貪婪(どんらん)、飽くことを知らぬと、やがて、思いもかけぬことでつまずいて、下手をすれば没落してしまう。

幸田露伴〈明治・大正にかけての文豪〉は「幸福に遭う人を観ると、多くは惜福(せきふく)の工夫ある人だ」と、人生の叡智を書きのこしているが、人間、あまりにも幸福すぎる時には、〈待てよ!〉と、その幸福を反省してみる必要があるのだ。

阪急コンツェルンをつくって「今太閤」の名をほしいままにした小林一三が山陰地方を旅行している最中、偶然、古い友達にあい、懐かしさにひかれて、その宿をたずねた。

その古い友人というのは、大阪で巨万の富をつくり、事業もますます発展していたので、小林は内心、「二号でもつれて遊びにきたのだろう」と思った。

ところが、宿の女中の案内で通された部屋は、みすぼらしい六畳一間で、そこに友達と奥さんがぽつねんと坐っていた。

きけば「すでに2週間以上も、ここに滞在している」という。

怪訝に思った小林が「どうして、あなたほどの分限者が、こんな汚い部屋にいるのか」ときくと、意外な答えが返ってきた。

「自分たちは、どう考えてみても、あまりにも恵まれすぎている。とにかく、無我夢中で働いているうちに運勢に恵まれて、このように何一つ不自由のない身分になったが、考えてみると、何だか恐ろしいみたいで、ひとつ厄払いをしようという気になり、毎年、ここへきて1ヵ月間、この汚い部屋で厄を払っているのだ」

小林は友人のこの一面突飛とも思える行動に頭をさげた。

「人間というものは、そういつまでもいいことばかり続くものではないから、こういうものの考え方が必要になってくるのだ」と小林一三はしめくくった。

オックスフォード大学のドクター・ジーンスは「この宇宙には平均の法則というものがあって、太陽も地球も、その法則に従って動いている」といいきっているが、元国鉄総裁の石田礼助は、これを次のように敷衍(ふえん)している。

「人間金をかせぐだけかせいで、握ったら放さないでいると、必ず、神様がとりもどしにやってくる。それも金だけならまだいいが、まかり間違うと、自分の女房や子供までもっていかれてしまう。だから、神様が、この法則を実行される前に、自ら進んで、『惜福の工夫』をすることが肝腎なのだ」
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