夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

日本再生論、つたない高齢者の私が、ここ数年で最も感銘を受けた寄稿文は・・。

2013-11-05 11:24:38 | 時事【社会】
私は東京郊外の調布市の片隅に住む年金生活の69歳の身であり、
先程、ネットでニュース記事を彷徨(さまよ)っている中、
たまたま【 一人貧乏くじ引かされた日本 経済音痴・民主党政権の罪 】
と刺激的な見出しを見た。

私は政治、経済にも疎(うと)い身ながら、何とか日本の経済の復興を無力ながら望むひとりである。
そして産経新聞より、本日の11月5日(火)6時0分に配信された記事と知り、この記事を読みはじめた・・。
無断ながら、転載させて頂く。
                    
《・・
中国の製造業が世界へ向けて「デフレを輸出した」と言われて久しいですが、
ノーベル経済学賞受賞学者のポール・クルーグマンは
「アメリカも日本も、4%のインフレターゲットを10年間でも15年間でも続けるべきだ」とデフレ脱却論を展開しました。
最初に追随したのが、アメリカのバーナンキFRB総裁で通貨供給量を3倍にするなど5年間にわたる大型金融緩和を続行し、
ここへ来て米景気がやっと上向いてきたことからも、その成果が目に見えてきました。

米に追随したEU・中国・韓国なども、それぞれ2~3倍の紙幣を刷りまくって景気刺激策を取り続けた結果、
一人貧乏くじを引かされたのが日本で、超円高とデフレに苦しめられてきたのでした。
その間の日本は、経済音痴の民主党政権と頑迷なアンチ・インフレ論者の白川日銀体制が、
僅か30~40%増に過ぎない微々たる金融緩和策を小出しし続けただけで、
3割もの円高がモノ造りにもダメージを与えることとなり、デフレ不況を脱却できずにきたわけです。

安倍政権に代わってデフレファイターの黒田総裁と岩田副総裁が日銀首脳に就任して以降、
誤った金融政策を打破する大胆な施策が打ち出され、やっと日本経済に火が灯された、といったところでしょう。
          
さて、これからアベノミクスの第二段と第三段の実行が本格化していきます。
願わくは、バラマキ型財政政策と、古い輸出産業振興型成長戦略だけは避けて欲しいものです。
人口減少型成熟社会に向かう日本の未来を鑑みるに、国の競争力ランキングやGDPの多寡を問うのではなく、
デフレ不況を乗り越えた後、日本人が生き甲斐を持てる社会を目標にすべきではないかと考えます。

今の日本には、高度経済成長期に蓄えた富だけでなく、
技術力や人的資本とか文化力など、世界に誇りうる巨大なソフトパワーが備わっております。
アベノミクスでは、これらを活かし、単なる経済力に一喜一憂するのではなく、
日本人に特有の美的感受性に根付いた国柄を守り「清富有徳」国家を目差していただきたいと切望いたします。

日本の復権に必須なのは内需拡大だと信じます。
80年代後半、日米貿易摩擦が極度に深刻化したとき、当時の中曽根内閣の諮問機関として
「経済構造調整研究会」(前川座長)がまとめた画期的な提言「前川レポート」を今思い起こすときではないでしょうか。

ここに書かれたのは、産業・金融政策などのサプライサイドの視点からではなく、
国民生活と言うデマンドサイドの構造的問題点を明記し、その抜本改革を主張して、
真っ先に内需拡大の必要性を掲げ、その実現に住宅政策と消費生活の充実を挙げたことは、素晴らしかったと記憶しております。
          
今注目されている「Quality Of Life」(暮らしの豊かさ)は、
日本では「生活の質」などと誤訳されていますが、
「Quality」とは単なる「Substance」や「Character」ではなく、
良質性、高品質を意味する語ですから、良い生き方、人生の有意義性を問うているとお考えください。
前川レポートは、それを四半世紀も前に提言した極めて先見性のあるレポートでした。

この素晴らしい提言がすべて活かされ、実現されていたなら、全く逆の経済状態になっていたはずでした。
ところが事態は全く負の展開をたどり、デフレ不況に悩んでいるのが現下の日本なのです。

なお、国民生活の抜本的構造改革による内需拡大に至らず、
逆に極めて歪んだかたちに日本経済をおとしめた諸悪の根源は、あの最悪のバブルでした。
プラザ合意に端を発した国内金融の過剰流動性の発生による「円高・株高・債権高」現象で、
歪んだ内需拡大は、ウサギ小屋に住みながら高級ブランド品に現(うつつ)をぬかし、
グルメや海外旅行に散財してしまう結果となります。
実質経済破壊への道程の始まりでした。
バブルが弾けた後の、長期にわたる景気低迷からデフレに至ったわけです。
          
今度こそ、過去の過ちから学び、日本の経済構造を根本から変え、
内需主導型成長経済への転換を図ることが必要となります。

そのモデルのいくつかがアメリカにあります。
アメリカ人は就職、結婚、離婚、再婚、転職や転勤、あるいは所得や家族構成の増減などに呼応して、
生涯に3回から多い人では10回以上も家を買い替えます。
そのたびに、自動車や家具、家電、衣装類などを買い替えますので、
こうした旺盛な個人消費が、アメリカの内需拡大基調を支えているのです。
現状より大きな住宅を購入し、手を加えることで価値を上げて転売し、さらに良い家へ住み替える、
あるいは郊外型中級住宅から都心型高級住居へ住み替える、といった具合にライフサイクルに合わせた売買を繰り返します。

そのことで、近所付き合いや社交の発展や趣味の高揚などが、
宅地開発や住宅メーカーの商品供給を刺激し、各種消費財の高級化や低価格化をリードし、
サービス産業を含めた衣食住総合型の内需経済成長に寄与してゆきます。
これこそ、国民各自にとっては「暮らしの豊かさ」の追求に当たるのです。

日本が経済成長で生み出した分厚い中産階級が蓄えた個人金融資産が1500兆円も眠ったままですから、
これを自国内で回転させることが、経済成長の鍵となるでしょう。
          
内需拡大で見逃せないのが地方活性化です。
中央集権が進みすぎた結果もあって、大半の大企業本社が東京に一極集中している弊害から一刻も早く逃れるべきでしょう。
地方主権と言っても、単に廃県置州といった単純な行政権限の移行だけではなく、
大企業が地方にもっと目を向けるべきではないかと思います。
トヨタやホンダ・ヤマハが東海を活性化し、コマツが石川県回帰を図っていることなどがよきモデルになります。

コマツの坂根相談役の言によると、石川工場の従業員は、
同じ賃金体系でも大阪工場や北関東工場よりはるかに良い生活ができているそうで、
たとえば社内既婚女性の子供の平均数を調べたところ、
東京本社0.7、大阪や北関東が1.3~1.5なのに比べて、石川は1.9にもなり、
管理職の女性に限ると2.6にも跳ね上がったようです。

これこそ、少子化と労働力不足問題の一挙解決策になりそうです。
日本の大企業が溜め込んだ60兆円もの手元資金を、
自社や地方のベンチャー起業に活かしていただくのも、地方活性化に貢献してくれそうです。

唯一の心配点は電力コストの高騰です。
地震国トルコは「巨大地震に耐えた日本の原発技術力と経験を信じて購入したい」と、
津波被害の福島第一と耐震性を証明した福島第二や女川原発を正しく評価してくれましたが、
国内の評価はそうではありません。
原子力規制委員会の不作為、日本のマスコミの自虐的偏向報道、小泉元首相の“寝言”のごとき脱原発主張…。
こうしたことが、今後の産業成長の鍵となる原発再稼動を遅らせることのなきよう祈るばかりです。
(上田和男)
・・》
注)記事の原文にあえて改行した。
          
私はこの記事を読みはじめて、やがてこの記事こそが、まぎれない日本再生論だ、
と感じ深めて、読み進めたのである・・。
特に日本は1998年以降、政治は混迷、経済は低迷、社会は劣化する中、
私は中小業の民間会社に35年近く勤めて2004〈平成16〉年に定年退職となった。

そして政治、経済にも疎(うと)いので、新聞を読んだり、テレビのニュース、ドキュメンタリー番組を視聴したり、
或いは月刊総合雑誌の『文藝春秋』、ときおり『中央公論』、『新潮45』などを読んだりし、
何とか日本経済の復興をして、日本の再生を願ってきたひとりである・・。

こうした中で、私が知る限りこの記事は日本再生論として、ここ数年で最も優れた記事である、
と読み終わった後、感銘した。
そして日本の多くの方に、この記事を知って共有致したく、あえてこの記事を転載させて頂いた。

そしてこの記事を綴られた方は、(上田和男)と記載されていたので、
恥ずかしながら私は無知であったので、ネットで調べたりした。

《・・上田和男(こうだ・かずお) 1939〈昭和14)年、兵庫県淡路島生まれ。
1962〈昭和37)年、慶応大経済学部卒業後、住友金属工業(鋼管部門)に入社。
米シラキュース経営大学院(MBA)に留学後、1970〈昭和45)年に大手電子部品メーカー、TDKに転職。
米国支社総支配人としてカセット世界一達成に貢献し、1982〈昭和57)年、同社の米ウォールストリート上場を支援した。
その後、ジョンソン常務などを経て、1996〈平成8)年カナダへ亘り、住宅製造販売会社の社長を勤め、
2013〈平成25)年7月に引退、帰国。現在、コンサルティング会社、EKKの特別顧問。・・》

こうした分野で歴任された氏の今回の寄稿文は、私は遅ればせながら氏を信愛でき、多々教示されている。

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