山手と京浜東北、毎日そこまできっちり並行して走るかな。
映像化は極めて困難だったという話を聞いた。パラレルワールドを同時進行させることで主人公の困惑を伝えなければならないけれど、本当に訳が分からなくなっても困るというところか。
映像なのであからさまに色味を変えるなどの手法も取れたはずだが、そこまであざとい演出ではなく、かと言って並行する世界観が不要に入り混じることもなく、その辺りは上手く整理して描かれていたと思う。
主人公・崇史とその友人・智彦は何やら脳科学関連の研究会社に勤めているようであり、二人の会話には一聴では理解できない専門用語が飛び交う。この時点でパラレルワールドのからくりが脳に何か働きかけることによって生じるものだと分かる。
原作もこのくらい親切なのかどうかは分からないが、謎解きの面白さやどんでん返しの醍醐味を味わうことはできない。少なくとも宣伝文句にある「驚愕の108分」というのは言い過ぎだ。
目まぐるしく主人公の立ち位置が変わる演出は飽きが来るのを一定程度防いでいる。しかし、相反する記憶に振り回されて苦悶の表情に終始する崇史を中心に全体的に映画の空気は重い。
ミステリーだからシリアスなのは構わないのだが、クライマックスを迎えて事の真相が判明した後も空気感が変わらないから、鑑賞後の充実感につながらない。ヒロインの麻由子が陰気ではっきりしないのも良くない意味で後押ししている。
玉森裕太はアイドルと違う姿を見せることができてキャリアアップにつながったとも言えるが、吉岡里帆のいいところはあまり出ていなかった気がする。振り切った話を期待し過ぎただろうか。
(60点)
映像化は極めて困難だったという話を聞いた。パラレルワールドを同時進行させることで主人公の困惑を伝えなければならないけれど、本当に訳が分からなくなっても困るというところか。
映像なのであからさまに色味を変えるなどの手法も取れたはずだが、そこまであざとい演出ではなく、かと言って並行する世界観が不要に入り混じることもなく、その辺りは上手く整理して描かれていたと思う。
主人公・崇史とその友人・智彦は何やら脳科学関連の研究会社に勤めているようであり、二人の会話には一聴では理解できない専門用語が飛び交う。この時点でパラレルワールドのからくりが脳に何か働きかけることによって生じるものだと分かる。
原作もこのくらい親切なのかどうかは分からないが、謎解きの面白さやどんでん返しの醍醐味を味わうことはできない。少なくとも宣伝文句にある「驚愕の108分」というのは言い過ぎだ。
目まぐるしく主人公の立ち位置が変わる演出は飽きが来るのを一定程度防いでいる。しかし、相反する記憶に振り回されて苦悶の表情に終始する崇史を中心に全体的に映画の空気は重い。
ミステリーだからシリアスなのは構わないのだが、クライマックスを迎えて事の真相が判明した後も空気感が変わらないから、鑑賞後の充実感につながらない。ヒロインの麻由子が陰気ではっきりしないのも良くない意味で後押ししている。
玉森裕太はアイドルと違う姿を見せることができてキャリアアップにつながったとも言えるが、吉岡里帆のいいところはあまり出ていなかった気がする。振り切った話を期待し過ぎただろうか。
(60点)