足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

今週の焦点

2006-07-16 20:28:49 | 株式

今週の米バロンス誌に米国の機関投資家の記事が掲載されてある。改めえてびっくりするのはその規模の大きさである。ビッグ3はフィディリティー(運用資産13000億ドル)、キャピタル・グループ(同11000億ドル)、ブラック・ロック(同1兆ドル)である。いずれも円換算では100兆円を超える。近く1兆ドル・クラブに加入しそうなのがバンガードの9800億ドル、レッグ・メイソンの8680億ドルである。この5社の運用資産をもつてすれば東京市場を全部買い取れるだけの資金量である。米国の投資家の威力がますます大きく成長してきており、世界の株式市場における存在価値の重さが増幅される。それだけにウォール街の動向が世界の株価を動かす影響力は、日増しに増えていると感じる。

日本の機関投資家もいま米国のあとを必至で追いかける。世界第2位の個人金融資産の大国である。このような動きをみると長期的な視点での株式投資の意味は全く異なったものになる。

さてわれわれは目先のことを考えなければならない。今週の最大の材料はイスラエルのレバノン攻撃と米国の第2四半期の決算発表である。決算はシティー・グループ、コカコラ、メリルリンチ、IBM,ヤフー、ユナイテッド・テクノロジー、JPモルガン、アップル、Eベイ、インテル、フォード、ファイザー、アドバンスド・マイクロ・デバイシス、グーグル、マイクロソフトなど大物が目白押しである。

短期の調整期から抜け出すきっかけをつかめるかどうか。きっかけになる可能性も残されてはいる。


原油と金の相場

2006-07-15 16:30:22 | 株式

ニューヨーク株は続落し、今週はダウ平均は-3.2%と15ヵ月ぶりの下落になった。日経平均も-3.1%であったので日米とも株式市場からは資金が逃げた。資金の一部の行き先は石油と金である。

原油相場は$77.03で終わったが、一時は$78.40を記録した。$80台乗せも視界に入ってきたし、「次のターゲットは$100台乗せ」という見方も出てきた。北朝鮮のミサイル問題を皮切りにインドでのテロ事件、イスラエルのレバノン爆撃と地政学的リスクを高める材料が矢次早にでた。レバノンの民営組織ヒズボラの資金源としてイランの疑惑が出ている。世界で5番目の産油国であり、いざとなれば同国によるホルムス海峡の閉鎖の可能性もあるとみる専門家もいる。実現すれば第3次オイル・ショックになることは確実である。この海峡を世界の需要の4分の1の石油タンカーが通る。

金相場も石油相場に刺激され上昇トレンドにはいった。5月、6月と相場は調整したが7月に息を吹き返した。金曜日は2.1%も上がり13.60ドル高の$668をつけた。1980年の$873も近づいてきた。上昇の理由は石油と同じである。先行きに対する不安である。

石油株と金鉱株が相場全体に逆行高をした。手持ちの株式をヘッジする手段として、両業種に投資することを再び考えなければならない。


NY株の目先は調整か

2006-07-13 16:35:18 | 株式

注目しているメリルリンチの「米国株式テクニカル分析」が目先は慎重論を出した。

「株式相場は一服局面に入るかもしれない」という。「短期のモメンタム指標が買われ過ぎになってきた。(中略)4~6月の決算発表が本格化しつつあり、その期間中の相場のボラティリティーは高くなることが多い」として相場の調整を予測する。

それでもかねての持論であるダウ平均は大幅な下落の前に新値をとる可能性も捨ててはいない。

いまやウォール街のコンセンサスになっている「10月底入れ説」に同調しているが、それまでに一度は大きな調整局面があるとみる。

日銀が明日、ゼロ金利の解除を行う。8月には米連銀が最後の利上げに踏み切る可能性がある。春から始まった世界的な過剰流動性の収縮が一段と進みヘッジファンドなどの日本株でのキャリートレードが難しくなる。

ひとつだけ流動性の収縮を過大評価するリスクは、最近の金と石油相場の強いことである。市場には投機資金の流入があることの確認である。


ワコム((6727)

2006-07-12 14:44:54 | 株式

昨日のウォール街ではハイテク、インターネット株が久しぶりに人気を集めた。

半導体製造装置のKLAテンコアが業績見通しの増額修正を発表し、その人気がほかのハイテクに波及した。

東京市場のハイテク株への波及は限られた。信用取引の期日の圧迫が残るのか、あるいは投資家のセンチメントの冷え込みが大きいのか。

昨日、ワコム(6727JQ)が早々に20073月期の業績を増額修正した。発表は単体に限られたたが、売上げ214億円→230億円、経常利益11億円→28億円と大幅な増額であった。前期に比べて売上げ+25.7%、経常利益+1.68倍である。20063月期は売上げ+35%、経常利益1.8倍であったので、同社の製品であるペンタブレットの成長路線が確認できた。

株価が反応しなかったのは相場の地合いがよくなかったのと、連結の業績予想をそのまま据え置いたからである。9月中間決算時には連結も増額修正されることは間違いないと思う。ペンタブレットはPCのハードウエアーに残された数少ない技術革新の分野といわれる。2007年初めにマイクロソフトがウインドウズ・ビスタという新製品を出すが、ノートPC向けのソフトにはペンタブレットが使用される。また据え置き型のPCにもオプションでペンタブレットが選べるように設定される。

ワコムが連結決算について増額を見送ったのは、マイクロソフトの新製品の動向がつかめてからという意図があったのだろう。

新興市場の中から日本発のデファクト・スタンダード製品を生み出す数少ない企業である。日本の「ものづくり」の存在感を示す好例である。引き続き注目をしたい。


米企業の決算は緒戦でつまずいた

2006-07-11 18:07:23 | 株式

注目された今週のウォール街であったが、決算発表の皮切りのアルコア(AA)は期待はずれに終わった。利益は事前の予想を上回ったが、売り上げが伸び悩んだ。

東京市場ではアルミの精錬企業の上場銘柄はなくなったが、米国でアルミ株が注目されるのは製品があらゆる産業界に関係してくるからである。それだけに景気の現状を判断するバロメーターして投資家は関心をもつ。産業界の代理人でもある。期待以上の数字が出なかったことに市場人気はショックを受けた。相場の不透明感を打破する突破口として期待した決算発表は緒戦で挫折した。

引き続いて通信機器の大手であるルーセント・テクノロジー(LU)が週後半の発表に先駆けて決算発表に慎重なコメントを出した。ウォーニング(警告)である。国内の通信会社からの受注が低調であったことを理由にあげる。ハイテクの代表企業であるだけにナスダック市場の先行きに懸念する人気を呼んでいる。

両社の先行きの慎重論で気がかりなのは中国での売り上げの伸び悩みや減少に触れたことである。世界経済のけん引役であった中国での不振がほかににも波及するのかどうか?

現在の日本株のファンダメンタルはよいし、株価水準も居心地のよいところである。しかし外人投資家のセンチメントをみていると政治情勢と投資家心理(特に日本の)を気にしている。

米国の企業業績が目先の大きな関心事であっただけに、結果が裏切られるかどうか今週の後半には注目しなければならない。