
(【4月28日 TBS NEWS DIG】 トラックで大勢が乗りつけ、被災家屋から手渡しリレーで次々に物資を運び出している当局関係者
この画像に関して言えば、「盗賊」まがいの行為なのか、捜査など何らかの目的を持った行為なのか・・・わかりません。普通に撮影されているということは、「盗賊」ではないのかも)
【形骸化した「停戦」】
「異例」というのは、これまでミャンマー軍事政権は内戦終結に向けたASEANとの合意事項を履行せず、ASEANの会議などへの軍事政権からの参加が拒否されていたのですが、今回ASEAN議長国のアンワル首相と国軍最高司令官の会談が行われたからです。
ASEANからすれば、巨大地震からの復旧が進まない現状を放置もできない事情もあってのことでしょう。
ASEAN議長国マレーシアのアンワル首相は18日までに、ミャンマー軍事政権トップのミン・アウン・フライン総司令官と会談したほか、軍と対立する民主派組織「NUG=国民統一政府」の幹部ともオンラインで協議しました。
これを受けて、戦闘状態にある軍事政権と民主派勢力の双方が一時的な停戦を延長する方針を示していました。
****ミャンマーの「一時停戦」30日まで延長 地震受け、国軍が発表****
ミャンマー国軍は22日、先月28日の大地震を受けて宣言した民主派や少数民族武装勢力との一時停戦を、30日まで延長すると発表した。地震後、人道支援を優先するためとして、国軍と抵抗勢力側が個別に停戦を表明していた。22日が当面の期限だった。
ただ国軍はこれまでも実際には空爆を継続しているとされる。独立系メディア「ミャンマー・ナウ」は、16日にも中部で複数の空爆があったと報じた。いずれも民主派の支配地域とされる。
ザガイン管区の村ではこの日朝、ミャンマーの新年を祝う祭り会場に爆弾が投下され、子供1人が死亡し、10歳未満の7人を含む少なくとも9人が負傷したという。住民は「機関銃による発砲もあった」と証言した。(後略)【4月22日 毎日】
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問題は、停戦延長の発表にもかかわらず、国軍の空爆が止まず、“停戦”が形骸化していることです。
“ミャンマーの独立系シンクタンクは、軍が地震後に被災地などで160回の空爆を行ったと指摘。独立系メディアは、軍の空爆で少なくとも80人が死亡したと伝えていて、停戦はもはや形骸化しているのが現状です。”【4月22日 TBS NEWS DIG】
****地震後1ヵ月間に空爆80回、ミャンマー国軍は本気で停戦する気があるのか イギリスのNGOが確認し非難****
ミャンマー中部を震源とする地震を巡り、英国を拠点とする非政府組織(NGO)の調査チーム「ミャンマー・ウィットネス」は28日、地震発生以降、少なくとも80件の空爆事件を確認したと明らかにした。国軍は4月2日に一時停戦を表明したものの、その後も抵抗勢力の支配地域などへの攻撃を継続、民間人が巻き込まれている。
◆8割は停戦表明後、衛星画像などから調査
調査チームは、ソーシャルメディアや報道機関から写真や動画などを集め、衛星画像と照合するなどして事件を裏付けた。
分析結果によると、3月28日から4月24日にかけて計80件の空爆事件を確認。このうち65件は、国軍の一時停戦表明後に行われていた。小型エンジン付きのパラグライダー「パラモーター」による上空からの攻撃も数件あったという。
空爆は12の州・地域で実行され、震源に近いザガイン地域の24件が最も多く、マンダレー地域の14件、チンとカイン(カレン)両州の各8件と続いた。
ミャンマー・ウィットネスの担当者は「私たちが集めたオープンソースのデータと記録された事件の規模は、停戦を表明した国軍の真剣さに深刻な疑問を抱かせるものだ」と非難した。【4月28日 東京】
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【本気で復旧、被災者支援に取り組む姿勢が見えない軍事政権 民主派支配地域への支援を妨害】
地震からひと月が経過しましたが、当然のごとく、こうした状況では巨大地震からの復旧、被災者支援もまったく進んでいません。軍事政権には本気で復旧、被災者支援に取り組む姿勢が見えません。
****住宅6万戸以上が被害 生活再建の糸口見えず ミャンマー地震1カ月****
ミャンマー中部を震源とする大地震の発生から28日で1カ月を迎える。
被災地ではがれきの撤去などの作業が続いているが、首都ネピドーや第2の都市マンダレーの被害が大きかったため政府機能や経済活動が停滞している。公的な支援をほとんど受けられていない被災者も多いとみられ、復興の道筋は見通せないままだ。
国営メディアによると、地震により6万3000戸以上の住宅が倒壊や損壊の被害を受け、ネピドーでは多数の官庁ビルなども被災した。
軍事政権トップのミンアウンフライン国軍最高司令官は18日、被害を受けた建物に対して財政支援を行う考えを明らかにし、官庁ビルの再建は耐震性を重視するよう指示した。ただし、財源の確保は難しいとみられる。
一方で、複数の地元独立系メディアは外務省や中央銀行などが一時的に最大都市ヤンゴンに移転すると報じている。
国連人道問題調整事務所は、地震の影響を受けた人は1720万人と推計。発生から数週間がたっても430万人以上が水道設備の損壊や広範囲の停電により、清潔な水やトイレなどの衛生設備を必要としていると指摘した。
軍事政権が発表する被害状況は、23日時点で死者3759人、負傷者5107人、行方不明者114人に上る。民主派武装組織の影響が強い地域では情報収集が徹底できておらず、実際の被害はさらに多い可能性がある。
国軍は22日、人道支援を優先するためとして民主派や少数民族武装勢力との一時停戦の期限を30日まで延長した。しかし、当初の期間中も空爆を継続して停戦は形骸化しており、復旧の足かせとなっている。独立系メディア「ミャンマー・ナウ」は23日にも北西部ザガイン管区の村で空爆があり、5人が死亡したと報じた。【4月27日 毎日】
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単に軍事政権の復旧・被害者支援への対応が鈍いというだけでなく、特に民主派支配地域への支援については、これを妨害していると報じられています。
****ミャンマー地震発生1カ月 「ボランティア追い返す」軍事政権下での進まぬ支援活動 内戦続く悲痛な現実****
ミャンマーで大地震が発生して、28日で1カ月。
これまで数々の被災地で支援してきた神戸のボランティア団体が現地での支援の困難さを訴えた。内戦が続く現地の悲痛な現実だ。
■3700人以上が死亡 マグニチュード7.7の大地震から1カ月
3月28日、ミャンマー中部マンダレー付近を震源にマグニチュード7.7の大地震が発生。3700人以上が亡くなった。
多くの建物が崩壊し、いまでも20万人以上がブルーシートなどを張って、避難生活を続けている。
26日、神戸市で開かれたミャンマー支援の報告会を開いたボランティア団体「CODE」。
「CODE」海外災害援助市民センター 吉椿雅道事務局長:これから雨季がくるので、『住宅が必要だ』と言うんですけど、『私たちには再建する力はない』と言っていました。日本だったら自治体や政府がある程度データを把握し、支援や復興計画を立てるけど、そういうものが全くない。今後の方向性が誰も分からない状況。
■これまで経験したことのない支援の難しさ 内戦が続くミャンマー
阪神・淡路大震災をきっかけに、国内外で被災地支援を続けている吉椿さんは、4月9日から現地入りした。
「CODE」海外災害援助市民センター 吉椿雅道事務局長:徐々に色んな物資はそろい始めているので、何もない所に寝てる人は少なくなっている。上にシートを張って、日除けや雨除けをしている、大半の人がそういう状況です。
支援物資を配ったり、ニーズを聞き取るなどしたが、現地で直面したのは、これまで経験したことのない支援の難しさだった。
2021年の軍事クーデター以降、国軍が支配権を握り、民主派勢力との内戦が続くミャンマー。
軍事政権は、民主派が多く住む地域に入ろうとする海外からのボランティアを追い返したり、支援物資を積んだトラックの運航を認めなかったり、海外からの支援に制限をかけているのが現状だ。
「CODE」海外災害援助市民センター 吉椿雅道事務局長:誰でもOKっていうわけじゃないので、規制とかプレッシャーがありながらの支援活動。軍事政権下なので、組織的な支援、コーディネーションができていない。そこが最大の課題です。
■仮設住宅なども用意されず…声を上げると「逆に火の粉が降り注ぐ可能性」
地震による火災で広い範囲が焼けた地域でも、仮設住宅などは用意されておらず、衛生環境が悪い中で生活している。
「CODE」海外災害援助市民センター 吉椿雅道事務局長:本当はそれに対して、国際社会はもっと声を上げないといけないけど、声を上げることによって、現地のNGOや、一生懸命支援をしようとしている人たちに、逆に火の粉が降り注ぐ可能性もある。だから名前とか、地域を言えないこともいっぱいある。
■支援を求める声すらあげられない「軍人の耳に入ると危なくなる」
被災地近くで暮らし、今は日本の団体と一緒に支援活動をしているミャンマー人に話を聞いた。
被災地近くに住む支援をする人:地震があった2日3日、1週間、10日間は、食べ物のこと(支援)をやっていました。今は食べ物より、これから壊れた自分の家をどうするか。内戦で軍人は地震のことを何も助けてくれない。(こういう話を)他の人に言ったら、軍人の耳に入るかもしれないから危ない。だから自分の命は、自分で守っています。
■世界のつながりを考える事が大事
支援を求める声すらあげられない現状。それを目の当たりにした吉椿さんは、私たちに強く訴える。
「CODE」海外災害援助市民センター 吉椿雅道事務局長:意識して考えないといつまでたっても他人事でしかない。世界でこれだけ気候変動や災害、戦争が起きている中で、『私たちには関係ない』、『私たちは安全だ』と言っていれば、世界はよくならない。神戸(阪神・淡路大震災)の時は、70カ国が支援してくれた。世界って見えないところで支えあっている。もう一度その国と私たちがどうつながっているのかを考えることが大事だと思います。
遠く離れたミャンマーで起きた地震から1カ月。
支援が届きにくい場所に、私たちがいまできることはあるのだろうか。(関西テレビ「newsランナー」2025年4月28日放送)【4月28日 FNNプライムオンライン】
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【軍が被災した家から略奪しているとの訴えも】
軍事政権の復旧・被害者支援への取組が鈍いだけでなく、軍が被災した家から略奪しているとの訴えも。
****「ミャンマー軍が被災した家から略奪」「軍は盗賊」ミャンマー大地震発生から1か月 被災地住民の訴え****
ミャンマー大地震の発生からきょうで1か月。被災地の住民はJNNの取材に対し、軍事政権下で国際支援が届かない中、ミャンマー軍が被災した家から略奪をしていると訴えています。
ミャンマー軍事政権は、先月28日に起きた大地震について、犠牲者がきのう時点で3769人と発表しています。
最も被害が大きいとされる北部ザガインに住むマウンさん(仮名)は、自宅の倒壊で、父親ときょうだい3人を失いました。
ザガインに在住 マウンさん(仮名)
「今もまだ現実を受け入れることができず、心の整理がつきません」
1か月が経ち、各国の救援部隊はほとんど撤収しましたが、ミャンマー軍は、ザガインなどで国際支援物資を十分に配布していません。さらに軍や当局は被災した家屋を解体し、家財道具などを持ち去っているとマウンさん(仮名)はいいます。
ザガインに在住 マウンさん(仮名)
「トラックですべて運びだされてしまうため、私たちは自宅から何も回収できない。軍は盗賊だ」
今も余震におびえる被災者たちは生活再建のめどがたたず、路上での過酷な生活を強いられています。【4月28日 TBS NEWS DIG】
ミャンマー軍事政権は、先月28日に起きた大地震について、犠牲者がきのう時点で3769人と発表しています。
最も被害が大きいとされる北部ザガインに住むマウンさん(仮名)は、自宅の倒壊で、父親ときょうだい3人を失いました。
ザガインに在住 マウンさん(仮名)
「今もまだ現実を受け入れることができず、心の整理がつきません」
1か月が経ち、各国の救援部隊はほとんど撤収しましたが、ミャンマー軍は、ザガインなどで国際支援物資を十分に配布していません。さらに軍や当局は被災した家屋を解体し、家財道具などを持ち去っているとマウンさん(仮名)はいいます。
ザガインに在住 マウンさん(仮名)
「トラックですべて運びだされてしまうため、私たちは自宅から何も回収できない。軍は盗賊だ」
今も余震におびえる被災者たちは生活再建のめどがたたず、路上での過酷な生活を強いられています。【4月28日 TBS NEWS DIG】
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ただ、何の目的で軍・当局がそうした行為を行うのか、よくわかりません。
訴えのように盗賊まがいの行為なのか、それとも捜査など何らかの目的があっての行為なのか。