ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

世界経済の危うい感じ

2010-11-03 08:40:25 | 経済
このところ、世界の株価は日本を除いて上がってきた。日本とアメリカの比較でいえば、以前はドルベースのダウ平均と円ベースの日経平均でⅠ-2割日経平均のほうが上だったのが、今はダウ平均が11,000ドルくらいで日経平均が9000円強である。完全に逆転している。

しかし、アメリカの景気が回復したかと言うとそうではない。失業率は10%程度で高止まりしているし、景気が回復しないので中間選挙で共和党が勝ちそうだというのは連日のようにいわれていることである。回復していなくても景気回復の方向に向かっていればまだ良いのだろうが、それが感じられないのでオバマ人気が下がっているのだろう。

私は、日銀が大幅な金融緩和を発表したときに、金融機関は潤うが日本経済全体への効果は疑問であると書いた。同じことがアメリカでおこっているように感じている。つまりアメリカ政府の金融緩和策で金融機関に金が入っているのだが、それは設備投資に回らずに、アメリカや新興国の株に回っているように思う。日本では金融緩和の金が日本国債に回っているので円高になっているのではないかと思う。

私の危惧は、景気が悪いからと言って政府が投入する金が投資ではなく投機、つまり人にためになる金儲けではなく、人を困らせる金儲けに向かっているのではないか、と感じている。表題の「危うい感じ」はここからきている。

イギリス政府は財政立て直しのために、王室の経費まで削るけちけち作戦に出ている。イギリス政府が正しいか、アメリカ政府が正しいかの結論が出るには2年くらいかかるような気がするが、見守って行こう。

景気対策として政府が金を投入するには「人のためになる金もうけ(投資)」と「人を困らせる金もうけ(投機)」を峻別すべきである、と言うのが私の持論だがそれを行わないで金融緩和だけを行っている各国政府の現状を見て非常に不安に感じる。前回の資本主義の不安定さは第2次世界大戦につながった。武力的な戦争になることは無いが経済戦争になりそうな兆候は見えている。三方得、という金もうけの哲学を一刻も早く広めるべきだと思う。