私は評論的に書くことが好きではなく、事実を引き合いに出して書くことが好きです。ゴッホについて書くときも、美術の世界では、お金がかかる事実があって、それを身にしみて感じているから、共感をするし、家族や親族から援助を受けている事実も、実は自分とそっくりなのです。15万円という額ですが、それは、部屋代や食費さえも含むので、ゴッホにとっては、まったく、正当な貧乏生活であって誠実のみぎりの生活だという自覚があることも、アトリエで一人暮らしを経験した身、そして、海外で滞在型研修を三回も続けた、身には、よおく、よおく、わかることなのです。
芸術家という種族にとって、漂泊の生活はとても、よいのです。定着して蓄財に励むなどというのは芸術家の、姿とは遠いものです。だから、ゴッホのオーヴェール生活は真に理想的なものでした。が、その影で、車輪に轢かれるようにして、弟テオが犠牲になったというのが、その番組の新説です。
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特に弟テオが結婚をして子供ができました。その新婚家庭に、ゴッホが訪問をした際に、どうも、口論があったらしいのです。それは誰も、文章として記録していないそうですが、ゴッホが友人たちに会う約束をキャンセルして、急にオーヴェールへ帰ったことから、その推理が成り立つのだそうです。
つまり、三日ぐらい弟の家に滞在する予定だったのが、一日程度で急に帰ったわけです。私は弟が独身時代には、ゴッホは、その部屋で自由に滞在できたが、お嫁さんがいる家では、わがままができなくなっていたし、
その上、お金の側面でも、奥さんから、テオは、
「お兄さんに、もう、送金を止めるといいなさい」などと、責められていたのでしょう。
ここから先は番組でも触れなかった、例の私固有の見てきたようなうそをいい、の類ですが、奥さんがわざと、隣室で、「お金が無い」とか、「お金が足りない」いうせりふをゴッホに聞こえるような大きさで、吐いたとしましょう。
子供を産んだ女性は、悪い言葉で言えば、したたかというか、よい言葉で言えば「母は強し」で、はっきりものをいう可能性はあります。一種の計算に基づいて、そういう言葉を出すことはあるでしょう。
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ゴッホはもちろんびっくりして、次の日の早朝に帰宅したわけです。しかし、決定的にテオから縁切りをされているわけではないから、テオに手紙を出します。
その内容はゴッホファンにとっては残念なものですが、弟に、見当はずれな忠告をしたものです。つまり、「孫を見せるためにオランダにある奥さんの、実家訪問をかねた旅行をするのを、止めなさい」と言った手紙なのです。「それは、お金がかかりますよ」という言葉を添えて。
奥さんはそれを、読んで怒ったと思いますよ。で、二人はゴッホに逆らって旅行を決行しました。しかも、奥さんはその際に、パリに戻りませんでした。<<<孫を見せに帰ったついでに、実家に戻ってしまった>>>というよくあるケースです。
『夫の優柔不断を見限っているわけです』。この二重カッコ内の一行はテレビでは言われておりませんが、私はそうだったと感じます。それに、テオは追い詰められてしまいました。
奥さんをとるか、お兄さんをとるかの綱引きに追い詰められてしまったのです。もしゴッホが察しのよい人間で、しかも気弱な人間だったら、ここで、テオは、自分の主張をゴッホに告げて、ゴッホが絵描きを止めて、労働者(たとえば農家の小作人として働く)こともあったかもしれないのですが、
ゴッホはすこぶる強い人だったのです。あのゴーギャンさえも追い詰めた人なのですから、弟テオを追い詰めていても、
しかもそれに、気が付いていても、その対策に当たって、自分が絵を描くのを止めることを、考え及びはしませんでした。自分から絵を止めるとは言わなかったのです。
言葉で説得ができなかったので、テオはピストルでゴッホを撃ったというのが、その新説です。うーん、書くのも疲れますが、それでも、これは、さまざまなことを考えさせられる、事実なので、さらに連続して考え続けましょう。ただ、長くなるので、ここで、一回ほどきります。どうか、よろしく。
2009年11月1日、これを書き、送るのは、後で、
雨宮舜(川崎千恵子)
芸術家という種族にとって、漂泊の生活はとても、よいのです。定着して蓄財に励むなどというのは芸術家の、姿とは遠いものです。だから、ゴッホのオーヴェール生活は真に理想的なものでした。が、その影で、車輪に轢かれるようにして、弟テオが犠牲になったというのが、その番組の新説です。
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特に弟テオが結婚をして子供ができました。その新婚家庭に、ゴッホが訪問をした際に、どうも、口論があったらしいのです。それは誰も、文章として記録していないそうですが、ゴッホが友人たちに会う約束をキャンセルして、急にオーヴェールへ帰ったことから、その推理が成り立つのだそうです。
つまり、三日ぐらい弟の家に滞在する予定だったのが、一日程度で急に帰ったわけです。私は弟が独身時代には、ゴッホは、その部屋で自由に滞在できたが、お嫁さんがいる家では、わがままができなくなっていたし、
その上、お金の側面でも、奥さんから、テオは、
「お兄さんに、もう、送金を止めるといいなさい」などと、責められていたのでしょう。
ここから先は番組でも触れなかった、例の私固有の見てきたようなうそをいい、の類ですが、奥さんがわざと、隣室で、「お金が無い」とか、「お金が足りない」いうせりふをゴッホに聞こえるような大きさで、吐いたとしましょう。
子供を産んだ女性は、悪い言葉で言えば、したたかというか、よい言葉で言えば「母は強し」で、はっきりものをいう可能性はあります。一種の計算に基づいて、そういう言葉を出すことはあるでしょう。
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ゴッホはもちろんびっくりして、次の日の早朝に帰宅したわけです。しかし、決定的にテオから縁切りをされているわけではないから、テオに手紙を出します。
その内容はゴッホファンにとっては残念なものですが、弟に、見当はずれな忠告をしたものです。つまり、「孫を見せるためにオランダにある奥さんの、実家訪問をかねた旅行をするのを、止めなさい」と言った手紙なのです。「それは、お金がかかりますよ」という言葉を添えて。
奥さんはそれを、読んで怒ったと思いますよ。で、二人はゴッホに逆らって旅行を決行しました。しかも、奥さんはその際に、パリに戻りませんでした。<<<孫を見せに帰ったついでに、実家に戻ってしまった>>>というよくあるケースです。
『夫の優柔不断を見限っているわけです』。この二重カッコ内の一行はテレビでは言われておりませんが、私はそうだったと感じます。それに、テオは追い詰められてしまいました。
奥さんをとるか、お兄さんをとるかの綱引きに追い詰められてしまったのです。もしゴッホが察しのよい人間で、しかも気弱な人間だったら、ここで、テオは、自分の主張をゴッホに告げて、ゴッホが絵描きを止めて、労働者(たとえば農家の小作人として働く)こともあったかもしれないのですが、
ゴッホはすこぶる強い人だったのです。あのゴーギャンさえも追い詰めた人なのですから、弟テオを追い詰めていても、
しかもそれに、気が付いていても、その対策に当たって、自分が絵を描くのを止めることを、考え及びはしませんでした。自分から絵を止めるとは言わなかったのです。
言葉で説得ができなかったので、テオはピストルでゴッホを撃ったというのが、その新説です。うーん、書くのも疲れますが、それでも、これは、さまざまなことを考えさせられる、事実なので、さらに連続して考え続けましょう。ただ、長くなるので、ここで、一回ほどきります。どうか、よろしく。
2009年11月1日、これを書き、送るのは、後で、
雨宮舜(川崎千恵子)
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