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ニシノジャパン(2)日本サッカーは弱くなっている   文科系

2018年04月18日 10時30分08秒 | スポーツ
 昨夜ACLの2ゲームがあった。鹿島が韓国チームに、セレッソが中国チームに、それぞれ0対1、1対3で負けた。二つとも酷いゲームで必然の敗戦、去年10年ぶり近い浦和優勝が夢みたいな話しに見えたものだった。 ただし、去年の浦和はもう死にものぐるいで敵ボールに寄せ、当たって、身方ボールの繋ぎも早める事ができるように、肉弾戦に負けていなかった。今年の4チームの、寄せ・当たり、早めの繋ぎの、何とお上品で、拙かったことか。鹿島も含めて、あれでは勝てない。
 川崎と柏のACLゲームも観てきたが、弱くなった原因はたった一言、寄せが遅いし、当たられ弱いからパスが乱れることである。そしてもう一つ、この事に関連して日本選手の視野が、「今の世界の寄せ・当たり水準」で言えば、昔よりも敵との相対的関係で大変狭くなっているのではないか。

 さて、ACLの日本の歴史を振り返ってみよう。2010年までの「繋ぎ」の日本勢は強かった。ところがそれを過ぎるとすっかり勝てなくなった。その原因が当たり弱さにあったことも、ゲームを観ていれば一目瞭然であった。特に、ACLに慣れていないチームほど弱かった。今回のセレッソや柏のように。つまり、Jリーグとは全く違う闘い方をしなければ勝てなくなっていたのである

 一言で言えば「ボールの奪い合いの闘争」になってきた。そして今回、昔から当たり強い韓国勢が3チームも勝ち残っているのとは、日本勢は対照的な大会になってしまった。当たり強い韓国が繋ぎを覚え、繋ぎの日本の鹿島や浦和がACLでは当たり強さを必死に出して勝ち始めたのだが、ここにきてまた中国、韓国勢に抜かれたという感が強い。

 なお、上に述べた視野の問題であるが、昨日の鹿島を見ても分かるように、速い寄せと当たりに弱い(ゲームをしている)ということは、これが強い相手にはパスも乱されるということである。鹿島の「ミスパス」が何と多かったことか! 早めに周囲を遠くまで見て、早めにパスを出せなければ、当たりの速い相手なら常にパスが乱されるということだ。今繋ぎのサッカーの質を高めるというのなら、猛烈な寄せと当たりの中でこれを鍛えねばならない。相手が身方ボールに押しよせてくるのが速くて、周囲情報を得る時間、判断する時間がないから、周囲が見えないままの苦し紛れのパスはミスパスになる道理である。ましてや身方ボール保持者が、当たられることに敵よりも優っているという自信がないならば、繋ぎゲームなどで勝てるわけなどないのである。

 ドルトムントのゲーゲンプレスが世界に広まった2010年過ぎから、世界サッカーがどんどんこうなってきた。ゲーゲンプレスとは、コンパクトな陣形(下の注参照)を敷いた上で、敵ボールに突っかける選手以外の身方選手は敵のパス先を塞ぐというボール強奪フォーメーションなのだから。こういう世界になったわけだから、周囲が早く見えなければパスが乱されるし、ボールを盗られることも多くなる。


 さて、西野監督は当然こういう世界傾向は知っていよう。が、これに対する対策にも通じているのであるか! 全くそうとは思えない。彼がガンバでアジアを制したのは、こういう世界傾向の前の時代のことだったのだから。
 やはり、ハリルの日本強化策は正しかった。2010年過ぎから「こういう当たり」の世界にどんどんなって来たのだから、「手数少なくパスを縦に速く繋ぐ攻撃で」というその攻撃戦略が、日本には必須だったということだ。
 対策としては、外国籍選手で固めることである。1対1だけの強さを重視するような視野の狭い選手は使うべきではない。ゲーゲンプレス・フォーメーションを使うならば、1対1で抜かれても、直後に身方がボールを取ることができるように寄せるなどということは当たり前に起こることである。特に、ニコ・コバチ監督があれだけ褒めている長谷部は絶対に外せない。敵のゲーゲンプレスにも強い中盤だからこそドイツで絶対的ボランチがやれて来たのである。同様の意味で、香川はともかく、岡崎、吉田も本田も外せない。二人とも当たりに強いからである。ただ、本田の繋ぎすぎる性格は、今の日本には合わない面がある。岡崎と吉田は、世界で最も寄せが速く、当たりが激しいプレミアで十二分にやれて来たのだから、使わない手はない。むしろ、日本代表が守備陣なら岡崎を、攻撃陣なら吉田を、それぞれ練習相手にして、鍛えるのがよいだろう。


 ゲーゲンプレスの創始者、ユルゲン・クロップがプレミアでついに頭角を現してきた。得点ばかりに偏って失点が多いチームが、見違えるようにこれを減らしてきたのである。ヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグでリバプールが優勝するかも知れない情勢にもなったと思う。クロップの失点防止法が、次の時代の世界の脚光を浴びていくことだろう。それも、クロップらしく得点は多いままで失点を減らしはじめたということだから、要チェックだ。


 注 コンパクト陣形 コンパクトとは「小さいけど中身が詰まった」というような意味。この場合は、身方の前と後ろを前は下がり目で後ろは上がり目として縦に詰めた密集陣を作って、敵ボールを奪おうという陣形のこと。「コンパクト・プレス」といえば、そのような陣形で全員で敵ボールに圧力を掛け、ボール奪取を狙う事を指す。密集陣形の中では、敵ボール保持者に突っかける選手、この敵からボールを受けるべく走っている敵のなるべく全員に、パスを受けられないように塞ぐ選手と、それぞれその瞬間に応じてきっちり役割がある。こう言うコンパクト陣形は前の方でも後ろの方でも作ることがある。なお、これがゲーゲンプレスと呼ばれている戦術の基礎的知識である。
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トランプという人間(12)「炎と怒り」の総集編⑥  文科系

2018年04月18日 09時28分50秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 今回を、この本の内容紹介最終回とする。以下は、この書評第4回目「この本の輪郭」とも重複する部分もあるが、要するに粗筋、概要、結論ということだ。

①大統領としてのトランプは、こんな事をやった。
・地球温暖化対策の枠組みから抜けた。
・エルサレムを首都と認定し、シリアを爆撃し(この4月で2回目である)、サウジの皇太子交代(宮廷革命?)にも関わってきたようだ。
・メキシコとの国境に壁を築き、移民に対して厳しい施策を採るようになった。
・ロシア疑惑によって、コミーFBI長官を解任し、モラー特別検察官とも厳しい関係になっている。
・続々と閣僚、政権幹部が辞めていった。

②これらを推し進めたトランプは、こういう人物である。
・知識、思考力がないことについて、いろんな発言が漏れ出ている。「能なしだ」(ティラーソン国務長官)。「間抜けである」(財務長官と首席補佐官)。「はっきりいって馬鹿」(経済担当補佐官)。「うすのろ」(国家安全保障担当補佐官)。
・その代わりに目立ちたがりで、「他人から愛されたい」ということ第1の人柄である。マスコミの威力を信じ、これが大好き人間でもある。
・対人手法は、お世辞か恫喝。格上とか商売相手には前者で、反対者には後者で対する。大金持ちの父親の事業を継いだ後、そういう手法で世を渡ってきた。
・反エスタブリッシュメントという看板は嘘で、マスコミと高位の軍人、有名会社CEOが大好きである。よって、閣僚にはそういう人々がどんどん入ってきた。

③本人に思考らしい思考も、判断力もないわけだから、政権を支えていたのは次の3者である。バノン他ボストンティーパーティーなど超右翼の人々。共和党中央の一部。そして娘イヴァンカ夫妻(夫の名前と併せて、ジャーバンカと作者は呼んでいる)である。トランプへの影響力という意味でのこの3者の力関係は、30代と若いジャーバンカにどんどん傾いて行き、前2者の顔、バノンもプリーバス首席補佐官も1年も経たないうちに辞めていった。つまり、トランプ政権とは、「アットホーム」政権、家族第一政権と言える。なお、二人の息子もロシア疑惑に関わる場面があり、アメリカではこれも話題になっている。

④よって、期せずして棚から落ちてきて、何の準備もないままに発足した政権の今までは、言わば支離滅裂。選挙中から「アメリカファースト、外には手を広げない」という右翼ナショナリズムが戦略枠組みだったのだが、エルサレム首都宣言をしてアラブの蜂の巣をつつくし、発足3か月でシリア爆撃も敢行した。ロシア疑惑でコミーFBI長官を解任して、大変な顰蹙も買っている。閣僚幹部はどんどん辞めていく。「馬鹿をさせないために側にいる」位置が嫌になるいう書き方である。

⑤こうして、この政権の今後は4年持つまいというもの。ロシア疑惑が大統領弾劾につながるか、「職務能力喪失大統領」として憲法修正25条によって排除されるか、やっとこさ4年任期満了かの3分の1ずつの可能性ありと、バノンは観ている。

 なお、何度も言うようにこの本の執筆視点は、バノンの視点と言える。全22章の内4つの題名に彼の名がある上に、プロローグとエピローグとがそれぞれ「エイルズとバノン」、「バノンとトランプ」となっているし、そもそも内容的に「バノンの視点」である。ちなみにこのバノンは今、次期の大統領選挙に共和党から出馬しようという意向とも書いてあった。


 以上長い連載を読んで頂いた方、有り難うございました。これで、このトランプシリーズは終わります。なお、外信ニュースによるとコミー元FBI長官がトランプに解任されたいきさつなどを書いた本を最近出したそうです。日本語訳を楽しみに待っている所です。
 

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