孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

中国・新疆ウイグル自治区  「発砲しろ」・・・「再教育施設」の戦慄の実態 「新疆公安ファイル」公開

2022-05-24 22:53:01 | 中国
(テケス看守所内部を撮影したとされる写真。収容者が手錠、足かせ、覆面をつけられ連れ出されている。訓練とみられる。画像データによると、撮影は2018年9月25日午後4時31分=「新疆公安ファイル」より【5月24日 毎日】)

【真相はわからないことだらけ】
バイデン米大統領の「台湾防衛」の意思を明確に示した発言が、歴代米政権の「あいまい戦略」を踏み越えたものか、それとも「失言」か・・・多くの識者の考えが報じられていますが、(誰しも思うことなのに)誰も言わないことがひとつ。

バイデン大統領のこの問題での「失言」だか「発言」だかは3回目です。そのたびにホワイトハウスは火消しに。

この問題は世界の平和・安定に直結する米中関係の根幹をなすものです。
もし、これが単なる「失言」であれば、バイデン大統領はお気の毒ながら、何度説明されても問題の重要性が理解できない認知症を患っている・・・としか考えられず、とても「核のボタン」を管理できる状況になく、即刻辞任を考えるべきでしょう。

そういう“当たり前”のことを誰も言わないというのは、言ってはいけないタブーなのでしょうか?
そこらは白黒はっきりさせると、どっちに転んでも面倒になるということで「あいまい戦略」でしょうか。

もし、バイデン大統領が認知症を発症していないとすれば、単なる失言ではなく、表向きのアメリカ政府の立場を追求されないように敢えて個人的「失言」の形で中国を牽制したもの・・・ということになるでしょう。なかなか手の込んだ対応です。

“お気の毒なお年寄り”か“喰えないジジイ”か・・・真相はわかりません。
別に国際関係だけでなく、世の中、真相はわからないことだらけですが。

【信ぴょう性がありそうな「新疆公安ファイル」公開】
中国の新疆ウイグル自治区における「ウイグル族弾圧」に関しても、真相はわからないけど、これまでの疑惑を裏付けるような重要な情報が。

欧米は新疆ウイグル自治区におきて100万人規模の住民が「強制収容所」に拘束されていると非難してきましたが、中国側はイスラム主義テロの過激思想に対処するための職業訓練所だとし、2019年終盤には全員が「卒業」したと発表しています。

****「逃げる者は射殺」 中国のウイグル族「再教育施設」内部資料が流出****
中国新疆ウイグル自治区で少数民族のウイグル族らが「再教育施設」などに多数収容されている問題で、中国共産党幹部の発言記録や、収容施設の内部写真、2万人分以上の収容者リストなど、数万件の内部資料が流出した。

「(当局に)挑む者がいればまず射殺せよ」などと指示する2018年当時の幹部の発言や資料からは、イスラム教を信仰するウイグル族らを広く脅威とみなし、習近平総書記(国家主席)の下、徹底して国家の安定維持を図る共産党の姿が浮かぶ。
 
今回の資料は、過去にも流出資料の検証をしている在米ドイツ人研究者、エイドリアン・ゼンツ博士が入手した。毎日新聞を含む世界の14のメディアがゼンツ氏から「新疆公安ファイル」として事前に入手し、内容を検証。取材も合わせ、同時公開することになった。
 
幹部の発言記録は、公安部門トップの趙克志・国務委員兼公安相や自治区トップの陳全国・党委書記(当時)らが会議で行った演説。特に陳氏の発言記録は「録音に基づく」とあり、正式な文書にまとめられる前の感情が交じった言葉が並んでいる。
 
収容政策で重要な役割を果たした陳氏は17年5月28日の演説で、国内外の「敵対勢力」や「テロ分子」に警戒するよう求め、海外からの帰国者は片っ端から拘束しろと指示していた。「数歩でも逃げれば射殺せよ」とも命じた。
 
また、18年6月18日の演説では、逃走など収容施設での不測の事態を「絶対に」防げと指示し、少しでも不審な動きをすれば「発砲しろ」と命令。習氏を引用する形で「わずかな領土でも中国から分裂させることは絶対に許さない」と述べ、「習総書記を核心とする党中央を安心させよ」と発破を掛けていた。
 
内部の写真が流出したのは、自治区西部イリ・カザフ自治州テケス県の「テケス看守所(拘置所)」とされる収容施設。抵抗や逃走防止の訓練とみられる様子などが撮影されている。
 
写真では、手錠や足かせ、覆面をつけられ連れ出された収容者が、「虎の椅子」と呼ばれる身動きができなくなる椅子で尋問を受けている。また、銃を持つ武装警察らが制圧訓練をしているとみられる写真や、収容者が注射のようなものを受けている写真もある。
 
これらは、中国当局が過激思想を取り除くためなどとして運用した「再教育施設」の元収容者が証言した内容とも一致した。
 
収容者のリストには、身分証番号や収容の理由、施設名などが記されている。主に自治区南部カシュガル地区シュフ県在住のウイグル族など少数民族のもので、ゼンツ氏は、数千人分を含む452枚のリストを検証。17〜18年の時点で、シュフ県の少数民族の成人のうち12・1%(2万2376人)以上が「再教育施設」、刑務所、拘置所に何らかの形で収容されていると推計した。別に警察署などで撮影された収容者約2800人の顔写真も流出した。
 
資料を見ると、1980、90年代にモスクでイスラム教を学んだなどとして17年に拘束され、テロ行為の準備罪で懲役15年の判決を受けたケースなど、テロとの結びつきが疑問視されるものが目立つ。中国当局が少しでも宗教色があると判断すれば「再教育施設」や刑務所に収容しているケースが多いとみられる。
 
この問題をめぐっては、国連のバチェレ人権高等弁務官が23日から6日間の日程で中国を訪問中だ。欧米諸国が人権侵害を指摘する自治区を訪れる。しかし、中国側は「政治的に利用することに反対する」として、人権問題の調査が目的ではないと強調している。国連外交筋は「(何も問題はないという)中国側の宣伝に利用される危険がある」と警戒を示している。
 
中国政府は「職業技能教育訓練センター」と呼ぶ「再教育施設」について、イスラム教の過激思想の影響を受けた人物によるテロ行為を防ぐために設置し、19年後半に運用を終えたとしている。中国語の学習や食品加工などの職業訓練を行ったとも主張。欧米からの「ジェノサイド」との指摘には「荒唐無稽(むけい)で、下心あるデマだ」と反論している。
 
流出文書を検証した14のメディアは、内容について共同で中国外務省にコメントを求めた。
 
日本時間24日午前9時段階で回答はないが、在米中国大使館の報道官は問い合わせに対し「新疆に関する問題は本質的に反テロ、脱過激化、反分裂主義にあり、人権や宗教問題ではない」と強調。「深刻で複雑なテロ対策の状況に直面し、新疆は、断固とした強固で効果的な脱過激化の措置を多数講じてきた。その結果、新疆では数年間連続して暴力的なテロ事件は発生していない。新疆は現在社会の安定と調和、経済の発展と繁栄を享受している」と回答した。個別の質問には答えなかった。【ニューヨーク隅俊之】
   ◇
流出した内部資料は、情報提供を受けた世界の14のメディアが取材・確認を進めた上で、取材結果を共有して検証の精度を高めた。
 
ゼンツ氏によると、資料は新疆ウイグル自治区南部カシュガル地区シュフ県と西部イリ・カザフ自治州テケス県の公安当局のコンピューターに保存されていたもので、第三者がハッキングを通じて入手し、ゼンツ氏に提供したと説明している。
 
14のメディアは、収容者リストに載っている人の家族への取材や流出写真の撮影情報の確認、衛星写真との比較、専門家への鑑定依頼などを行った。毎日新聞は検証で確認された情報の信ぴょう性と社会的意義から報道する価値があると判断した。
   ◇
今回の報道に参加したメディアは以下の通り。
BBC News(英)▽ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)▽USA TODAY(米)▽Finnish Broadcasting Company YLE(フィンランド)▽DER SPIEGEL(独)▽Le Monde(仏)▽EL PAIS(スペイン)▽Politiken(デンマーク)▽Bayerischer Rundfunk/ARD(独)▽NHK WORLD−JAPAN(日本)▽Dagens Nyheter(スウェーデン)▽Aftenposten(ノルウェー)▽L’Espresso(イタリア)▽毎日新聞
【5月24日 毎日】
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BBCなど一定に信頼性のあるメディアが検証したうえでの報道ということですから、素人的には信用してもいいかな・・・という感じがあります。

“少しでも不審な動きをすれば「発砲しろ」”という状況は、世間一般では「職業訓練施設」とは言いません。

かねて言われている「100万人」という規模については、個人的には「いくらなんでも多すぎるのでは・・・」という疑念もあったのですが、習近平国家主席の指示のもとで「200万人」規模を計画していたとか。

さすが、14億人の人口を抱える国なると、発想も日本のような島国とは違う・・・ということでしょうか。

****新疆収容施設の建設、習氏が指示 英BBC報道、目標200万人****
英BBC放送電子版は24日、中国新疆ウイグル自治区で少数民族の収容施設を建設するよう習近平国家主席が指示していたとする内部資料の内容を報じた。2018年当時の記録で、「過激な思想」を持つ200万人を収容することが目標だったという。中国の人権状況に関する国際社会の懸念がさらに高まりそうだ。
 
内部資料は政府幹部の発言記録など複数あり、新疆の警察のコンピューターから流出したという。趙克志公安相が18年6月に新疆を訪れた際に演説し、収容のための施設建設や資金増額の「重要な指示」を習氏が出したと称賛していた。【5月24日 共同】
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中国側は「嘘」「デマ」と否定しています。

****中国政府「嘘の流布」ウイグル族「再教育施設」内部資料流出報道受けて****
イギリスの公共放送BBCなどが、中国の新疆ウイグル自治区の内部資料として報じた2万人を超える収容者リストなどについて、中国政府は「嘘の流布だ」などと反論しました。

イギリスBBCなどは24日、中国の少数民族のウイグル族らを対象にした「再教育施設」に関する内部資料として、中国共産党幹部の発言記録や2万人以上の収容者リストなどを報じました。

これについて、中国外務省の汪文斌報道官は。

中国外務省 汪文斌報道官
「嘘やデマの流布では世の中の人を欺くことはできない」

記者会見で「嘘の流布だ」などと反論、「新疆ウイグル自治区の経済は発展、人民は安定して生活し仕事を楽しんでいる」と主張しました。

今回の報道は、中国を訪れている国連のバチェレ人権高等弁務官の新疆ウイグル自治区訪問に合わせ、BBCなど世界14のメディアがアメリカにいるドイツ人研究者が入手したという資料をもとに一斉に伝えました。【5月24日 TBS NEWS】
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【沈黙するバチェレ人権高等弁務官を牽制する側面も】
国連のバチェレ人権高等弁務官の新疆ウイグル自治区訪問については4日前の5月20日ブログ“中国・新疆ウイグル自治区 不妊処置を示す人口動態か 国連人権高等弁務官が今月中国訪問”でも取り上げたところですが、中国側の「やらせ」「お膳立て」による「弾圧隠し」、更には「(何も問題はないという)中国側の宣伝に利用される危険」が指摘されており、沈黙を守るバチェレ人権高等弁務官に対しアメリカは批判も。

****米、中国の新疆訪問制限を懸念 国連人権弁務官の沈黙批判****
米国務省のプライス報道官は20日の電話記者会見で、バチェレ国連人権高等弁務官が予定している中国新疆ウイグル自治区訪問について、中国政府に行動を制限されるとの懸念を表明した。

バチェレ氏についても「中国政府が新疆で人権侵害をしている疑う余地のない証拠があるのに沈黙している」と批判した。

中国外務省は20日、バチェレ氏が中国政府の招待で23〜28日に訪中すると発表。米政府や人権団体は、人権侵害はないとする中国側の宣伝に利用される恐れがあると警戒を強めている。

プライス氏は「完全な評価のために必要な立ち入りを中国が認めるとは思えない」と述べた。【5月21日 共同】
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今回の「新疆公安ファイル」公開は、こうしたバチェレ国連人権高等弁務官の対応を牽制するものともなっています。
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