「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

6月議会とリニア連絡協

2018年06月29日 | リニア新幹線
 前回ブログで紹介した迂回路通行に係る全村民対象の懇談会の後、6月7日から18日まで定例議会だった。8日の一般質問では、東村議員が「リニア連絡協議会のあり方について」という形で、JR東海が「村との窓口だと考えている」連絡協の開催頻度、検討・提案部分の強化、村民への周知をシステム化することなど質問し、私は「暫定的な迂回路の通行について」という形で、5月31日の懇談会、また上市場地区から暫定的な迂回ルート撤回を求める陳情書も出ていたので、その中で出てきた問題などを質問した。もう一つ、旧荒川荘残土置き場についても、県の助言に対するJRの対応方針が出されたので、工事完了後の管理等について質問した。また、北島議員は村内の残土置き場の安全性について質問した。
 上市場地区から出された陳情書については、工事車両の通行台数を増やさないという形で沿道の住民の了解が得られ、既に迂回路が運用されていたため不採択としたが、陳情書の趣旨を鑑み、議会として村に要望書を提出した。

 そして、昨日28日にリニア連絡協議会が開催された。JR東海と長野県から松川インター大鹿線改良工事の進捗状況等、JR東海から赤石岳公園線改良工事、南アルプストンネル工事の進捗状況等、また今回は中部電力から送電線計画についての進捗状況と今後の予定の説明があった。
 (仮称)西下トンネルは12月頃までの供用開始、(仮称)四徳渡トンネルは来年3月頃までの供用開始を目指すとのこと。昨年末崩落があった(仮称)四徳渡トンネルの坑口付近については、現在行われている崩落の復旧工事の他、長野県が坑口法面の補強工事を行うとの説明があった。
 南アルプストンネル工事は、除山非常口からは270mくらい、小渋川非常口からは600m弱掘り進んでいるとのこと。釜沢集会所における騒音振動の測定結果のグラフが出されていたが、掘削が進んでも騒音、低周波とも減っていない。実際、釜沢の友人に聞くと、やはり発破音が響くという。
 迂回路については運用開始から約1か月、この間の小学校付近で測定した騒音・振動、大気質(二酸化窒素、浮遊粒子状物質)のグラフが示された。ろくべん館前でローラー敷きならし作業を行ったときの騒音が突出しており(昼間50~54dBのところ、その日だけ63dB)、今後ろくべん館前の造成事業では騒音が懸念されるため防音対策を取るとの説明だった。
 青木川工区では宿舎の建設が9月頃から始まるとのこと。また、青木川工区、暫定迂回路で新小渋橋を通行することに関することを追記する変更確認書についても説明があった。
 大西グラウンド整備事業については、平面図だけでは分かりにくいということで、今回イメージ図が示された。(追記:6月30日の南信州新聞1面に絵が掲載されている)
 
 JRの説明についての質疑・意見交換の中で、商工会から、工事関連の車が普通車も含めてすべて迂回路を通るようになったら商店の利用がゼロになってしまうし、村内の業者がリニア関連の仕事を受けたら会社にも行けなくなってしまう、普通車は国道を通れるようにしてほしいという意見が出された。村からは、5月31日の懇談会でリニア関連は普通車も迂回路としたが、用事のある車は通ってもらっていいという説明があり(6月配布の村からのリニア情報でも「商店での買い物等のため、工事関係車両が市場通りを通行する場合があります」と書かれている)、意見交換が行われた。普通車は全部OKにするのか、用事のある車だけなのかでは随分落差がある。昨夜の協議会の中では普通車は全部OKの声が多かったが、鹿島JVの方から、いきなり全部OKでは混乱する、1か月くらい現状で様子を見ながら、区分けをはっきりしてほしいという話もあり、協議会に出ている自治会長さんだけでなく、自治会内での意見の取りまとめ、また保育所や福祉施設、小学校等々、国道を利用する人たちの意見も聞いていくという話に落ち着いた。

 中部電力からは、自主環境調査の結果がまとまってきたので、報告書の閲覧を8月6日~9月5日予定で行うという説明があり、環境調査結果の一部、フォトモンタージュなどが示された。報告書は役場か中電の飯田営業所でしか見られないそうで、コピーも駄目とのこと。JRだってWeb上で公開しているのにと思ってしまった。

 また、協議会前日の新聞で、2017年度の環境調査結果が公表され、除山非常口に隣接する残土の仮置き場の地下水の一部から、基準値を超えるヒ素とフッ素、ホウ素が検出されたことが記事になっていたので質問した。連絡協議会の設置要綱に協議会の連絡調整事項として、一番目に「事後調査、モニタリング調査などの情報の共有」とある。フッ素とホウ素については昨年報告があったが、ヒ素については何も聞いていない。観測井を掘ったときに基準超のものが出たが、その後、基準以下になっているので報告しなかったという返答だったが、それならそういう報告をすべきではないか。三遠南信などでもヒ素が出ているので、出ること自体は想定内の話だと思うし、対策をきちんと示してほしい話だと思う。同じ南アルプストンネルの向こう側、早川町では、つい最近も新たな要対策土の仮置き場計画が出されていた。

 今回はWebに掲載されている記事は中日新聞だけ。
「崩落箇所、7月に復旧」 大鹿村連絡協、JRが報告

 ちなみに、信毎は「残土最終置き場 大鹿村が造成図」、南信州は「運動場イメージ図示す」との見出しで、リニア残土で造成する大西グラウンドの話を主にした記事だった。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
工事の内容が判断できる中立の専門家を雇わないと (大鹿村が大好きだった男)
2018-06-30 08:30:53
昨日も自分が議会からの委員として言うべきだったことを言い忘れてしまった。
:以前から指摘しているように、工事の内容が判断できる中立の専門家を雇わないと、このような事態となります。
それと、住人に文書でも協議会の内容を周知して、意見を求めなければならない。
陳情書の趣旨を鑑み、議会として村に要望書の内容を教えてください。
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Unknown (kawamoto)
2018-07-01 18:20:31
すみません、このコメント欄では細かいことは書きづらいので、メールでやり取りさせていただければありがたいです。以前いただいた名刺の携帯番号にショートメールは可能ですか?
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工事関係者数 (大鹿村が大好きだった男)
2018-09-15 06:58:52
静岡市でリニアの準備工事が始まり、750人の作業所が3ヶ所建設されているらしい。大鹿村の大人の人数くらいですかね!大鹿村の作業人数と問題点を教えてください。
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Unknown (kawamoto)
2018-09-15 10:37:06
すみません、今、資料を探している余裕がないのですが、南アルプストンネルの作業員宿舎は200人規模だったかと思います(ただし現況は6/22で56名です)。また今度建設される伊那山地トンネルの宿舎は5~60人規模だったかと思います。一般道が通じていない山奥の静岡と違って、大鹿は通勤される工事関係者も多いので、通勤・退勤時間帯の交通量が多いです。その方々に少しでも地元商店で買い物をしていただくために、リニア工事関連であっても普通車は市場通りを通ってもらいたいという要望が商工会から上がり、沿道の福祉事業所からは当初の約束通り迂回路を通ってもらいたいという要望が上がっています。
宿舎の食堂で地元農産物を使ってもらいたいという話で、米やジャガイモ等が納入されていましたが、いろいろあって今は止まっています。
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