夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
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トマトの想いで・・♪    《初出2006.7.13.》

2008-05-02 21:21:42 | 幼年・少年時代の想いで
ここ一ヶ月、スーバー・マーケットの果物売り場、八百屋でトマトを見たりしている。

はじめの頃は、熊本県産が多かったが、日増しに千葉県産などがあり、
この2週間に於いては東京の郊外産が見かけるようになっている。

先程、冷蔵庫で冷やしたトマトを食べていたら、小学生の頃を想いだした・・。


昭和26年の春に私は小学校に入学したが、
この当時は実家は祖父と父が中心となって農家をしていた。

初夏の頃になると、茄子(ナス)、胡瓜(キュウリ)、トマト等を収穫し、
夏になると西瓜(スイカ)、瓜(ウリ)等を青果市場に出荷していた。

茄子、胡瓜、トマト等は早朝から畑で選定し、収穫した後、
7時過ぎに父は青果市場にリヤカーに乗せて行っていた。

家では形の悪いもの、大き過ぎたもの、熟れ過ぎた品を食べたりしたが、
胡瓜とトマトは井戸水につけて置いて、
午後の3時過ぎに空腹になった私はトマトを噛(かじ)ったりしていた・・。

朝の登校する8時過ぎに、遠い親戚の叔父さんの畑の細道を歩いていたが、
トマト畑の支柱にたわわになっているトマトを眺めながら、
ひとつ採ったりした・・。

消毒の白さと朝露を服で拭いながら、噛り付いたりした・・。
適当に熟れたトマトは収穫済みだったので、
明日頃に熟れるトマトを選んだりしていたが、青味が少し残っていた。


後年、私の結婚披露宴の時、この叔父さんに来て頂いた時、
何気なしに私は小父さんにこのトマトを話題にした。

『叔父さんの畑で・・
小学校の頃、よくトマトを盗んで頂きました・・』
と私は言った。

『あの頃の子供・・皆そうだったょ・・』
と笑いながら小父さんは言った。


私が先日買い求めたトマトは、ひとつ百円であったが、
家内用は熟れたつややかな色合いの品を選び、
何故かしら私が食べる品は、
少し青味がかった熟れる寸前の色合いを選んでいる。

私の住む処の周辺は、
東京オリンピックの前頃に田畑は無くなり、住宅街となっている。

あの頃は・・と私は想い出している・・。



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