棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

ゴッホの麦畑

2008-06-22 18:02:02 | エッセイ・随筆
昨夜からよく降っております。
「樹木が露の重みで散歩道をとうせんぼ、している」と賢犬サクラにいいきかせ、寝ております。雨の日は良く寝れますねー。

我が家から車で10ほど行ったところに、もはや郊外といえない新興住宅地に侵略されつつある、農作地域があります。
ただ今、麦畑が一面に広がり、ホンワカとした香りが漂っています。
ジョキング・犬の散歩の方々においきあいしますが、日中はやけに太陽の光がまぶしくかんじられます。
それでいて、静けさがあり、稲田とは違っているのです。

麦畑といいますと、連想するのがゴッホの作品でしょうか。
ゴッホといえば激しい筆使いと、色彩を思い浮かぶと思いますが、彩色のない素描に画家の本質が読めます。
「糸杉と麦畑」の素描は、葦ペンを使い分けています。、
しなやかな線描は光が渦巻き、揺れ動いているのですが、不思議な静けさ、静謐さが漂っています。

画中に作者ゴッホがいて、こちらにスーと移り座し、再び画中に・・・。
過去・現在・未来を越えた気の流れをかんじます。

浮世絵版画がヨーロッパの画家に衝撃を与えたことは、どなたもご存知でしょうが、とりわけゴッホはおおきかった。
色彩のゴッホといわれてしまいますが、素描を見ると生真面目で透徹した自然観は、水墨画の名作を観るような、同質の自然観と次元を感じます。

麦秋の広がりを眼前にしても、ゴッホのような抽象的な世界まで、創造できません。
せめて、思いをヨーロッパに馳せても、残念ながらヨーロッパのきらめく麦畑の広がりを見ていないのです。

ryusun

つぶやき

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