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電脳筆写『 心超臨界 』

強みは物理的な能力がもたらすものではない
それは不屈の信念がもたらすものである
( マハトマ・ガンディー )

高橋洋一 《 移民受け入れの本質 》

2025-04-29 | 03-自己・信念・努力
20年に及ぶブログ活動の集大成 → <a href=https://blog.goo.ne.jp/chorinkai/e/3d8eb22fad45ce7b19d6a60e8a70b7e7" target="_blank">★仏様の指
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すでに日本には、少なくない外国人労働者がいた。実は安倍政権になってからも、すでに外国人労働者は70万人から130万人へと、60万人も増えていたのだ。そのうち雇用環境に大きな影響を与えるとみられたのが、30万人の留学生アルバイトと25万人の技能実習生だが、安倍政権で増やしたのが、それぞれ20万人と10万人だ。そこへさらに、2019年から5年間で最大34万人を受け入れると決めたのである。賃金の動向を見る限り、そんなにあわてて外国人を受け入れるほど、本格的な人手不足になっていないと考えたのは筆者だけではないだろう。


◆移民受け入れの本質

『給料低いのぜーんぶ日銀のせい』
( 高橋洋一、ワニブックス (2021/6/9)、p127 )

賃金の上昇が起こらなかった要因として、出入国管理法が改正され、外国人労働者を受け入れたことも、ある程度は影響しているとみられる。

出入国管理法の改正とは、これまで専門分野に限っていた在留資格に、新たな分野を設け、外国人労働者の受け入れを拡大したことだ。

この法案の改正案が議論されていた2018年から、筆者は「ポイントは移民受け入れ策かどうかではない、雇用環境がどうなるのかだ」と強く言っていた。

通常、こういった法改正を行う場合は、1年から2年を費やして検討するものだ。せめて2年程度それで時間を稼ぎ、くどいようだが消費増税が行われていなければ、今頃は賃金が上昇していたかもしれない。

なにしろ、受け入れ拡大が検討されはじめたのが2018年2月で、それが政府の基本方針(「『骨太の方針』2018」)に盛り込まれたのが、わずか4カ月後の18年6月である。

◆十分に検討されなかった政策

検討会のメンバーも官僚ばかりで、専門家が十分に検討した形跡もなく、あまりに拙速だったと言わざるを得ない。

言っておくが、アベノミクスの金融緩和策の効果で、雇用環境の改善はこの時期顕著だったのだ。

安倍政権で増やした就業者数が、歴代2番目であることは先に書いたとおりで、民主党時代に減少していた就業者数は300万人程度増加。その時点で失業率も2.5%程度まで低下していた。

失業率の下限とされる数字は「NAIRU(インフレを加速させない失業率)」といい、筆者は独自に推計して、NAIRUを「2%代台半ば」と考えていた。つまり2.5%というのは、もはやこれ以上は下がらないという下限近辺だった。

名目賃金もいったん上昇傾向にあり、実質賃金もいったん低下したものの、底を打って反転し、上昇傾向に転じていたのである。

◆シナリオは完璧なはずだった

経済学のスタンダードな理論で考えれば大胆な金融緩和の継続でマネタリーベースを増やせば期待インフレ率が上がり、円安と株高になる。

結果、1年から2年で消費や輸出、設備投資が増え、実体経済が改善され、雇用増加につながる、ここまでは現実に起きていたのだ。

そして、実際のインフレ率も高まり、さらなる実需が出てきたところで、最後に賃金の増加に結びつくというシナリオだったはずだ。

景気に遅れて動く指数を遅行指数といって、給料もその一つなのだが、円安と株高で景気が好転しはじめれば、基本給ではなくても、まずはボーナスが増える。実際、その動きも起きていた。

また、ローソンやセブン&アイなどの小売企業が、いち早く賃金の引上げを宣言したように、非正規雇用者の賃金も先行して上がっていくはずだった。

景気が本格的に回復し、企業サイドがそれを実感できるようになれば、そこでようやく定期昇給が実現するわけだ。

◆インフレ率と賃金はほぼ同時に上昇する

ちなみに、インフレを不安視する人の中には「景気がよくなってインフレになると、賃金上昇がついていかない」という人もいる。

これは、あまり長く続いたデフレのせいで、「賃金がインフレに勝てない」というデフレ特有の現象を、常識として捉えるクセがついてしまったといえる。

50代以上の人は覚えていると思うが、バブルの頃に100円の賞品が20円や30円上がっても、「給料が追いつかなくなる」などと心配する人はいなかった。

金融緩和策が目指したロードマップとしては、実際のインフレ率と賃金は、理論的にはほぼ同時に上昇する。

というのも、インフレ上昇が賃金上昇に勝った場合、企業は人件費(広義の原価)の上昇以上に売り上げが伸びる。「儲けすぎ」となって、企業側が本格的な景気回復を実感できるようになれば、賃金交渉の環境は生まれてくる。

そこで企業が頑なにベースアップを拒めば、従業員はよそへ移ってしまうので、賃上げに応じざるを得ない。

賃金が上がった従業員はそのお金を消費に回すので、インフレ率を押し上げる。したがって上昇は「ほぼ同時」ということになるわけだ。

賃金上昇率は本来、「インフレ率+生産性向上分」が望ましく、生産性が低い仕事より、高い仕事のほうが、賃金の上昇率も確保できて当然だ。

付加価値の高い商品開発をしたり、同じ製品でも低コストでの製造を実現したりする仕事のほうが、そうでない仕事よりも、インフレ率に勝つだけの給料を貰えるのが理想だろう。

ベースアップ交渉でも「生産向上分」が交渉材料になる。つまり、生産性向上を維持できていれば、賃金の上昇率はインフレ率より、生産向上分だけ高くなるということだ。

もちろん、実際には個別事例で事情は異なるだろうが、産業全体としてみれば、インフレ率の上昇が給料アップにつながっていくのである。

つまり、アベノミクスで進められた大胆な金融緩和策は、そこへ向けて正しくすすんでいたはずなのである。

◆野党が本来すべきだった追求

話を外国人労働者の受け入れに戻すと、野党もどうせ追及するならば、いまのような理論をもって与党を追及すべきだった。

この法案改正が移民政策かどうかなどという、ズレた話をしている場合ではなかったのだ。

「雇用環境がせっかく良好なのに、この改正法案がどんな影響をもたらすのか」「賃金上昇の動きに水をささないか」という本質的な質問をすべきだった。「労働者の味方」を標榜するなら尚更だ。しかし、それがまったくできていなかった。

すでに日本には、少なくない外国人労働者がいた。実は安倍政権になってからも、すでに外国人労働者は70万人から130万人へと、60万人も増えていたのだ。

そのうち雇用環境に大きな影響を与えるとみられたのが、30万人の留学生アルバイトと25万人の技能実習生だが、安倍政権で増やしたのが、それぞれ20万人と10万人だ。

◆賃金が上がらずに喜ぶのは誰か

そこへさらに、2019年から5年間で最大34万人を受け入れると決めたのである。賃金の動向を見る限り、そんなにあわてて外国人を受け入れるほど、本格的な人手不足になっていないと考えたのは筆者だけではないだろう。

賃金が上がらずに喜ぶのは製造や流通などの産業界だ。実際、政府方針は、産業界からの意向だけで進められていた気配がある。

賃金を上げたくないという産業界の願望に沿う形で、外国人労働者を受け入れたことが、ようやく動きはじめていた賃金上昇圧力を弱めてしまったとしたら、これほど無念なことはない。

繰り返しになるが、金融政策とは雇用政策であり、失業率の低下は経済成長とほぼイコールだ。

政権ができるマクロ経済対策の目的が雇用の確保である以上、それさえできれば及第点であるという考えは変わらない。

もし、あのまま賃金が上がっていたら、筆者がアベノミクスにつける点数は100点だっただろう。
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