昨日の米雇用統計(6月)は12万1000人と事前の予想数字の16万人を下回った。一部には相当に大きな数値を予測する調査機関もあった。最近、注目を集めはじめた雇用関係のアウトソーシングADPでは36万8000人の雇用増とびっくりするような数字を出していた。市場では最近、「悪いニュースは相場には好材料」という見方をする向きもあっただけに、こんな数字が発表になったら大変と私はみていた。しかし12万人は景気の減速を示すものであった。期待した「悪いニュース」だが、株価は期待通りには動かなかった。数字の発表後の相場は下げた。
最近、ウォール街では相場のボラティリティーについての議論が盛んになってきている。リチャード・ロール教授(UCLA)は「投資家が近い将来になにが起こるかについて確信がもてない産物がボラティリティー」という。
有名な経済学者のロバート・シラーは「ボラティリティーは投資家の判断の分散」と定義づけている。
これまでとは異なり株価の形成については合理性だけでは説明できない要素がふえてきた。
来週は日銀のゼロ金利への決別宣言が行われる可能性があり、それをめぐって市場参加者の見解は分かれる。相場の変動率は高くなる可能性を頭に入れておかなければならない。