中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

自然の理に適っているか。

2011年04月16日 | 工芸・アート
中野みどりのHP


桶谷寧さんの「曜変天目茶碗を語る会」は、
あいにくの曇天模様の中での開始となりました。
太陽の光線によって虹彩の見え方が大きく変わりますので、
当日の天候をとても心配していたのですが、
笹山さんの話を聞いている途中から日差しが出てきて、
その輝きの変化も見てもらうことができました。





青に黄に赤に紫にと美しく放たれる色相を堪能していただけたと思います。
そして陽が沈むころには青味だけを残して、深く静かな表情になります。
画像ではこの神秘的な美しさをお伝えすることができませんが、
また来年もこのような機会を持てたらと思っていますので、
そのときは是非ご覧いただきたいと思います。



資料として送ってくださった油滴天目、禾目天目茶碗などを拝見する




後半の懇親会でも、器の話、着物の話、無駄にエネルギー消費をしないこと、など
遅くまで時のたつのを忘れて語り合いました。

生き生きとした美しさ(美味しさ)には、自然の理(ことわり)というものを感じます。
美味しさとは食材自体の固有の味であるように、土には土の色があり、
草木には草木の色があって、それを引き出すのが工芸の仕事、と笹山さんは話されました。
そのことを桶谷さんは「自然のものは彩度が高い」と表現したのだそうです。
言われてみればなるほどと納得されるところがあって、
それもまた自然の理にほかなりません。

自然の合理の中に私たちは生かされている。
人が(もちろん動物も)近づくことができない、封じ込めなければ扱えないエネルギーは、
自然の理にかなっているのだろうか。
本当に人に幸せな歓びを与えてくれるのだろうか?

みんなで美しいものを愛で、語り合った楽しいひとときが
また来年も来るよう切に願うばかりです。



コメント
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