「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

リニア連絡協議会

2019年12月19日 | リニア新幹線
 昨夜、14回目のリニア連絡協議会が開催された。
 最初に県道松川インター大鹿線(通称小渋線)の改良工事についてということで、県の方から説明があった。今、小渋線では国土強靱化か何かで予算が付いて、法面防災工事を複数箇所で実施していて、4か所ぐらい片側通行になっている。1か所3分以上の信号もあり、信号待ちが10分くらいになってしまうこともある。防災工事の未施行箇所もあるし、拡幅改良工事が4か所で始まってくることもあり、半の沢から松川寄りの区間、河川内の管理道路を迂回路として利用できるように関係機関と協議しているそうだ。平日7~17時の間で、これにより、この区間は大鹿から松川へ行くときは河川内道路、松川から大鹿に来るときは小渋線と一方通行になり、信号待ちや大型車とのすれ違いが避けられるようになるとのこと。
 それは良いことだと思うが、次に飯田市から、リニア駅周辺の整備で移転を余儀なくされる住民の代替地の造成に、リニア発生土を利用したいという説明があった。他から持ってくる検討もしたが、固い岩を砕いたリニア発生土が良いとのこと。造成地を早く住民に提示したいので、来年3月から9月くらいまで、3万~3万5000立米を運ぶ、台数としては片道100台ということだった。これはリニア発生土の運搬は小渋線の改良が済んだ後としていた確認書の約束と違う話になってしまう。いくつか質問はしたが、他に特に意見もなく、大鹿の連絡協議会としては承認した形になった。これについては、傍聴席から今日突然提示されて、自治会長だけで決めてしまうのはおかしいのではないかという声があったが、それに対して、自治会長さんたちから特に意見は出なかった。
 次にJR東海から赤石岳公園線改良工事、南アルプストンネル工事、伊那山地トンネル工事の進捗状況などの説明。小渋川非常口から掘削している先進坑は約1600mのうち約1割完了。除山非常口からは斜坑延長の約6割が掘削完了、釜沢非常口はヤード造成工事が完了し、準備工事を行っていて、今年度中(3月)に掘削開始予定とのこと。また、除山非常口に隣接した発生土仮置き場Aは山側に拡幅を検討している、4000平米から6500平米に、これまで緩い勾配で盛土高10mだったのを、急勾配で15mも積んで、容量5000立米を39000立米にしたいという説明。今後地元と協議するとのこと。釜沢では発生土置き場が不足していて、三正坊も増やしたし、どんどん増やそうとしている。しかも、補強土壁とやらで、川沿いにすごい急勾配にしてたくさん積もうとしているので、本当に心配になる。
 国道の迂回ルートについては前回の協議会の終了直後に地権者との契約が交わされ、現在河川内の工事を行っている、来年3月末頃の完了予定とのこと。ここで、地権者の方からJR東海と交わした賃貸契約書の内容について説明いただく。その中で、そもそも村が地権者の同意なく事業者に土地を斡旋する内容の確認書を締結したことの非をまず言われた。地権者の方は通行台数の削減など環境負荷の低減を求めて交渉してこられたわけだが、台数については譲歩が得られなかったものの、土曜日の通行について、午後3時までとすることになったそうだ。そのほか、最高速度、3方向の幌がけ、タイヤ洗浄装置、過積載予防のための重量計設置などの対策をとることになったそうだ。また、こうした対策に関連して疑義や不都合が生じた場合は事前協議の上、修正や変更ができるものとするという特記事項の条項が設けられていることを強調されておられた。
 伊那山地トンネル青木川工区の説明では、ここでもヤードの造成にリニア発生土を使う話があった。来年1月上旬から1か月程度、往復100台。また、深ヶ沢の発生土置き場について図面が出てきた。池をつぶして、護岸は入れるものの、やはり急勾配で7万立米も積むという。そして、非常に狭隘な国道を往復240台もの大型工事車両が通行するという。住民の生活や観光客への影響が懸念されるが、待避所の設置位置など協議中とのこと。池に生息する希少生物についての質問もあった。
 JRの説明の後は、中部電力から送電線工事の状況について説明があった。既に北の原では基礎工事が行われている。また、前回の協議会で住民から要望書が出されていたことについて、対応状況について話があった。私も先月、その住民の方たちの案内で、実際に鉄塔が建つ現地を見に行った。すごい急傾斜地で、付近に崩壊地があったり、こうした場所に80mもの鉄塔が建つことに不安を感じた。鉄塔のために伐採される樹木には印が付けてあったが、その中に根回り4m前後のブナの大木が2本あり、こんな立派な木までも切ってしまうのかと心に痛みを感じた。そんな内容の発言をしたら、ブナについては切らずに済むかどうか検討するとの返答。また、ヘリコプターによる作業の騒音が懸念されているが、来年上期にデモ飛行を行うそうだ。
 鳶ヶ巣もそうだし、除山、深ヶ沢と、川沿いに急勾配で残土を積み上げる話が次々に出てくることに関して、委員の中からも安全性を懸念する意見が出された。とはいえ、今回も全体として委員からの発言は少なく、連絡協議会の形がこのままで良いのか、もう少し考え直さなくてはいけない気がする。




冠雪した南アルプスと紅葉

2019年11月01日 | 山の風景

 最近、写真はFacebookだけで、こちらには全然載せてないので、たまにはブログにも写真を載せておきます。今年は紅葉が遅いし、いまいちと思っていましたが、雨続きだった天気が安定するとともに、だんだん色づいてきれいになってきました。

 10月26日、観光協会の紅葉めぐりで黒川牧場入り口まで。

 

10月30日、天空の池から笹山~入山方面。

 

そして、11月1日、鳥倉林道です。


9月のリニア連絡協議会

2019年10月02日 | リニア新幹線

 いろいろ重なって怒濤の9月が終わった。9月議会は一般質問は4名で、私はオスプレイの村内飛行についてと山岳遭難救助隊について質問した。議会については「議会だより」が村ホームページから見られるようになったので、村外の方はそちらをご参照ください。

 30日にはリニア連絡協議会が開催され、リニア工事および関連工事の進捗状況や、第三者委員会で検討されていた鳶ヶ巣沢環境対策事業、中電の送電線工事等について説明があった。

 初めに長野県から松川インター大鹿線(小渋線)の拡幅改良工事について、区間3と4は9月12日に保安林解除予定告示が出て、工事発注準備中、区間1と2はまだ審査中とのこと。また、区間5の拡張工事終了箇所、大鹿側から行くと西下トンネルを出て道が大きくカーブしているところになるが、通常のガードレールでは怖いという要望が前回出ていたことに対して、眩光防止網を設置するという説明があった。時期は未定。それと、半の沢の盛土による道路改良について、新聞報道で時間雨量20ミリで住民避難や通行止めと読める記事が掲載されていて、その件についての説明があった。検討委員会に示した資料の中に管理基準値(案)があって、その内容が時間雨量20ミリ、累積雨量100ミリで厳重警戒というものだけど、それが直ちに避難とか通行止めという話ではないこと、その値は長野県の土木現場必携によるもので、これ自体は施工中の管理基準だという説明だった。(と書いたところ、中川村では施工後の安全管理計画として説明があったとご指摘いただいた)

 次にJR東海から、小渋川非常口では8月23日から先進坑の掘削に着手、村営グラウンドの造成については北側は概ね完了とのこと。ちなみに、グラウンドについては既に設計コンペが行われ、9月議会の補正予算で設計監理委託料や管理棟などの工事費が計上されている。除山非常口では斜坑延長の約半分の掘削が完了、釜沢非常口では7月から伐採等の準備工事が始まっており、今年の冬頃に斜坑掘削開始予定。旧荒川荘の残土置場は概ね完了、三正坊の仮置き場については環境保全計画が8月2日に更新され、つい最近、県の助言が出された。この助言では盛土の構造見直しが求められていた。10月から造成工事に着手となっていたけど、県の助言への対応方針を25日までに出すことになっているので、その後と考えてよいのだろうか。確認するのを忘れた。

 国道152号線の迂回路については、9月末を期限として地権者との協議を進めると前回言っていたが、本当にぎりぎりで、この協議会終了後に契約を交わすことになっているという話だった。地権者の方は車両通行台数等、環境負荷の低減を求めて協議されてきたわけだけど、最終的にどのような条件で妥結したのかは今のところ不明。

 青木川非常口ヤードの既存残土の搬出は11月下旬頃まで、搬出先の儀内路3か所のうち1か所は農地に復旧することになっているけど、耕土が足りないので、喬木村から運ぶとのこと。堰下ガイドウェイヤードから運ぶみたいだ。

 JR東海の説明の最後の方は、JR東海ツアーズによる観光旅行商品の宣伝など。

 その次に鳶ヶ巣沢環境対策事業に関して、技術検討委員会の経過等について説明があった。盛土下部は半の沢と同様、セメントを混ぜた改良盛土を用いること、水平ボーリングと地下排水管を設置し、盛土内浸透水等を排水すること、盛土の押さえに土留め壁を設置すること、上部の治山工事エリア下流から流出する土砂を捕捉可能な流路工を設置することなど、図面と共に説明があった。盛土が崩壊した際のシミュレーションというのもあって、小渋川が55%閉塞された状態で計画高水流量を流すと、対岸の村道において越水可能性があるものの、下流域には影響がないという説明だった。また、安全管理の考え方として、施工時、施工後のいずれもJR東海が盛土等の安全管理を行う、施工後の盛土表面の目視点検、排水側溝の点検清掃等の簡易の日常点検については大鹿村が行うとのこと。これはあくまでも検討経過であり、最終案ではない、照査結果の報告書が出てから、それを精査した上で最終案を作成し、改めて最終案の説明を行うとのことだった。

 次に中部電力の送電線工事について、住民説明会での主な質問(意見)と回答について説明があった。送電鉄塔については、これまで平面図での説明はあったわけだけど、実際に景観の中でどう見えるかというフォトモンタージュは遠景のものしか出されてこなかった。しかし、最近になって中電が個別に説明に来て、本当に間近に、それも村内では一番高い80mもの鉄塔が建つことが分かった住民から鉄塔の位置変更についての要望書が出てきていて、丁寧に対応していくとのことだった。

 Web版にはないけど、南信州と信毎に記事が掲載されています。また、村内では連絡協議会の概要について翌月の全戸配布で「リニア新幹線情報」が出されており、これはホームページですべて公開されています。


リニア連絡協議会

2019年06月26日 | リニア新幹線

 昨日、リニア連絡協議会が開催された。連絡協議会は以前の対策委員会とは性格が違って発言する人は少なく、工事の進捗状況や今後の工事計画についての連絡事項を聞く場になってしまっている。

 松川インター大鹿線の改良工事はトンネル2本が完成、拡幅工事5か所のうち1か所が完成、残りの4か所は保安林解除の手続き中。その他、防災工事として法面対策工事を7か所で施工するそうだ(1か所、昨年崩落があった箇所で施工中)。リニア残土の運搬はこの拡幅工事終了後となっている。

 小渋川非常口では4月5日に斜坑の掘削が完了、先進坑の掘削に向けた準備中で、秋頃から先進坑の掘削に入るという。ここの残土は大西総合グラウンドに運ばれている。(6mくらい嵩上げして造成)

 除山非常口は斜坑延長1870mの約半分程度の掘削が進んでいて、ここの残土は除山非常口のすぐ近くの発生土仮置き場Aと三正坊と呼ばれているBと旧荒川荘跡に運ばれている。既にAとBは満杯で、Bは農地の一時転用で3年となっていたが、3年で撤去できないのと、残土置場が足りないので、三正坊の現在残土が置かれていない南側へも置きたいとのこと。現在の仮置きが4.7万立米で、さらに7万立米仮置き。そして、仮置き残土搬出後に農地復旧することで、地権者や釜沢地区の人たちと協議が続けられている。

 そして、ずっと保安林解除手続き中とされていた釜沢非常口について準備工事を開始したいという説明があった。どうやらヤードの面積を縮小して工事着手するようで、計画図面を見ると重金属判定用の仮置き場が設けられていなかった。(除山非常口の土砂ピットを使うらしい)

 釜沢に仮置きしている残土の搬出は、小渋川非常口と釜沢非常口との間の先進坑を工事用道路として使う計画なので、とにかく先進坑が掘れないと搬出できない。さらに工事用道路となる国道迂回ルートもまだ暫定ルートのままだし、村外の残土置場も決まっていないので、農地に復旧するといっても一体いつの話になるのか全く見えない。

 迂回ルートは調停が打ち切りとなったが、JRは9月末を期限に地権者との協議を行いたいという説明があった。9月末までに協議がうまくいかなかった場合どうするのかという質問に対しては、今の県道の通行を考えている、まずは上市場の人たちと話し合うとの回答。しかし、県道を1000台もの工事車両が通るのは無理があるので、何らかの別の手段を考えてほしいという意見が出る。

 環境調査の年次報告が昨日公表された。今のところ発生土について、自然由来の重金属等の調査で基準値を超えるものはないとのこと。また、仮置き場A近傍の地下水の水質測定箇所において、フッ素とホウ素が基準値を超えているけど、これは仮置き場として使用する前から越えているので、リニア工事のせいではないとの説明。

 また、昨日は中部電力の送電線工事の説明もあった。上蔵の変電所まで15万4000ボルトの高圧送電線と鉄塔が村内に9基建つ。7~8月に地区・住民説明会を行って、10月に工事着手したいとのこと。大西山方面の資材運搬にはヘリも使うようなので、騒音も気になりそう。今年の秋から始まって、2024年の前半までのスケジュールで、工事車両のピークは来年秋頃との想定で、そのときの工事車両の最大通行台数は62台。トンネル工事の台数にこれが加わることになる。

 


6月定例会終わる

2019年06月20日 | 議員活動

 改選後初めての定例議会が6月7日~18日の会期で行われた。10日の一般質問には議長を除く7人全員が質問。私は鳶ヶ巣沢の盛土計画についてと、公共施設の長時間停電対策について質問した。鳶ヶ巣沢の盛土については、これまでも下流の下市場在住の議員が何回か安全性を危惧する質問していたが、今年度、砂防等の専門家による第三者委員会が継続になり、5月に新聞にも大きく出ていたことから、委員会の具体的な指摘内容などについて質問。これについては11日の信毎12日の南信州で記事になった。長時間停電対策は、この4月に季節外れの大雪のため、かなり長時間の停電があり、特に福祉施設の停電対策が気になって質問した。新人議員もそれぞれ、水田農作業の請負対策や公共交通、ホームページの管理体制、移住施策の拡充などを質問していた。新人議員の初質問ということもあってか、久々に傍聴者が何人も来ていた。(また、ホームページの質問があったせいか、村ホームページの村議会のところに議会だよりのバックナンバーがまとめてアップされた)

 最終日には治山懇談会と砂防懇談会も行われ、伊那谷総合治山事業所と天竜川上流河川事務所の方々から、昨年の台風被害箇所の災害関連緊工事やその他の治山工事、砂防工事等の説明をお聞きした。

 今日は気分を変えて、大池の中村農園で青いケシを見てきた。

 


臨時議会

2019年05月08日 | 議員活動

 今日は改選後初の(臨時)議会が開かれ、新たな議会構成が決まった。8人中、新人3人、移住者4人、女性3人という顔ぶれの中で、私は副議長の要職に就任させていただくことになった。3期目とはいえ、これまでリニア問題など自身や支持者の関心事をメインに動いていた部分が大きいので、村全体のことがどこまで分かっているかというとまだまだ未熟な身で、責任の重さをひしひしと感じる。地域の身近な問題から村全体の問題まで視野を広く持ってしっかり勉強し、議長を補佐しながら、議会の活性化、そして村の活性化に資するよう努めていきたい。あと、議会運営委員会の委員長、下伊那北部総合事務組合の議員になる。また、リニア連絡協議会の委員と保育所建設検討委員会の委員も継続。

 


村議会議員選挙

2019年04月22日 | 議員活動

 今回の統一地方選で大鹿村議会も改選になり、昨日投開票が行われ、3回目の当選をさせていただきました。今回は地域や農業委員会に推された新人候補に大量の得票が集まり、現職は軒並み大幅に票を減らした選挙で、「●●さんは大丈夫だから」という言葉の怖さが身にしみた選挙でした。その中で、これまで8年間、リニア問題など一緒に取り組んできた共産党のベテラン議員が落選され、残念でなりません。最高齢でもあることから後継者を探しておられましたが、見つけることができずに自ら立候補された結果でした。

 新人3人のうち2人は50代で、世代交代がだいぶ進んだ形になります。大鹿村では、つい先日、村の入り口で崩落があり、3日ほど、ほぼ陸の孤島状態になったり、その少し前には季節外れの大雪で長時間の停電があり、福祉施設などでも苦労されたようです。課題山積の大鹿村ですので、若返った議会でいろいろな問題にしっかり取り組んでいければと思います。


12月議会とリニア連絡協

2018年12月28日 | 議員活動
 今年は諸般の事情でブログ更新がなかなかできず、情報発信が滞ってしまった。
 最近の大鹿村内の工事の状況は、南信リニア通信が写真入りで紹介してくれている。
 また、県道松川インター大鹿線で施工されていた2本のトンネルのうち松川町寄りの西下トンネルが12月15日に開通になった。これについては朝日新聞が現状を的確に書いてくれている。
「リニアのトンネル残土どこへ 受け入れ先決まらず 長野」
 
 12月定例議会の一般質問では、私は松川町の残土置き場候補地取り下げ、迂回ルートの地権者交渉難航等々、2年前のリニア着工時の説明と異なる状況になってきていることについてと、ユネスコエコパークの管理運営計画について質問した。また北島議員が鳶ヶ巣沢の盛土事業の中止を求めた。
 迂回ルートの件では、その一般質問の翌日12日に、地権者交渉が進まず、今年度末までに最上流の橋を架けることができなくなったため、暫定迂回ルートの期間延長と大型工事車両の通行台数を314台まで増やしたい旨のJRの地元懇談会が上市場地区で開催された。また19日には地権者の記者会見が行われた。記者会見の内容は、迂回ルートの使用条件に隔たりが大きいため、県の公害審査会に調停を申請したというもの。
「大鹿村の迂回ルートで公害調停へ」(南信州新聞)

 この迂回路の問題に関しては、上市場だけでなく、県道赤石岳公園線を利用する沢戸、上蔵、釜沢の自治会でも年明けに懇談会(説明会)が行われる他、1月16日には全村向け説明会も開催されることになった。
 

リニア連絡協議会等

2018年10月05日 | リニア新幹線
 リニア連絡協議会のことくらいはFacebookではなくブログに記録しておこうと思いつつ、諸事情で多忙につき、すっかりブログの更新が滞ってしまっていた。
 8月5日~9月6日の1か月間、大鹿村役場において、中部電力によるリニア変電所への送電設備の自主環境調査結果報告書の閲覧が行われた。これは「日本で最も美しい村」の看板である赤石岳を望む景観の中に送電鉄塔が建ち並ぶことから、当初から地中化を求める声が強かったが、中電側はさまざまな理由から架空送電線とするものとして自主環境調査が行われていたもの。Web上での公開もなく、報告書のコピーも写真撮影もできず、役場で閲覧するのみだったので、閲覧者はごく少数だったようだ。村内の住民グループがアセスの専門家である日本自然保護協会の辻村千尋さんを招いて学習会が行われたので、話を聞きに行ったが、いくら自主アセスだからといっても、この公開方法はアセスの趣旨からいっても不適切であるとの指摘があった。
 8月29日には、大鹿村のリニア工事としては2か所目となる、伊那山地トンネル青木川工区の工事説明会が地元自治会対象に非公開で開催された。また、9月6日にリニア連絡協議会が開催され、この青木川工区の工事説明会と同内容のパワポと、地元説明会で出た意見とそれに対する回答について説明があった。
 この工区では中央構造線の破砕帯や蛇紋岩地帯等、地質の脆弱な場所を通ること、青木川の下を35mの浅い土被りで通ること、新たな残土置き場候補地への道路が非常に狭いこと等々、さまざまな懸念事項があり、地元説明会では青木川の減水予測、また減水が生じた場合の対応や、薬液注入の水資源への影響、老朽化した橋梁や狭隘な道路の改良等々、さまざまな質問が出たそうだ。

 9月7日からは9月定例議会が始まり、10日の一般質問では、私は中電の自主環境調査報告書について質問した。公開方法についてや、閲覧者がどの程度いたのか、出された意見に対する事業者の見解がいつ示されるのか等、また工事用車両通行道路が国道になっていたので、迂回路通行を求める質問をした。
 9月議会は、7月豪雨の災害復旧費の専決処分の報告に始まり、また議会直前の4~5日に台風21号により村内各所に大きな被害があり、最終日には約7億円もの災害復旧費が追加上程されて即決される等、役場の皆さんも災害対応で大変な中での議会だった。全員協議会では、村内の被災状況の説明や、今後の災害時の避難手順についての説明等々があった。
 リニア関連では、前日に長野県よりプレスリリースが出た鳶ヶ巣沢地籍の盛土計画についての設計照査実施のお知らせがあった。これは26日に現地視察が行われた。

リニア 残土による中川・大鹿の沢埋め立て 検討へ第三者委発足(信毎Web)

 9月21日には青木川工区の全村民対象の公開の工事説明会が開催された。

 昨日10月4日には、リニア連絡協議会が開催され、6月の連絡協で商工会から出されたリニア工事関係車両(大型車以外)の国道通行について、8月からの試験通行を受けて意見交換が行われた。普通車等の通行についてと、大型車が迂回路を通るようになったため誘導員を配置しないという2点についての意見集約結果のペーパーが配布され、賛成意見、反対意見それぞれあったが、商工会からの提案どおり普通車は国道を通行、誘導員は配置しないという意見が多数で、当面、現状の通行台数においてはそのようになった。

 また、中部電力から送電線計画について、自主環境調査結果概要と工事概要について説明があり、自主環境調査への意見と回答についても説明があった。今までの中電の説明では、フォトモンタージュ等が配布された紙資料には含まれなかったが、今回初めて、映したパワポすべて紙資料としても配付された。また報告書でフォトモンタージュが小さくて分かりにくいという意見を出しておいたら、会場に大きな写真も掲示してあった。
 ちなみにコピーやWebでの公開がされなかったことについては、「報告書は当社が著作権を有しており、また当社のノウハウを含んだ技術資料であることから、これらの流出の防止および環境保全の見地からの意見書作成という目的以外での利用を防止するため、コピーおよびWebでの公開は行わないこととしております」という回答。
 調査結果は、今後、関係自治会への説明が行われるとのこと。

 小渋線トンネルは西下トンネルが年内の開通予定、四徳渡トンネルが年度内の開通予定。南アルプストンネルの進捗状況は、除山非常口からが450mくらい、小渋川非常口からは750mくらい。除山でも夜間発破が始まった。
 観光協会からも強く要望が出ていた土曜日の休工については、紅葉シーズンとなる歌舞伎の前日の土曜日から、11月の勤労感謝の日の連休まで、場内作業+大型資材搬入車両10台/日のみとするそうだ。

 9月29日付け南信州新聞Web、30日信毎で、大鹿村から出る残土の行き先とされてきた松川町生田の候補地3か所について、地元の会合で、2か所を取り下げることが決定されたと報道された。時間が押している中だったけど、最後にこのことについても聞いてみた。

松川町の残土処分候補地が難航(南信州新聞)

6月議会とリニア連絡協

2018年06月29日 | リニア新幹線
 前回ブログで紹介した迂回路通行に係る全村民対象の懇談会の後、6月7日から18日まで定例議会だった。8日の一般質問では、東村議員が「リニア連絡協議会のあり方について」という形で、JR東海が「村との窓口だと考えている」連絡協の開催頻度、検討・提案部分の強化、村民への周知をシステム化することなど質問し、私は「暫定的な迂回路の通行について」という形で、5月31日の懇談会、また上市場地区から暫定的な迂回ルート撤回を求める陳情書も出ていたので、その中で出てきた問題などを質問した。もう一つ、旧荒川荘残土置き場についても、県の助言に対するJRの対応方針が出されたので、工事完了後の管理等について質問した。また、北島議員は村内の残土置き場の安全性について質問した。
 上市場地区から出された陳情書については、工事車両の通行台数を増やさないという形で沿道の住民の了解が得られ、既に迂回路が運用されていたため不採択としたが、陳情書の趣旨を鑑み、議会として村に要望書を提出した。

 そして、昨日28日にリニア連絡協議会が開催された。JR東海と長野県から松川インター大鹿線改良工事の進捗状況等、JR東海から赤石岳公園線改良工事、南アルプストンネル工事の進捗状況等、また今回は中部電力から送電線計画についての進捗状況と今後の予定の説明があった。
 (仮称)西下トンネルは12月頃までの供用開始、(仮称)四徳渡トンネルは来年3月頃までの供用開始を目指すとのこと。昨年末崩落があった(仮称)四徳渡トンネルの坑口付近については、現在行われている崩落の復旧工事の他、長野県が坑口法面の補強工事を行うとの説明があった。
 南アルプストンネル工事は、除山非常口からは270mくらい、小渋川非常口からは600m弱掘り進んでいるとのこと。釜沢集会所における騒音振動の測定結果のグラフが出されていたが、掘削が進んでも騒音、低周波とも減っていない。実際、釜沢の友人に聞くと、やはり発破音が響くという。
 迂回路については運用開始から約1か月、この間の小学校付近で測定した騒音・振動、大気質(二酸化窒素、浮遊粒子状物質)のグラフが示された。ろくべん館前でローラー敷きならし作業を行ったときの騒音が突出しており(昼間50~54dBのところ、その日だけ63dB)、今後ろくべん館前の造成事業では騒音が懸念されるため防音対策を取るとの説明だった。
 青木川工区では宿舎の建設が9月頃から始まるとのこと。また、青木川工区、暫定迂回路で新小渋橋を通行することに関することを追記する変更確認書についても説明があった。
 大西グラウンド整備事業については、平面図だけでは分かりにくいということで、今回イメージ図が示された。(追記:6月30日の南信州新聞1面に絵が掲載されている)
 
 JRの説明についての質疑・意見交換の中で、商工会から、工事関連の車が普通車も含めてすべて迂回路を通るようになったら商店の利用がゼロになってしまうし、村内の業者がリニア関連の仕事を受けたら会社にも行けなくなってしまう、普通車は国道を通れるようにしてほしいという意見が出された。村からは、5月31日の懇談会でリニア関連は普通車も迂回路としたが、用事のある車は通ってもらっていいという説明があり(6月配布の村からのリニア情報でも「商店での買い物等のため、工事関係車両が市場通りを通行する場合があります」と書かれている)、意見交換が行われた。普通車は全部OKにするのか、用事のある車だけなのかでは随分落差がある。昨夜の協議会の中では普通車は全部OKの声が多かったが、鹿島JVの方から、いきなり全部OKでは混乱する、1か月くらい現状で様子を見ながら、区分けをはっきりしてほしいという話もあり、協議会に出ている自治会長さんだけでなく、自治会内での意見の取りまとめ、また保育所や福祉施設、小学校等々、国道を利用する人たちの意見も聞いていくという話に落ち着いた。

 中部電力からは、自主環境調査の結果がまとまってきたので、報告書の閲覧を8月6日~9月5日予定で行うという説明があり、環境調査結果の一部、フォトモンタージュなどが示された。報告書は役場か中電の飯田営業所でしか見られないそうで、コピーも駄目とのこと。JRだってWeb上で公開しているのにと思ってしまった。

 また、協議会前日の新聞で、2017年度の環境調査結果が公表され、除山非常口に隣接する残土の仮置き場の地下水の一部から、基準値を超えるヒ素とフッ素、ホウ素が検出されたことが記事になっていたので質問した。連絡協議会の設置要綱に協議会の連絡調整事項として、一番目に「事後調査、モニタリング調査などの情報の共有」とある。フッ素とホウ素については昨年報告があったが、ヒ素については何も聞いていない。観測井を掘ったときに基準超のものが出たが、その後、基準以下になっているので報告しなかったという返答だったが、それならそういう報告をすべきではないか。三遠南信などでもヒ素が出ているので、出ること自体は想定内の話だと思うし、対策をきちんと示してほしい話だと思う。同じ南アルプストンネルの向こう側、早川町では、つい最近も新たな要対策土の仮置き場計画が出されていた。

 今回はWebに掲載されている記事は中日新聞だけ。
「崩落箇所、7月に復旧」 大鹿村連絡協、JRが報告

 ちなみに、信毎は「残土最終置き場 大鹿村が造成図」、南信州は「運動場イメージ図示す」との見出しで、リニア残土で造成する大西グラウンドの話を主にした記事だった。