備忘録として

タイトルのまま

The Sea of Trees

2017-01-07 11:12:11 | 映画

『The Sea of Trees、邦題=追憶の森』2016、監督:ガス・ヴァン・サント、出演:マシュー・マコノヒー、ナオミ・ワッツ、渡辺謙、主人公のアーサー・ブレナン(マシュー)は、Perfect place to dieとされる富士の樹海で自殺をしようと日本へやってくる。森に入り睡眠薬を飲んでいるとき森をさまよう男ナカムラタクミ(渡辺謙)に出会う。ナカムラとともに樹海を彷徨する中で、妻(ナオミ)との日々がFlash Backされ、徐々にアーサーがなぜ樹海で死のうと思ったかがわかってくる。自分の不貞が原因で夫婦間に亀裂が入り、贖罪の気持ちはあるものの、アルコール依存で自分をなじる妻を素直に愛せない日々が3年も続いていた。そんな時、妻に脳腫瘍がみつかり、闘病の中でお互いを理解しやっと絆を取り戻そうとした矢先に妻を亡くしてしまう。妻を亡くした喪失感と償えなかった罪の意識からアーサーは自殺をしようとしたのだった。ナカムラが何者かということはすぐに予想がつくのだが、映画の最後にアーサーはそれに気づき、妻のいない人生を歩み始める。

映画『巴里のアメリカ人』でジーン・ケリーが歌う「Stairway to Paradise」をナカムラが歌う、子供たちが森を彷徨う童話「Hansel and Gretel」、ナカムラの妻Kiiroと娘Fuyu、ナカムラの身体を覆うコートの下に咲く花、死人の魂はすぐそばにいる、などがKey Wordとして散りばめられる。中でもナカムラがつぶやく煉獄(Purgatory)が映画のストーリーの中心になっているように思う。ダンテの神曲でダンテは男に煉獄を案内され、煉獄の先にある天国では最愛の女性ベアトリーチェが待っている。アーサーが喪失感と罪悪感を克服し自殺を思い止まり生きる決意をした理由は、神曲のキリスト教的な世界観からはわからなかった。それよりも、病床のブッダを前に嘆き悲しむ弟子たちにブッダが言った次の最後の言葉のほうが彼の立場を代弁しているように感じた。

「やめよ。アーナンダよ。悲しむなかれ、嘆くなかれ。アーナンダよ。わたしはかつてこのように説いたではないか。すべての愛するもの・好むものからも別れ、離れ、異なるに至るということを。およそ生じ、存在し、つくられ、破壊されるべきものであるのに、それが破壊しないように、ということがどうしてありえようか。さあ、修行僧たちよ。お前たちに告げよう、もろもろの事象は過ぎ去るものである。怠ることなく修行を完成しなさい。」

人生は諸行無常であり、死にゆくものにいつまでも関わるな。自分自身で生きる意味をみつけなさい。とブッダは教えている。

アーサーと同じように、ネットで「Perfect Place to Die」と検索すると、すぐにAokigaharaが出てきた。毎年数十人の自殺者が発見されているらしい。海外でも人気(?)で、映画では主人公に加えドイツ人の自殺体が出てきた。映画は暗いがいろいろなKey Wordsが思索を刺激してくれた。★★★★☆

『Rogue One、A Star Wars Story』2016、監督:ガレー・エドワーズ、出演:フェリシティー・ジョーンズ(Theory of Everything)、ディエゴ・ルナ、近くのシネコンで観た。Star Wars 第4話は、反乱軍が手に入れた設計図から弱点をみつけDeath Starの破壊に成功する。映画ローグワンはその設計図を手に入れるために帝国の要塞に忍び込んだ反乱軍戦士たちの戦いを描く。映画の主人公を含め反乱軍の兵士は要塞での戦いの中で全員死んでしまう。映画の最後、手に入れたDeath Starの設計図を指さしたC3-POの「それは何?」という問いに、レイア姫が「Hope!」と答える。CGで登場し若きレイア姫を演じたキャリー・フィッシャーの冥福を祈って星をひとつ追加した。★★★☆☆

『Jack Reacher:Never Go Back』2016、監督:エドワード・ツウィック、出演:トム・クルーズ、コビー・スマルダーズ、ダニカ・ヤロッシュ、トム・クルーズが特殊能力を持つアウトローの元軍人Jack Reacherを演じる第2弾。今回のJack Reacherは米軍のアフガニスタン撤退に際し武器横流し事件を摘発する女性将校を助け、悪徳軍人、武器商人、殺し屋と戦う。自分の娘と名乗る若い女性と行動を共にする。第1作のようなサスペンスがなく脚本が明らかに劣化していた。★★☆☆☆

『Magnificent 7』2016、監督:アントイン・フグア、出演:デンゼル・ワシントン、イーサン・ホーク、クリス・プラット、ハレー・ベネット、極悪鉱山主に搾取される西部の町の住人がガンマンを雇い、鉱山主に立ち向かおうとする。カバーされた黒澤明の『七人の侍』と比べいろんな部分が端折られ人物の掘り下げもない。原作『七人の侍』で最も重要で魅力の鍵だった村を要塞化する中で侍と村人の間に一体感が生じ、ともに野武士に立ち向かうという骨格がなく、勘兵衛に対応する司令官役のデンゼル・ワシントンへの求心力にも必然性が感じられなかった。結局、迫力(?)のガンファイトを見せただけで、黒澤明の『七人の侍』はもちろんのことユル・ブリンナーの『荒野の七人』とも別物として見なければいけない。時間つぶしのレベルにもない。★☆☆☆☆

『ビリギャル』2015、監督:土井裕秦、出演:有村架純、伊藤淳史、田中哲司、野村周平、学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に合格した実話の映画化。ビリギャルの学力レベルに応じた先生の熱血指導に、彼女の揺れる心理状態や家族関係を絡ませ、奥行きのあるドラマになっていて面白かった。★★★☆☆


最新の画像もっと見る