中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

長く愉しむ紬

2018年01月19日 | 着姿・作品


先週の紬塾の最終回はこの藍の小格子の着物を着ました。

紬塾の際には実習以外は必ず着物でみなさんをお迎えするようにしています。
着姿を見ていただくことも学びの材料の一つと思うからです。
身近に着物姿を見る機会のない方もいますので良きにつけ、悪しきにつけ(^_^;)参考にしてもらえればと思っています。
受講者の紬塾レポートは来週になります。

40代初めの個展に合わせ、在庫の中から仕立てた藍小格子紬の着物です。
20年以上頻繁に着ています。裾も裏地が擦り切れ、洗い張りもしてあります。
特に個展の時など自分自身は控えめに装いたいと思いますのでこの着物を着ることになります。

当時、袷の着物はこの着物しかなく、1月に開催した6日間の個展会期中6本の帯を替え着続けたことがあります。
帰ってから畳む暇もなくハンガーに掛けたまま翌日も着ました。
一週間終えて着物を見るとビクともせず、全く疲れを見せていないように思いました。
経糸に真綿の糸も混ぜて織っていますので柔らかいのに堅牢なのです。

この時、この織密度や糸の太さ、糸質、真綿紬糸の混ぜ方などにこれでいいのだという確信を持ちました。
お召しいただく方から着心地のよさや安心感があるという声を頂きますが、自分でも実感したのです。
真綿の毛羽もとれ、光沢感もでてきました。
繊維も草木で染めた色も少しずつ変容を続けていきます。
自分も成長や年齢の変化と共に着ることになります。
帯を替え、小物を替え、気分を変え変化を愉しんでいきます。

手織りの真綿紬は値は張りますが、一生手入れをしながら着続け、なおかつ頼れる安心感も得られます。着物から学ぶこともたくさんあります。
無地感覚の紬は帯合わせ一つでかなり雰囲気を変えられる自由度の高いものです。

とことん着尽くす一枚の本物の紬のよさを、一人でも多くの方に知っていただきたいと思っています。



この日は鬼しぼ縮緬地、お目出度い文様の羊歯文江戸小紋の帯を合わせ、薄紫の帯揚げ、白の帯締を合わせ新年の清新な取合せをしてみました。
着姿ページもご覧ください。

2月下旬の工房展示で是非触れて体感していただきたいと思っています。




コメント
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