突然ですが、皆さん、蝶と蛾の違いってご存知ですか?
私の周りでも聞いてみると、
「え? 昼間に飛んでいるのが蝶で、夜に飛んでいるのが蛾じゃないの?」
「は? 羽根を広げてとまるか、羽根を折りたたんだ状態でとまるかじゃないの?」
「へ? 触覚の先っぽが丸くなっているのが蝶で、くるっと丸かっているようなのが蛾じゃないの?」
など色んな回答が出ました。
皆さん、これぞ、という1つの回答がある、ってこと自体がすごいですね。
しかもかなり学術的。
私なんぞ、もっと単純に色柄がきれいなのが蝶で、地味なのが蛾だと思っていました・・・
実は上記の皆さんのお答えは、どれも正解です。(私の以外は、って意味ね。ぐすん。地味な蝶、派手な蛾というのもいるそうです。)
でも、どれも「これぞ!」という答えでもないのです。
最近バタフライ&シーエッセンスを学び、授業のなかでも先生が、「蝶ってりん粉がハラハラってすごく落ちるじゃない? あれって、どこまでがただの粉でどこからが本体(? という言い方はおかしいのかもしれませんが・・)なんだろうねぇ。」とおっしゃったこともすごく気になって、調べてみました。
一言で言うと、調べたことによって余計にわからなくなりました・・・
どうもこの境界線は実に曖昧模糊としたものがあるようなのです。
蝶と蛾は同じ「鱗翅目」であり、区別できるわけではないんだそうで。生態や形状で区別しているだけなんですって。
上にあげた区別のほかには、「蛾のほうが胴体が太い」とか「蛾のほうがりん粉が剥げ落ちやすい」とかあるみたいですが、それらにもじゃあ例外はないのか、と言うと例外はあるそうです。
だから絶対、という区別法でもないんですね。
びっくりしたのは、英語では蝶のことを「バタフライ」と言い、それに対して蛾のことを「モス」と言いますが、(モスラってここからきてたんだね、ってこの話、わかる人だけでいいです・・・)それも益虫か害虫かということで大雑把にわけているだけなんだとか。
ドイツやフランスにはそもそもはなっから蝶と蛾を区別する呼び名そのものがないんだそうです。
私が面白いな~と思ったのは、やはり「りん粉」のことです。
蝶のりん粉って何で出来ていて、落とすとどうなっちゃうの?って気になったことありませんか?
あれはさなぎの時代に羽の表面にある細胞の一部が最後の分裂をしたとき、一方がりん粉に、もう一方がりん粉の根元がはまるソケットの部分になるんだそうです。
蝶の羽根を顕微鏡で見ると、ダーツの矢のように羽根の部分と矢じりにあたる細くなっている部分があって、その矢じりがソケットのような部分にちゃんとひとつずつはまっているんです。
女性がファンデーション塗ったあとに、ぽんぽんと仕上げにはたくお粉とはワケが違うんですね~ 上に乗っかってるだけじゃないんだ。
ちょっと触っただけでも落ちちゃうくせに。
なんと、1つの細胞だったなんて。
でも、りん粉の部分もソケットの部分も蝶のあのきれいな模様となって完成をみた瞬間に、細胞としては死んじゃうんですって。
自分の死んだ細胞を常に表面にひらひらとくっつけたままでいるって・・・どうよ・・と思いましたが、よく考えたら、お肌の角質と同じようなもんですかね。
そう考えてみると私たち人間も、死に絶えた細胞をくっつけているっていうかなり気持ち悪い状態で生きてますね~
りん粉は剥がれたあとはどうなるか、ってことですが、剥がれたものはもうそのままらしいです。再生はしません。
でも、たとえ全部剥がれ落ちてしまったとしても、見た目に色は薄くなるけれど、とりあえずその場では飛べるそうです。
でも、ひらひらとあの蝶らしい飛び方ができるかどうかとなると疑問らしく、たぶん、あのりん粉は空気抵抗を適度に抑えたりする役目を負っているのではないか、ということです。
そのほかにもくもの巣などにひっかかっても、りん粉の層は2層になっているので、1層めが剥がれただけでなんとかくもの糸に囚われないで助かる、という役目もあったりするみたいです。
でも、りん粉をすべてとってしまったら水に濡れた場合、弱ってしまって結局のところはいずれ死ぬことになるようですね。
こうしてみると蝶ってとっても不思議な生き物ですね。
古くなった細胞だから不必要なだけなのか、というとそれを剥ぎ取ると死んでしまう。
古くなった細胞が蝶をあのキラキラときれいな色に見せる役割をしている。
このように一見役立たず、というか不要になったものが実は重要な役目をしていたり、不要なら、と剥ぎ取ると死んでしまったり・・・
でも実は我々人間も同じようなものかもしれません。
古くなった思い出を引きずっていたり、必要のない記憶だから、とロボトミーのようにされてしまったらいつかは死んでしまうでしょう。
そして一見いらないものに見えるような無駄なものがその人を引き立てていることだって、ある。
例えば、「家電芸人」なんて方がいらっしゃいますが、ご本人は心底家電が好きだっただけで、自然についてしまった家電に対する知識で番組からお呼びがかかったりするとは思わなかったことでしょう。
いくら「芸は身を助く」ったって、本業の芸をみがかずとも家電の知識をたくわえたほうが仕事になるなんて思いませんものね。
でも、そんな一見無駄なことがその人の魅力を引き立てていたり、よりその人らしさを表している、っていうこと、ありますものね。
こう思うと、蝶という存在が急に身近に感じられたりしてきましたが、反対に「黄泉の国のゲートキーパー」と言われる所以の不思議さが薄れてきてしまいました・・・
このあたりで蝶をこれ以上知ることはやめにしよう、っと。
一見無駄だと思えるものが魅力的、ってことがあるよね、ってことだけ再認識いたしました。
と、「捨てられない自分」「片付けられない自分」を弁護する・・・
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