昨日のウォール街ではハイテク、インターネット株が久しぶりに人気を集めた。
半導体製造装置のKLAテンコアが業績見通しの増額修正を発表し、その人気がほかのハイテクに波及した。
東京市場のハイテク株への波及は限られた。信用取引の期日の圧迫が残るのか、あるいは投資家のセンチメントの冷え込みが大きいのか。
昨日、ワコム(6727・JQ)が早々に2007年3月期の業績を増額修正した。発表は単体に限られたたが、売上げ214億円→230億円、経常利益11億円→28億円と大幅な増額であった。前期に比べて売上げ+25.7%、経常利益+1.68倍である。2006年3月期は売上げ+35%、経常利益1.8倍であったので、同社の製品であるペンタブレットの成長路線が確認できた。
株価が反応しなかったのは相場の地合いがよくなかったのと、連結の業績予想をそのまま据え置いたからである。9月中間決算時には連結も増額修正されることは間違いないと思う。ペンタブレットはPCのハードウエアーに残された数少ない技術革新の分野といわれる。2007年初めにマイクロソフトがウインドウズ・ビスタという新製品を出すが、ノートPC向けのソフトにはペンタブレットが使用される。また据え置き型のPCにもオプションでペンタブレットが選べるように設定される。
ワコムが連結決算について増額を見送ったのは、マイクロソフトの新製品の動向がつかめてからという意図があったのだろう。
新興市場の中から日本発のデファクト・スタンダード製品を生み出す数少ない企業である。日本の「ものづくり」の存在感を示す好例である。引き続き注目をしたい。