孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

パキスタン  “プッツン”指導者への説得工作

2007-11-08 15:19:03 | 国際情勢

(非常事態宣言に抗議する学生集会 11月5日撮影 ラホール経営大学  “いちご白書”の趣も・・・ “flickr”より By rchughtai )

日本の政局は小沢民主党党首の迷走で右往左往していますが、もとの鞘におさまるとか。
安全保障とか大連立とか言う前に、党員にも国民にも説明しない、問われると開き直り「意見を異にする者は出て行くしかない」とか「辞める」とか凄む、こういう政治スタイルはやはり困ります。
彼の言い様を真似れば、「その一字をもって政治家、いわんや党首の資格はない」と言わざるを得ません。

恐らくあの人は、政権奪取には興味あっても、首相にもなりたくはないのでは。
裏で糸を引く存在でいたいのでは。実際に首相になったら、発言・行動のすべてをチェックされる訳で、多分1週間と我慢できないのでは。
そんな資質に問題のある人間にすがりついて、なだめすかし、党首に戻ってもらわねばならない民主党の醜態・内部事情にも困ったものです。

国際的にも、主に最高裁に対し“プッツン”してしまったリーダー、ムシャラフ大統領をなだめすかすのにアメリカは懸命のようです。

ゲーツ米国防長官は5日「すべての支援プログラムを再検討する」と軍事援助の見直しに言及しました。【11月5日 毎日】
米国は米同時多発テロ以降、パキスタンに軍事分野を中心に約100億ドル(約1兆1500億円)を援助しています。
一方、米政府関係筋によると、対テロ戦争の同盟国であるパキスタンへの援助は現在検討中としましたが、イスラム過激派や国際テロ組織アルカイダとの戦いに必要な援助の凍結や削減については否定したそうです。【11月6日 AFP】

ブッシュ大統領も報道陣に対し、ムシャラフ批判は避け、同氏を「過激派に立ち向かう強い闘士」だと評価、今後も対テロ戦争で協力を得ることに期待を示したそうです。
ブッシュ大統領のこのような発言は、民主化要求と対テロ戦争での協力確保の間でジレンマに陥りながらも、米国の最優先課題は対テロ戦争の推進であることを明示したものだと伝えられています。【11月6日 毎日】

アメリカはかねてよりライス国務長官を通じて、総選挙の早期実施と陸軍参謀長辞任の実現に向けて働きかけています。
ブッシュ大統領はあらためてムシャラフ大統領に電話で「大統領と軍のトップを同時に務めることはできない」などと伝えたと、サルコジ仏大統領との共同記者会見で明らかにしました。
「非常に率直な会話だった」そうですが、ムシャラフ大統領の反応については説明はありませんでした。【11月8日 毎日】

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ムシャラフ氏への批判を避ける米国の姿勢は、9月に民主化運動を弾圧したミャンマー軍事政権への迅速な制裁強化とは対照的で、民主化をめぐる米国の「二重基準」との批判が強まっている。ブッシュ大統領は「パキスタンはすでに民主化の途上にあるが、ミャンマーはそうでない。(民主化という)共通の目標を追求するにも異なる戦術が必要だ」と対応の違いを正当化した。【11月8日 毎日】
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ムシャラフ大統領は「欧米の民主主義とはレベルが違う。時間を与えてほしい」と発言していますが、ブッシュ大統領によれば「パキスタンとミャンマーでは民主主義のレベルが違う。異なる戦術が必要だ」ということです。

ムシャラフ大統領に代わる人材がいない、テロとの戦いに勝てるのか?力量不足ではないか。核兵器がイスラム過激派の側に渡るような事態はなんとしても避けたい・・・そういった内部事情で、“プッツン”したリーダーに「もう一度民主政治にもどってほしい」となだめすかす様は、民主党の慰留工作にも似ています。

ひとつ違うのは、小沢さんは「辞める」というのですからほっておけばよかったのですが、ムシャラフ大統領は“実質的戒厳令による強権指導者”として居座るということですので、なんとかなだめすかすのも、また必要されるところです。

今回の非常事態宣言発令に大きな影響力があったとも言われる与党パキスタン・イスラム教徒連盟のフサイン総裁が、非常事態宣言は2-3週間以内にも解除されるとの見方を示したそうです。【11月7日 AFP】
ムシャラフ大統領は5日、大統領選での再選が確定すれば、兼務する陸軍参謀長を辞任する意向を改めて明らかにしました。【11月6日 朝日】
また同日5日、ムシャラフ大統領は各国大使に「総選挙をできる限り予定通り(1月)に実施するよう努力する」と伝えたそうです。【11月6日 AFP】

パキスタンも速やかに落ちつところに落ちつくのでしょうか。

コメント
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