(インドネシア・ジャワ島南方にある小さな点が、オーストラリア領・クリスマス島です)
【イラン・イラク難民 27人死亡】
昨日、オーストラリア・クリスマス島沖で難民を乗せた船が嵐で大破し、多くの犠牲者が出たとのニュースがありました。
****豪クリスマス島沖で亡命希望者の船が大破、死者数十人の恐れ*****
インド洋のオーストラリア領、クリスマス島沖で15日、亡命希望者を載せた船が岩礁に衝突して大破した。子どもを含む数十人が死亡した可能性がある。
報道や目撃者の情報によると、船には60~80人が乗っており、これまでに15~40人が救助された。
目撃者のフィリップ・スチュワートさんは、船が岩に激突してバラバラになり、乗船者がおぼれるのを見たという。スチュワートさんは英スカイニューズに、「彼らは岩に打ち付けられていた。助かった人は1人しか見ていない。島民は非常に動揺している」と語った。
事故は島民らの目の前で発生。海が荒れており、乗船者らが岩や船体に打ち付けられるのを前にして手も足も出なかったという。
地元議員のカマール・イスマイル氏はAFPの取材に対し、現場に着いたときには船は大破していなかったが、直後に波にあおられ、岩礁に打ち付けられたと証言した。
地元住民は生存者を引き上げようと努力したものの、「波が非常に高く、ほとんど手を出せなかった」という。
スカイニューズが放送した映像には、船が岸を目前にして荒波にもまれ、岩礁にぶつかって大破する様子が映っている。【12月15日 AFP】
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上記記事では、一体どこの国からの難民なのかということが分かりませんでしたが、その後の報道で、大破した漁船はインドネシアの木造船と見られ、イランとイラク出身者と見られる約80人が乗り込んでいたとのことで、27人の死亡が確認されており、41人が救助されたが、うち3人は大けがを負っているもようです。
【難民船が増加するオーストラリア】
中東のイランとイラクと、南半球オセアニアのオーストラリア・・・・ちょっとかけ離れた感じがしますが、クリスマス島はオーストラリア領とはいっても、インドネシア・ジャワ島沖、西オーストラリア州、パースの北西2360kmに対し、インドネシア、ジャカルタの南500kmにあって、アジアに一番近いオーストラリア領です。
オーストラリアには、内戦等で政情不安定なイラク、アフガニスタン、パキスタン、スリランカなどから多くの難民船が押し寄せ大きな問題となっています。
もちろん、難民は直接オーストラリアに来る訳でなく、各地を経由して比較的近いインドネシアなどからやってきますが、それを斡旋する業者も存在しています。
ラッド前政権時代に難民政策を緩和したことで難民船が急増し、クリスマス島に収容施設を設けました。
増加する難民に国民の批判も強まり、4月にはアフガニスタンおよびスリランカからの難民申請の受け付けを、その必要性が薄れたとして停止した経緯もあります。
****アフガン難民の受け入れ停止=「保護の必要薄れる」と判断-豪政府****
オーストラリア政府は9日、アフガニスタンおよびスリランカからの難民申請の受け付けを停止したと発表した。両国の国内情勢が改善しており、保護のために受け入れる必要が薄れたというのが理由。船で違法に渡ってくる両国からの難民申請者の増加は、豪州で大きな問題となっていた。
エバンズ移民・市民権相らは声明で、「豪州に住む権利は、本当に保護を必要としている難民申請者のみに与えられるべきだ」との考えを強調した。停止期間はスリランカ国籍者は3カ月、アフガン国籍者が6カ月。停止期間はさらに継続される可能性がある。【4月9日 時事】
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しかし、増加する難民のため、クリスマス島の収容施設もその収容能力を超えている状況です。
****クリスマス島、難民収容可能人数超える*****
(10年1月)22日から難民船2隻が新たに捕捉され、連邦野党はクリスマス島の収容所はすでにその収容可能人数を超えているとした。
当局によると、西オーストラリア北岸沖で捕捉された難民船には約70人の亡命希望者が乗っていたという。2010年に入ってから捕らえられた難民は250人以上で、最大収容人数1850人の施設は更なる負担を強いられている。
野党移民スポークスマンのモリソン氏は「人々はテントで暮らし、分散して生活している。現地では人種暴動も発生している」と語った。今週クリスマス島を訪問するモリソン氏は、新たに難民船2隻が到着したことで、亡命希望者は豪政府の国境防衛政策は「魅力的」と感じていると述べた。(後略)【1月24日 JAMS NEWS】
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09年11月には、“以前からいるアフガニスタン人と今年になって増えたスリランカ人との間で争いが始まり、双方あわせて約150人がビリヤードのキューやほうきの柄、木の枝などを持って乱闘に加わった”【09年11月23日 25today.com】といった騒動も報じられています。
【東ティモールへの受入れ打診は暗礁へ】
難民政策の不評がラッド前首相降板の一因となったこともあり、ギラード首相は就任後、難民収容施設の受け入れを東ティモールに打診していますが、現地の反発にあっています。
****豪の難民施設受け入れ、東ティモール議会が拒否 ギラード政権早くも暗礁****
オーストラリアのギラード政権が進める不法難民対策が早くも暗礁に乗り上げている。難民収容施設の受け入れを打診されていた東ティモール議会は12日、受け入れ反対を決議。ギラード政権は決議に法的拘束力がないとして、今後も東ティモール政府に受け入れを働きかける方針だが、同国住民の反発は強まるばかりだ。オーストラリア国内でも労働党が見直しを公約したハワード自由党政権時代の政策と同じだとする批判が高まり、首相は身動きがとれない状態だ。
東ティモールに設ける施設には、ボートでオーストラリアへの不法入国をはかる人々をすべて集め、難民資格を認めた人だけ同国への入国を認める。直接、入国できないため不法移民の斡旋業者に打撃を与えることができるとしている。
ハワード政権は南太平洋のナウルに施設を作り、同様の作業を行っていたが、同国が国連難民条約に署名しておらず居住環境も悪かったため、オーストラリアに国際的な批判が集中。前回総選挙で労働党が見直しを公約していた。
政権交代を受け、ラッド前首相はナウルの施設を閉鎖。ところが難民政策が緩和されたと知ってボートピープルが急増。ラッド政権は豪領クリスマス島に収容施設を設けたが一向に減らなかったために今度はラッド批判が高まり、これが「ラッド降ろし」の要因の1つになった。
ギラード首相は就任直後に政策見直しを表明。東ティモールのホルタ大統領や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と協議し、新構想を示した。
首相は「われわれは一国主義ではない。隣国と一緒に取り組む」としてハワード時代との違いを強調するが、国内からは「収容者への待遇が多少よくなるだけで中身は同じ」(地元エイジ紙)との声があがる。
一方、ナウルのスティーブン大統領は13日、豪政府に収容施設の再開を提案。必要なら国連難民条約への署名も行うと述べた。これに対し、ギラード首相は公約違反との批判が強まるのを恐れてか、提案には沈黙したままだ。【7月13日 産経】
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上記記事は3カ月ほど前の情報ですので、今現在のオーストラリアの難民政策はよくわかりませんが、今回難民船遭難事件はギラード政権を揺さぶりそうだとの観測もあります。
「移民の国」オーストラリアですが、他の多くに国同様に増加する移民・難民対策には苦労しています。
移民・難民に殆んど門戸を閉ざしている日本にはそれをとやかく言う資格はないことは、毎回言っているところですが。
現に、こういう難民は犯罪者になることが高確率だし正直百害あって一利なしって思うのは私だけでしょうか?
だいたい、しっかり手続きをとって申請してる人が却下されて違法で秘密裏に入国して入り込んでOKにするなんておかしいです。
こういう国民主権に関することを可哀想とか気の毒とか言ってる輩がオーストラリアにもわんさか居ますが日本も同じだなぁと本当に悲しくなります。