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見えてきた、米覇権の揺らぎ  文科系

2023年05月29日 09時22分16秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 いろんな兆候で、標記のことを感じている。なによりもまず、凄まじい米国家累積赤字。15年に元国家会計検査院長、デイブ・ウォーカーが「正式発表の三倍」とすっぱ抜いたこともあったが、これは今さらに深刻になっているはずだ。米GDPの4倍は超えようが、日本の赤字がGDPの2.5倍程だから、その大きさが分かろうというもの。アフガン、イラクなどの膨大な戦費などが積み重なったもので、今これがさらに、米債務上限問題やドル威信低下で国家を揺らしている真っ最中である。現在は、ウクライナ戦争、経済・軍事ブロック化による世界通貨ドルの揺らぎによって、もっと促進されているはずなのだ。

 次いでG7の威信低下。すでに普通のマスコミにさえ「G7は時代遅れ」と表現され始めた。元々旧帝国主義白人国家に日本が加わっただけの組織に過ぎないのだが、対中国では仏独が独自言動を取り始め、ウクライナ戦争への態度でもきしみが現れている。ウクライナを対中国問題と結びつけようとする日米の動きに抵抗が始まっている。その抵抗がG7よりもずっと強くG20諸国から起こっていることが、今はとても重要と観る。

 広島サミットに呼ばれ「懐柔工作」を拒否したに等しいブラジル、インドネシアはもちろん、対米独歩を続けて来たトルコやインド、労働党政権になったオーストラリア、急な離米が始まったサウジ。これら全部がG20国なのであり、米との距離を大きく取り始めている。つまり、今注目のグローバルサウスがほとんどそうなのであって、一種の離米雪崩現象と言えなくもない。

 アメリカは、台湾問題での「対中戦争」などもう起こせないだろう。台中間には、ウクライナのような国境をめぐる積年の戦争状態などは存在しないし、米ドルの威信はますます下がっていくのだから。これに熱心なのはもう日英政府ぐらいのものというのは、何かどう言うか世界の珍現象になっていくのではないか。


 米中覇権問題で強硬論を説くロバート・ケーガンの対中外交論はもう駄目で、ポール・ケネディの論が実践されていくことを心から望むものである。
 ケーガンはこう述べた。
『国際的秩序は進化の産物ではなく、強制されるものである。一国のビジョンが他国のビジョンとの葛藤においての勝利に起因する。・・・現在の秩序は、それを是とし、その恩恵を蒙っている人たちが、それをとことんまで防衛する意思及び軍事能力があってのみ、存続できる』

 対して、「大国の興亡」のケネディは遠慮がちにやんわりと、こう述べる。
『西洋からアジアへの、権力の地殻の変動のような移行は逆行させにくい。しかし、米国議会およびホワイトハウスがもし合理的な政策を取れば、このような歴史的な転換期の浮き沈みの度合い、暴力の度合い、不愉快さの度合いをかなり軽減できる。私のような「斜陽主義説の輩」にとっても、まあ慰めになると思う』




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