「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

リニア沿線住民交流集会

2012年10月01日 | リニア新幹線
 昨日は甲府でリニア沿線住民の交流集会が開かれ、東京、神奈川、山梨、長野、岐阜の各地で活動するグループや個人が一堂に会した。台風17号の接近が予想され、朝から特急が運休するような状況だったけれども、午前中の実験線延伸工事現場見学ツアーから大勢の人が集まった。
 実験線の工事現場見学は私自身は3回目。去年の夏に行ったときは、まだ橋脚の工事をしている段階だったけれども、どんどん工事が進んできている。
 ここは上黒駒のトンネルから谷越えの地域で、既に高架橋は完成し、防音フードで覆われていた。


 視察の人が必ず行く花鳥山展望台から。手前の方は足場も外れてきている。去年初めて来たときに、民家のすぐ近くで橋脚の工事が進められているのに驚いたが、そのときはいずれ移転するのだろうと思っていた。でも、どうやらそうではないみたいだ。写真の左の方には、まさに高架橋の直下に民家が幾つも建ち並んでいるのが見える。防音フードで基準値以下の騒音になれば、それでよしとされてしまうのだろう。


 あと、境川の土捨て場にも行く予定となっていたようだが、主催者の想定以上に参加者が多く、十数台の車を連ねての見学で時間が押してしまい、花鳥山で昼食後すぐに交流集会の会場へ向かう。それでも、ぎりぎりの到着で、南アルプスの静岡側の写真なども持参したのだけれども、展示する時間的余裕がなかった。残念。会場はほぼ満席状態(参加者172名だったそうだ)。


 前半は各県の現地報告会ということで、リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会の天野捷一さんから始まって、神奈川、山梨、長野、岐阜、各県からの報告が続いた。大鹿からも大鹿の100年先を育む会が賛同団体となっていたけれど、昨日は育む会と伊那谷自然友の会の共催行事、小渋川上流の自然散策会があったり、また中学校の歌舞伎発表もあったりで、育む会の代表は参加できなかったので、私が簡単に報告させていただく。台風が迫っているということで、なるべく簡潔にと言われていたこともあって、また、ここに集っている人はリニアに疑問を持っていて、ある程度問題点は共有している人たちだと思ったので、大鹿固有の状況に話を絞った。(結果的に言うべきことをかなり落としてしまった。育む会のみんな、ごめんなさい)
 後半はリニア計画とどう向き合うかということで、リニア市民ネットの川村晃生先生の司会で、天野さん、中津川の野田契子さん、笛吹市議の野沢今朝幸さん、高森の松島信幸先生によるシンポジウム。

 皆さんのお話の中で個人的に特に印象に残ったのは、現在、実験線延伸工事が進められている笛吹市からの報告で、リニアは「夢の」と言われてきたけれども、工事が進んだところでは、どんどん夢から覚めてきて、疑問の声が出てきているというお話。特に問題になってきているのは、一つは湧水への影響。また、騒音防止のフードがかけられることで、想像以上に日照権の問題も大きくなっているとのこと。そして、景観の問題。また、最近いわれるようになっているのは、あれだけの構造物が立ち並ぶために、風の流れが変わり、霜害も問題になってきているとのこと。これはまだ工事が始まっていない地域の人たちに、ぜひ広く知らせていきたいことだと思った。写真のように、本当に民家の直上も通っていく。延伸工事が完成して実用仕様で走行実験が行われるようになって初めて明らかになるかもしれない問題は、来年秋の準備書には反映されない。私たちは山梨の状況を見ながら、想像力をうんと研ぎ澄まさなければならないと思う。

 パネラーのお話の後、会場にいらしている人の中から、司会者の指名で、「週刊金曜日」編集委員の本多勝一さん、『必要か、リニア新幹線』を書かれた橋山禮治郎先生、「岳人」「世界」などでリニアの記事を書かれている宗像充さん、JR東海労の渕上さんにお話ししていただき、さらに会場から飯田・下伊那地域から参加された2人の方が発言。
 松川町出身の本多勝一さんは、突然指名されて一言、「南アルプスは残された日本最大の自然であり、リニアはその日本最大の自然に対する最大の破壊計画だ」とおっしゃっていた。
 いずれにしろ、沿線だけでなく国民全体に広く問題の周知を図ることが必要で、そのためにはメディアの役割が大きいということで、メディアへの方々への期待も寄せられた。また、今後も沿線の団体で連携して統一的な全国的な運動にしていかなければいけないということで、各地域の代表委員を募って議論を進めることが確認された。最後に「リニア新幹線は要らない」甲府アピールを採択して閉会。

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