NY株の方向性が固まらない。ユーロ問題が気になる。新しい悪材料が出たわけではないが市場の底流には相場のエネルギーが枯渇すると、懸念が吹き上がる。
昨日はボストン連銀のロゼングレン総裁の「ヨーロッパ問題は米国には大きな懸念材料だ。QE3(第3次量的緩和)と関連がでてきた」と語ったことが話題になった。
ウォール街では目下、第3四半期の決算発表中。当初の見通しを上回る企業もみられるが相場の回復を支えるほどの材料にはならない。市場のセンチメントを表すVIX(恐怖)指数は先週末には待望の30割れとなり、先行きに期待感を持たせたが、今週は33→31→35と2週間前の状況に逆戻りした。
ヘッジファンドの業績の不振が気になる。第3四半期(7~9月)には成果が年初来-6%になり2008年第4四半期以来の下落率になった。
リーマンショック時と同じ成績の悪化である。
いつも話題にあるのはサブプライム問題を逆手にとって業界の覇者になったジョン・ポールソンの不振である。彼の運用する旗艦ファンドのアドバンテッジ・プラスが年初来-30%超の下落になったのはヘッジファンドの投資家には大きなショックである。ヘッジファンドの解約には3ヵ月前に申し込むケースが多いが、このため最近は解約の申し込みが増加している。
東京市場にもヨーロッパ問題が重圧になっている。昨日は海外の堅調な相場を織り込めず、息切れした。最近はNY株の動きを先読みする日が多くなってきたのは、それだけ賢明な投機家が増えてきた証明か?
いずれにしてもNY株の動きの影響力が世界を完全に制覇した感じである。