昨日のウォール街の雰囲気は悪かった。
材料はヨーロッパでの金融不安、米財政再建協議の行き詰まりである。VIX(恐怖)指数は21と6月24日以来の高い水準になった。
第2四半期の決算発表は好調であるが、相場には全く反応せず悪材料の方に関心が向くのは、地合い弱さを反映している。金相場が1600ドル台に乗せたのも不安人気の高まりである。
先週の議会証言でバーナンキ議長がQE3(第3次量的緩和)に消極的な姿勢を表明したが、市場の景況感との間にはずれが出てきた。
ゴールドマン・サックスのドイツの調査チームが米景気の第2四半期の数字をこれまでの年率2.0%から同1.5%に大幅に引き下げたことも話題になった。
2008年のリーマンショック破綻後にNY株は50%近く下落したが、「米国債の格下げがあればリーマンショックの比ではない」という悲観人気も台頭している。
米国財政再建問題は議会での議論に移った。
東京市場でも8月にかけて政治問題が一段とエスカレートするが、金融問題については静かなのが救いである。20年間の及ぶ不良債権の処理が日本の金融市場への信頼感につながっているのは皮肉な話である。
米国の政治には日本とは異なり良識が働く。財政再建問題が世界の市場に打撃を与えることはないと思うが、8月初めまでは先行きの不透明感は消えないだろう。