孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

日韓関係 凍り付く政治のなかで、韓国の“日本ブーム”日本の“第3次韓流ブーム”

2019-05-30 23:25:12 | 東アジア

(日本最大のコリアンタウンである新大久保がいま、平日でも歩道が歩けないほど、韓流ファンや観光客でにぎわっており、駅のホームから改札口に出るまで混雑で30分近く掛かることもあるとか。【2018825日 桐島 クジャク氏】より)

  

【凍り付いた日韓関係】

日本と韓国の関係が、慰安婦や徴用工訴訟、水産物輸入制限などをめぐって対立し、これまでになく険悪な状況にある・・・という話は、山ほど、掃いて捨てるほどの記事がありますります。

 

また、韓国内における、日本統治時代を想起させる事物、芸能人などの言動、旭日旗等々に対する(日本からすれば)理不尽とも思える、あるいは、ため息のでるような反日的な反応についても、これまた掃いて捨てるほどの記事があります

 

同様に、日本国内のネットには嫌韓的なものが溢れかえっているのでしょう。

 

政治的にも、両国間は極めて“冷たい”対応ともなります。

 

****日韓外相会談 「凍り付いた雰囲気」と韓国紙****

日韓外相会談では、いわゆる徴用工訴訟問題をめぐる対立が鮮明となった。韓国メディアは24日、河野太郎外相と康京和(カン・ギョンファ)外相による会談の場が「終始、重く凍りついた雰囲気」(朝鮮日報)だったと報じた。

 

(中略)会談冒頭、河野氏が「(徴用工問題への対応に関する韓国外務省報道官発言に関して)事の重大性を理解していない大変な発言だ」と批判したのは当然のことだ。

しかし、韓国では各メディアが河野氏の発言を「外交的欠礼」と批判している。(後略)524日 産経】

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****日本の「韓国バッシング」が深刻 訪日の野党議員****

韓国国会外交統一委員会の尹相現(ユン・サンヒョン)委員長(最大野党・自由韓国党所属)は29日、東京で韓国人特派員と懇談し、自民党の渡辺美樹参院議員(参院外交防衛委員長)と会談した内容などを伝えた。(中略)

また、渡辺氏との会談について、日本側から3〜4人が同席すると聞いていたが「1人で現れた」と述べ、外交の現場で日本側の「韓国バッシング」を痛感したと語った。懇談に同席した自由韓国党の兪奇濬(ユ・ギジュン)議員は、日本でこれほどの冷遇は初めてだと伝えた。【529日 聯合ニュース

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【韓国内での“日本ブーム” 反日とは異なる雰囲気も】

そうした冷え切ってきるようにも見える日韓関係ですから、日本の飲食店を集めた“ジャパンタウン”を韓国につくろうという計画が“反日”的な反対にあってとん挫しているというのは極めて“当然”の話にも思えます。

 

****「昭和の東京」はあるのに…韓国で物議を呼んだ「ジャパンタウン」はその後どうなったのか****

韓国・京畿道(キョンギド)のべゴッ新都市に「ジャパンタウン」が作られるという情報を受けて、韓国のネット上を賛否が起きたニュースのことを覚えているだろうか。

 

大阪の有名飲食店50店ほどが上陸し、日本の味や文化などを堪能できるというのがジャパンタウンの売り文句にしてコンセプト。ここ数年、大阪・福岡・東京を中心に日本を訪れる韓国観光客は増え続けており、日本商品への関心も高まっていることを受けてのプロジェクトでもある。

 

それだけにそのニュースに触れたとき、「ジャパンタウンの造成は歓迎されてもおかしくなさそうだな」と思っていたが、そのことが韓国メディアで多く報じられるとネット上では当然というべきか、激しい賛否両論が巻き起こった。

 

韓国の「ジャパンタウン」はどうなった?(中略)

 

こうした状況を受けて(計画を主導する)キム社長は4月の時点で韓国メディアに「ジャパンタウンという名前を変える予定」とも話しているが、それ以降、パッタリ情報は途絶えてしまっている状況だ。もしかしたら、すでに計画は頓挫してしまったのかもしれない。(中略)

 

キム社長は「毎年150万人以上の韓国人が日本旅行に出かけ、すでに韓国には数多くの日本料理店が存在するにも関わらず、このような反応が出るとは知らなかった」と明かしているが、筆者も同じ思いだ。

 

“ジャパンタウン”という名称は使われなくとも、多くの日本飲食店が韓国に上陸し、日韓の食文化の交流を深めてほしいと思うのだが……。【530日 S-KOREA

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韓国側のステレオタイプな反日的反応、それを警戒する日本側・・・・というのは今更の話なのでパス。

 

この記事でむしろ注目すべきは、“ジャパンタウン”が計画されるほど、韓国内において日本食文化への関心が高いという点、それと、“このような反応が出るとは知らなかった”というキム社長の言葉です。

 

一点目の韓国内での“日本ブーム”とそれへの批判という点では、下記記事も似たような話でしょう。

 

****「日本大好き」の自国民を「売国奴」と罵る韓国社会****

515日、韓国の渋谷とも言われる「若者たちの街」、弘大前(ホンデアップ=弘益大学の前のショッピングタウン)は、朝早くから午後遅くまで前代未聞の長い行列が作られた。幅23メートルほどの狭い歩道に2列に並んだ行列は、周辺の地下鉄駅まで約900メートルも続き、一帯は大混雑となった。(中略)

 

韓国のファッションタウンを熱狂させた日本人デザイナー

この前代未聞の長い行列を作った主人公は、日本の有名デザイナー阿部千登勢だ。阿部千登勢のファッションブランド「sacai」と、グローバルスポーツブランドのナイキとのコラボ商品「ナイキ・sacai」の発売イベントが、この日、弘大前のナイキストアで行われたのだ。(中略)

 

韓国人に愛される日本ファッションブランドは、阿部千登勢の「sacai」だけではない。パリを拠点とする世界的なデザイナー「イッセイミヤケ」は、韓国女性が最も愛するデザイナーであり、ファッションブランドである。(中略)

 

韓国で人気を呼んでいる日本ブランドはハイファッションの分野だけではない。日本のファーストファッションブランドの「ユニクロ」は、韓国人の「国民服」というニックネームを持っている。(中略)

 

他にも、日本料理や日本酒、日本食品、日本生活用品など、生活に密接した製品を中心に多くの日本文化や日本製品が韓国の消費者を魅了している。最近では、韓国の富裕層の間で日本の不動産投資がブームだというニュースも聞こえてくる。

 

その一方で、韓国社会では日本製品が人気を呼んでいる現象を批判する声も少なくない。

 

インターネット新聞「I」紙は、「日本なのか、韓国なのか? 日本産食品に占領された新世界百貨店食品館」というタイトルで、江南の人気百貨店のテパ地下を訪れた記者のルポを掲載した。(中略)

 

また日刊紙「M」紙のインターネット版は、「日本よりイルパ(日本文化愛好家)がもっと嫌いです」というタイトルで、日本製品と日本文化に陥った韓国人を非難した。(中略)

 

最近、世界的に流行っている韓流ブームは、韓国人と韓国メディアを大きく盛り上げている。特に、多くの韓国メディアが、日本の若者の間で韓流が大きな人気を博している現状を大々的に報じ、「悪化した韓日関係修復の糸口になるもの」と期待を寄せている。

 

しかし一方で、韓国社会に浸透する日本文化に対しては、清算すべき対象とみなし、これを享受する人々を「売国奴」「親日派」と非難しているメディアや韓国人が存在する。(後略)【524日 李 正宣氏 JB Press

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反日的な批判に眉を顰めるだけでなく、一部の者が反日的批判を振りかざさなければいけないほど、日本由来の商品が韓国社会で人気を得ているという現実にも注目する必要があります。

 

そうした日本商品が人気を博する現実があるので、二点目の“このような反応が出るとは知らなかった”というキム社長の言葉にもなる訳ですが、キム社長のような言葉が出るということは、メディアにあふれている反日的な言動と、一般市民の感覚には大きな隔たりがあること、韓国一般市民・消費者は日常的には“日本”のことをさほど否定的に意識していないのではないか・・・とも推察されます。(もちろん、「日本を、慰安婦を、徴用工をどう思うか?」と聞かれれば、予想される答えが返ってくるのでしょうが)

 

韓国における“日本ブーム”の背景には、好転する日中関係同様に、旅行者の増大があると指摘されています。

 

****「韓国で日本ブーム拡大」と韓国紙、背景に若者の日本旅行増加****

歴史問題などをめぐる日本と韓国の対立が先鋭化する中、朝鮮日報は「韓国で日本ブームが拡大」と報じた。背景にあるのは最近の若者を中心とした日本旅行の急増。「若者たちは日本で経験した日本のブランド、食べ物などを韓国でも消費している」とみている。

朝鮮日報によると、ソウル市麻浦区の地下鉄合井駅から弘益大学方面に向かう通りには日本語が書かれた看板が並んでいる。すし屋から居酒屋、ラーメン店までジャンルも多彩だ。周辺の軽食店の経営者は「45年前からテント式の屋台やクラブがあった場所に日本の飲食店ができ始めた。ここは日本なのか韓国なのか戸惑うほどだ」と話した。(中略)

日本スタイルの流行の背景として朝鮮日報は「最近の日本旅行急増と密接に関係している」と指摘する。昨年日本を訪れた韓国人観光客は754万人で16年の509万人に比べ、2年間で48%も増えた。

特に2030代の若者を中心に格安航空会社(LCC)で日本に出掛ける人が増加し、悪化する一方の日韓関係をよそに日本ブランドの食べ物や服などは韓国の消費生活に深く食い込んでいる。

 

専門家は「実用性を強調する日本スタイルに韓国の消費者が引き寄せられている。韓国企業の対応が遅れれば、韓国の消費市場で日本ブームはさらに強まるのではないか」と分析している。【511日 レコードチャイナ】

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ネット情報より、自分の目で確かめるのが一番。最近は本当に手軽に日韓を行き来できるようになったようです。

 

****日本往復便が乗り放題で28000円!!韓国LCC激安チケット販売の背景****

「日本11都市往復の無制限搭乗チケットがなんと299000ウォン(約28000円)!

 

今月、韓国の格安航空会社(LCC)エアソウルが発売した破格の激安チケットだ。韓国の仁川(インチョン)空港から成田・大阪・福岡・沖縄・札幌・静岡・高松・広島・米子・富山・熊本の11都市を、何度でも自由に往復できるという。期間は61日から719日までの49日間だ。(後略)【529日 FNN】

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【日本では、政治に関心がない10代〜20代がけん引する第3次韓流ブーム】

一方、嫌韓的な雰囲気が溢れているようにも思える日本から韓国を訪れる観光客も増大しています。

 

****訪韓外国人観光客数が好調、日中の観光客が大きく増加=ネットから喜ぶ声****

2019522日、韓国・朝鮮日報によると、韓国観光公社は同日、先月の訪韓外国人観光客の数が昨年同月比228%増の1635066人を記録したと発表した。

韓国観光公社の発表によると、国別では中国が493250人で最も多く、日本(2992人)、台湾(113072人)、米国(102524人)が後に続いた。

中国人観光客は昨年同月比345%増加、日本人観光客は357%増加した。日本人観光客の増加は、最大10連休となったゴールデンウイークの影響が大きいとみられている。(後略)【524日 レコードチャイナ】

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単に“10連休の影響”だけでなく、日本国内にあっては“第3次韓流ブーム”が起きているそうです。

 

****韓国でも話題に 政治に関心が薄い10代〜20代が第3次韓流ブームを牽引****

<日本と韓国の往来は1000万人を突破。政治に関心が薄い10代から20代がグルメ主体の第3次韓流ブームを牽引している>

韓国マスコミ各社が日本の第3次韓流ブームを取材している。第1次韓流ブームは日韓サッカーワールドカップの直後で、韓国ドラマ「冬のソナタ」の放映がきっかけだった。続いてK-POPが人気となり、韓流ドラマやK-POPで育った世代が、グルメ主体の第3次韓流ブームを牽引している。

「嫌韓は、心配していたほどではなかった」

東京・四谷の韓国文化院で、201959日、同院開院40周年記念特別企画展「2019韓国工芸の法古創新〜水墨の独白」の開幕式が行われた。黄星雲(ファン・ソンウン)院長は、聯合ニュースの取材に、着任前は日本国内の嫌韓に対する懸念があったが、心配していたほどではなかったと答えている。

 

黄院長は前年10月の着任直後に新大久保を訪れ、K-POP関連商品の販売店や韓国料理店に大勢の人が訪れるのを見て驚いたという。(中略)

韓国食ブームを牽引する10代から20
韓国ドラマやK-POPは下火になったが、近年、韓国グルメが浮上した。定番とされていた焼肉やキムチなどではなく、韓国で人気が出はじめた料理がリアルタイムで広がりはじめたのだ。(中略)

韓国食ブームを牽引しているのは、主に10代から20代の若い世代である。数年前まで中国人が占領していたソウルの繁華街・明洞は日本人で溢れかえり、日本のテレビや雑誌で紹介された飲食店など、韓国人客より日本人客の方が多い店すらある。(中略)

1次・第2次韓流ブームを牽引したのは30代以上で、政治に関心が高い世代でもあり、ブームは政治情勢に作用される。

 

一方、新たな韓流ファンは、第1次韓流ブームを牽引した祖母・母親世代の影響を受けながら成長した世代で、政治への関心が薄い世代でもある。【530日 Newsweek
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同様の内容を取り上げた記事も。

“グルメが火を付けた日本の新韓流 中心は1020代の若者”【515日 聯合ニュース

“日本に巻き起こる新韓流ブーム 10〜20代が主導”【5153日 聯合ニュース

 

一方、日本国内高齢者には、相変わらず根強い嫌韓感情があります。

 

****「なぜ嫌韓は高齢者に多いのだろうか」を改めて考える****

肌感覚で感じていた「嫌韓は若者より高齢者に多い」ということをコラムで取り上げたところ、異論が続出しているという批判的な記事がネット上に出た(「毎日新聞『なぜ嫌韓は高齢者に多い?』の記事に異論でまくり」)。(中略)

 

否定しがたい世代間の温度差

ただし、内閣府の世論調査を見る限り、現在の対韓意識には世代間の温度差が確実に存在する。(中略)

 

「親しみを感じる」と答えた人が5割を記録した2000年以降の調査を見てみよう。興味深いのは、いつも大きな世代差があるわけではないことだ。

 

常に若者の方が韓国を好意的に見ているのだが、好感度が過去最高だった09年には20代と70歳以上の差は5ポイントしかなかった。

 

ところが、日韓関係が暗転した12年にはこの差が30ポイントに拡大し、13年も24.2ポイント、好感度が最悪となった14年に31.8ポイントとなった。

 

1517年にはいったん格差が縮小したが、18年は再び27.8ポイントに広がった。好感度の低下を主導したのが高齢層であることがうかがえる。(中略)

 

弁護士への懲戒請求は平均年齢55

コラムでも取り上げたのが、朝鮮学校への補助金支出を批判するブログにあおられて約1000人が弁護士への懲戒請求を行った問題だ。匿名でできるというブログのウソを信じて署名なつ印した書類を弁護士会に送り、逆に弁護士から損害賠償を求められているというお粗末な話である。

 

NHKの「クローズアップ現代+」が昨年1029日に放送した「なぜ起きた? 弁護士への大量懲戒請求」の番組内容を紹介している公式サイトによると、懲戒請求を送った人のうちNHKの調べで住所などが判明したのは470人。平均年齢は55歳で、およそ6割が男性。職業は、公務員や医師、主婦や会社経営者など幅広かった。

 

接触に成功した91人に聞いた動機として最も多かったのは、「日本をよくしたいという正義感から」だったという。

 

この番組では背景として、自分が好む情報ばかり表示される「フィルターバブル」や同じ情報ばかりが行き交う「エコーチェンバー(共鳴室)」と呼ばれる現象がネット上では起きやすいと指摘。

 

さらに、匿名性の中で意見が過激化しやすい「脱抑制」や、より強い意見に引きずられる「集団極性」という現象もネット上に見られ、結果として極端な行動に出やすくなるという見方が示された。(中略)

 

冒頭に述べたように、きちんとした根拠のある批判はなんら問題とされるものではない。そして近年における韓国の対日外交には批判されるべき点が多いのも事実だ。

 

実際には、日韓両国を取り巻く過去30年の環境変化を見れば、韓国側の理屈はそれなりに理解できるものだ。そう考える私にしても近年の韓国外交には批判的な見方をせざるをえないのだから、不快に感じる人がいても不思議ではない。

 

しかし、だからといって根拠のない決め付けが許されるわけではないし、排外主義など論外である。感情的な議論は、自らの国益を害することにもなる。

 

在韓日本大使館に勤務した経験のある友人と「韓国に対してうんざりするのと、根拠のない決め付けに基づく嫌韓やヘイトスピーチは区別する必要がある」と話しているのだが、その区分があいまいにされがちなのも現在の日本における大きな問題だろう。【521日 WEDGE

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政治には関心がない(“関心がないゆえの”と言うべきか)若者層がけん引する韓国の日本ブーム、日本の第3次韓流ブームですが、こうした人々が増えれば政治の流れに変化も期待できる・・・・でしょうか?

 

いずれにしても、メディアやネットにあふれるステレオタイプな反日・嫌韓だけでない現実もあることは注視する必要があるでしょう。

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