「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

鳥や蝶の渡りと中央構造線

2006年06月13日 | 田舎暮らし
 大鹿村には日本列島西半分を日本海側と太平洋側に分ける大断層、中央構造線が南北に通っていて、その露頭が見られ、日本列島の地質を研究するのには非常に貴重な場所らしく、中央構造線の博物館もある。昨年秋、村内2か所の露頭が長野県の天然記念物に指定されたことを受けて、つい先日、土日の2日間にわたって記念行事が開催された。
 土曜日には日本地名学研究所長の民俗学者、谷川健一先生をお迎えして、「南朝の道・中央構造線」というテーマでお話を伺ったが、先生は、南朝・山の民の道である以前に、まずは鳥獣の道だったということで、サシバの渡りの話をされた。毎年10月10日前後に中部山岳地域にいたサシバが伊良湖崎に集結して、一気に九州に向かうのだそうだが、それには中央構造線の気流を利用しているのだそうだ。九州から今度は中央構造線とは離れて、南に向かい、佐多岬、宮古を経て、フィリピンまで行くという。秋といえば台風シーズンでもあり、力尽きて海に落ちると、フカが待ち受けているという過酷な旅だそうだが、この話を聞きながら、私はアサギマダラの渡りを思った。 
 少し前の新聞に、大分県の姫島に集まっているアサギマダラの記事が出ていたが、これから中部地方や関東地方にまで北上し、そこで産卵・世代交代をして、秋にはまた南西諸島まで1000キロ以上移動するという。アサギマダラはここらでもよく見かける蝶で、渡りの調査のためにマーキングをしているという話を数年前に聞いて以来、関心を持っている。まだまだ不明な点が多いようだが、どうやら南西諸島で羽化して、こちらまで飛んできて、こちらで産卵する蝶と、ここらで生まれて秋に南西諸島まで飛んでいくのと、両方いるらしい。そう言われてみれば、確かにアサギマダラを見かける時期は間が空いている。
 サシバが中央構造線の気流を利用しているのなら、アサギマダラもきっとそうだろうなと思った。