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随筆  「家」を守る  文科系

2024年08月12日 13時25分14秒 | 文芸作品
 僕は築61年の家に住んでいる。名古屋市の中心部、中区に近い千種区の端にある鉄筋コンクリートの家だ。亡くなった僕の父母が無一物で「手鍋提げても・・・」と結婚してから50歳を超えて初めて建てた、思い入れいっぱいの「自分の家」だ。貧しい家の三男だった父が職場で伊勢湾台風を経験した教訓から、その直後に「丈夫な家を」と特注したものである。最近この家の母屋二階の一部を手直ししたのだが、子、孫の代までずっと住み続けて欲しいなどと思ってのことだ。僕ら夫婦がここに越して来るために建てた新家の方もすでに築34年、そこには子どもが居ない息子夫婦がもう住んでいるが、僕が住んでいる母屋の方には、やがて娘家族が来て欲しいと考えている。僕は墓などはいらぬがこの家は大事にして欲しいと考えてきたからだし、その意を受けた娘もすでにこう語ってくれている。
「両親のどちらかが亡くなったら、ここに越してくる」
 ここの百坪ばかりの土地は、僕が小学生の時手に入れたもの。四人兄弟の家族六人が近くの狭い県営住宅に住んでいて、いつかはここに家を建てようと、共働きだった父母が計画していたのだが、以来子どもの僕はこの土地を折に触れ何度見に来たことだろう。「ここに僕らの家が建つのか!」というわけだが、それ以上に何か、「僕ら家族の土地!」という気持ちもあったと鮮やかに想い出すことができる。家が建ったのが土地を買ってから10年も後、僕が大学に入って1年経った時と記憶する。まだ新家が建っていない広い庭で大きなコリー犬が飛び回っていたというのも、懐かし過ぎる思い出である。

 人は墓や家を相続する。このような土地にある家の相続は大変な税が必要だが、その準備もできているはずだ。子らに託する僕らの思いが実現する金銭などの条件もすでに揃えてあると思うのである。

 僕の書斎兼寝室の大きな机の上には、仏壇よりもはるかに大事なものが一つ飾ってある。縦110センチ、横80センチで、黒の地色の大きな写真パネルだ。僕ら夫婦の一族の歴史を示す写真が納まったものである。僕の父母の子、孫一族と、僕の一族、そして連れ合いの家族などを毎日目にしているのである。ちなみに、写真前者はこの家の2階の和室に両親の子夫婦、孫一同が集合した恒例会食会のもの。つまり正月二日の集合写真である。
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