中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

きものの仮仕立て

2011年10月25日 | 制作工程

久々に反物を仮仕立てしました。
数年前に織ったものですが、ドットの刺繍が絵羽で入っているものです。



反物を折り積り、袖、身ごろ、袵、衿と切り離すのですが、
自分で織った反物でもドキドキしながら確認を繰り返し、
やっと「エイッ!」とハサミを入れることができました。
和裁士さんは日々人様の預かりものの反物でこのドキドキを
繰り返されているのかと思うと、頭が下がります。
ソコツな私は和裁士は向きそうにありません。

さて、ハサミを入れる前の話に戻りますが、反物は仕上げ(湯通し、湯のし)をしてあっても
布地に歪みが生じやすいものです。
正しく真っ直ぐ織られていても、糊を抜いた後やや弓なりになるのが自然です。
しかし縫うときには、地の目を真っ直ぐにしないと、
縞柄などが通らないことにもなりますので、
スチームアイロンで弓なりを修正していく地直しをします。
ただ織る段階でミミ(反物の両端)をつらせて織ってしまったものは、
いくら引っ張っても真っ直ぐにはならず、
ミミに少しハサミで切れ込みを入れて仕立てるしかありません。
そうならないように織るのは技術や織りの密度、よこ糸の太さなども関係しますが、
ミミが大切だという意識がなければ何反織っても上手くはなりません。

織物をしている人の中にも「ミミは縫ってしまえば解らないから」と
ミミ端をおろそかにしていることが多いのですが、
反物のよしあしはミミを見れば、真ん中がどうなのかもわかります。
またミミが甘く、緩んでワカメのようになったものもよく見かけますが、
これはもっと仕立てるにも着用にもよくないのです。背縫いが割れてきたりします。
手織りの布を見るときの参考にしてください。

さて地直しをして、地の目をよく見ながらハサミを入れ、
縫うときも地の目が通るように縫っていきます。
そうすることで、仮仕立てとはいえ、キリッとした感じに仕上がります。
衿肩明は切り込みを入れませんので、衿付カーブをつけず平らに縫いつけます。

やはりきものの形に仕立て上がると、雰囲気もでて、迫力も増します。
どんな方に出会い、その方の人生と共に生きていくのだろう…、と想像したりしました。
裁ちから2日がかりの緊張の仮仕立て作業。
仕立てのプロの方には笑われそうですが、一応無事に縫い上がり、ホッとしたところです。

さて、このきものは、ちょっとだけ先の話ですが、 「アートでおもてなし」という展覧会が
かたち21の企画で12月2日(金)~6日(火)の間、町田市の可喜庵で開催されます。
それに出品します。他の出品者の方からも素晴らしい作品が一部届いてまして、素敵な展示会になりそうです。
詳細は後日お知らせします。
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