(インド国境警備隊のラクダ部隊 “flickr”より FriskoDude )
昨日面白い記事を目にしました。
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スーダン西部ダルフール地方の紛争地域へ国連とアフリカ連合の合同平和維持部隊を派遣する計画について、インドがラクダ部隊を提供し同部隊の輸送面を支援することが分かった。インド国境警備隊(BSF)によると、前週、国連から派遣要請があったという。
BSFのラクダ部隊は、インド西部ラジャスタン州およびグジャラート州での偵察任務に就いている。その任務はパキスタンからの武器・麻薬密輸追跡や夜間巡回など広範囲にわたる。
現在、軍事目的でラクダを利用する国は、インドと南アフリカの2か国だけだ。【11月22日 AFP】
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この記事によると、BSFが徴用するラクダは、銃声に反応しないよう訓練されているほか、「ほふく前進」など軍隊特有の動作にも従えるよう調教されているそうです。
ラクダ自身がほふく前進するのでしょうか?
また、ラクダは武器を背負ったまま、1日で最長80キロの距離を移動できる完ぺきな輸送手段で、休憩時間も短くてすむとのこと。
スーダン・ダルフールについてはこのところ、リビアでの和平会議の失敗、南部の統一政府からの離脱など将来を懸念させるニュースばかりですが、現地実情に対応したラクダ部隊の活躍を期待します。
(ワガでの印パのフラッグセレモニー “flickr”より By Sapna Kapoor )
BSFが管理するインド・パキスタン国境は緊張地帯のひとつですが、パキスタンのラホール近くの国境“ワガ”という場所で毎日行われる両国国境警備隊のフラッグ・セレモニーは、観光的に人気を博しています。
その様子を旅行会社「西遊旅行」のPRサイトから引用すると次のとおりです。
『この国境では、毎日毎日、夕刻になると、両国の群集による応援合戦のようなセレモニーが行われています。
パキスタン側からは「フレーフレーパキスタン!」インド側からは「インド万歳!」という自国をたたえる歓声が応援歌と共に30分以上続き、さらに衛兵による行進が行われます。盛り上がりが最高潮に達した後、両国の国旗がゆっくりと降ろされ、セレモニーは終わりを迎えます。イメージとして持っていた印パの関係とあまりにもかけ離れた、思わず吹き出してしまうような楽しい応援合戦。
「世界中の国境でこのセレモニーをすればいいのに・・・・。」「実際に来て見ないと、世界の現実はわからないわね。」「ニュースを見る目が変わった。」お客様からいただいた言葉です。』
(“flickr”より By Sapna Kapoor )
刺々しい国際ニュースだけに縛られない複眼的視野もまた有用では。
しかし、このセレモニーの衛兵は、黒澤映画の中のようにビジュアルです。
頭の飾りはどういう由来なのでしょう?
インド側が赤い頭飾りなのに対し、パキスタン側衛兵は黒の飾り・軍服で対抗しています。
周囲はインド側、パキスタン側それぞれ黒山の人だかりです。(女性はスカーフなどを被っていますので、“黒山”ではなくカラフルですが・・・)
非常事態宣言下の今もやっているのでしょうか?
印パ国境というと“カシミール”ということになる訳ですが、ムスリムのための国家として建国したパキスタンとしては、ムスリム住民が過半をしめるこの地方を併合したい。
多宗教の共存を国是とするインドとしては、ムスリムが多いからといってパキスタンに渡したのでは建国の趣旨に反する・・・ということで互いに建国の理念がかかった問題でなかなか妥協が困難なようです。
そのカシミール地方でも、インド領とパキスタン領とに分割し事実上の国境となっている「実効支配線」沿いでは3年前から停戦状態が続いており、支配線の両側に分かれて住む家族の再会支援を目的に、06年6月の同意で、支配線をまたぐバスが運行されています。
ただし、ビザ発給や通信などの制限はまだまだ多いようですが。
インドは北部で中国にダイレクトに、またはネパールを介して接していますが、中国から毎年平均2,500人のチベット人が亡命したダライ・ラマの率いるチベット政府があるインドのダラムサラへと、ネパール国境越えを試みているそうです。【2006年10月18日 IPS】
89年にネパール政府とUNHCRはいわゆる紳士協定を結び、チベットからの難民に第3国への中継地としての通過は認めることになっています。
このネパール経由でインドに向かうチベット難民に対し、中国国境警備部隊が銃撃を加える映像が公開されて国際的に批判が高まったこともあります。
インド国境を西に向かうと隣はバングラデシュ。
バングラデシュとの国境をめぐる話題としては、このな記事も。
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インド東部の村では、隣国バングラデシュへの密輸を防ぐため、牛に写真付きIDカードを発行している。現地当局者らが明らかにした。
インドの国境警備隊(BSF)の職員はロイターに対し「少し奇妙に思うかもしれないが」と前置きした上で、牛とその持ち主が特定されることにより、警備隊だけでなく現地警察当局の助けにもなると説明した。
ヒンズー教徒の多いインドでは、神聖な存在として扱われている牛の輸出は禁止されている一方、イスラム教徒の多いバングラデシュでは牛肉を食すため、インド牛に対する需要は高い。
当局の調査によると、昨年にインド東部にある西ベンガル州からバングラデシュに密輸された牛は約43万5000頭に上る。
【7月29日 ロイター】
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(BSF兵士と女 “flickr”より By salman nizami !!! Journalist From India(J&k))
最後にBSF関連の写真を探していて見つけた1枚。
たくましい兵士の腕に、安全を祈る紐“Rakhi”を巻く女・・・
いかにもステレオタイプではありますが、いかにも“やらせ”写真のようですが、それでも男心をフニャフニャにしてしまう1枚です。
国境の向こう側でもこちら側と同様にこのような人々の情愛が存在することに、政治に携わる者が少しでも想像力を持ってもらえば・・・なんて考えてしまいます。