今回のテキサス行では10本以上の機中映画を観た。最後は観たい映画がなくなり普段は観ないディズニーのアニメ映画まで観てしまった。その中でも最後の最後に観た映画が最も心に残った。それが表題の「ネブラスカ」である。老父がアルツハイマーになる話に観る気はまったくなかったのだが、何気なく観たのがラッキーだった。
「ネブラスカ」2013、監督:アレクサンダー・ペイン、出演:ブルース・ダーン、ウィル・フォルテ、アルツハイマー気味の父親は100万ドルの宝くじに当たったと思い込みモンタナからネブラスカまで歩いて行こうとする。見かねた次男は父親を車に乗せてネブラスカに向かう途中、両親の故郷に立ち寄る。そこでは100万ドルが当たったという噂が広まり、ほとんど付き合いのなかった昔の友人や親戚たちがおこぼれに預かろうと集まり、人間の本性が露わになる。父親に批判的な母親と長男もそこに加わり、両親の人生や交友関係に触れるうちに親子と家族のきずなが深まる。父親は都合よくアルツハイマーを演じているようにも見えるが、年老いて子供のように純真になっているだけのようにも見える。白黒画面がハートウォーミングなストーリーを際立たせる。89歳になった父の人生に重なってしまった。★★★★☆
「The Guilt Trip、邦題:人生はノーリターン」2012、監督:アン・フレッチャー、出演:バーブラ・ストライサンド、セス・ローゲン、自分で開発したエコ洗剤を販売する主人公は販売先を訪ねるアメリカ大陸横断の旅に過保護な母親を同行することになる。息子は不器用で商品はまったく売れない。人生経験が豊富で人付き合いの上手な母親のアドバイスは的確なのだが、そのアドバイスを素直に受け入れられない。バーブラ・ストライサンドはこの作品でアカデミー賞のパロディー版ラズベリー賞で最低主演女優賞をとったが、そんなに悪いとは思わなかった。話は単純で最後の落ちもわかりやすく面白かった。★★★☆☆
「Dave」1993、出演:ケビン・クライン、シガニー・ウィーヴァー、昔観た映画を再鑑賞した。病気になった大統領の影武者になった男の大統領夫人とのやりとりや福祉予算を友人の会計士と国家予算から捻出する場面は痛快だった。★★★☆☆
「Being There、邦題:チャンス」1979、監督:ハル・アシュビー、出演:ピーター・セラーズ、シャーリー・マクレーン、社会から隔絶されて無学のまま育った庭師チャンスが、経済界の大物で政治の黒幕の男と知り合い、チャンスの発する何でもない言葉が政治的な発言と受け止められ大統領候補になるという不思議なコメディー。白黒映画の中で若い令嬢のシャーリー・マクレーンがチャンスに惹かれていく姿が美しい。★★★☆☆
「The Face of Love」2013、監督:アリエ・プーシン、出演:アネット・べニング、エド・ハリス、ロビン・ウィリアムス、事故で亡くなった最愛の夫とうり二つの男と出会い惹かれていくという日常に非日常を持ち込んだ韓国ドラマのような映画。死んだ父親そっくりの男が母親に寄り添うのを見て娘が猛反発するのは当たり前で、面影だけではうまくいかないのも無理はない。★★☆☆☆
「ブダペストグランドホテル」2014、監督ウェス・アンダーソン、出演:ラルフ・フィーネス、マレイ・アブラハム、ウィレム・デフォー、ジュード・ロー、ビル・マレー、グランドブダペストホテルの有名なマネージャーとベルボーイの冒険。豪華配役かつ興味をひく設定なのになぜか全く面白くなかったのは脚本の所為か?★☆☆☆☆
「World War Z」2013、監督:マーク・アルスター、出演:ブラッド・ピット、ウィルス感染でゾンビになっていく人類を止めるために戦う。ゾンビ映画に興味はない。★☆☆☆☆
「Divergent」2014、監督:ニール・バーガー、出演:シャイリーン・ウッドレイ、テオ・ジェイムズ、ケイト・ウィンスレット 「In Time タイム」や「ハンガーゲーム」のような階級社会を背景にしたSF映画。この手の映画が多いのは較差が指摘されている現代社会を反映しているのだろうか。★★★☆☆
「アナと雪の女王」2013、日本語版で観た。松たか子の歌う「Let It Go」は素晴らしかった。★★★☆☆
「塔の上のラプンツェル」2010、こっちは「アナと雪の女王」ほどではなかったが退屈はしなかった。★★☆☆☆
「Winter's Tale、邦題:ニューヨーク冬物語」2014、監督:アキヴァ・ゴールズマン、出演:コリン・ファレル、ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ、ラッセル・クロウ、昔観た「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイアー」のような感じの時空を超えた男と悪魔の手先の闘いの話で、おとぎ話というにはとびすぎてる。空駆ける白いペガサスが印象的だった。★★☆☆☆
「A Walk in the Clouds、邦題:雲の上で散歩」1995、監督:アルフォンソ・アラウ、出演:キアヌ・リーブス、アイタナ・サンチェス・ギジョン、アンソニー・クィン、たまたま出会った子供を宿した大農園の令嬢の夫を演じるうちにお互いが惹かれ合うようになる。とんでもなく人のいいキアヌ・リーブスがかっこ良すぎる。メキシコのぶどう農園が舞台で、チャールトン・ヘストンとエリノア・パーカーの「黒い絨毯」を思い出した。祖父役アンソニー・クィン(「道」、「アラビアのロレンス」、「ナバロンの要塞」、「サンタヴィットリアの秘密」)を久しぶりに見たが相変わらずいい風貌をしている。★★★☆☆
「Labor Day、邦題:とらわれて夏」2013、出演:ケイト・ウィンスレット、ジョシュ・ブローリン、妻殺しで服役していた男が刑務所を脱獄し、近所の母子の住む家に逃れてくる。男手のない家で壊れ物を治したり、息子にキャッチボールを教えたりするうちに母子ともに男に惹かれていく。しかし、そんなことが長続きするはずもなく1週間後、男は再逮捕され30年の刑を受け服役する。息子は大きくなり高校では野球で活躍し、その後結婚し男に教わったパイの店を経営する。そして何年かのちに男が出獄するという連絡が入る。わずか数日の出会いと触れ合いが人生に深くかかわってくる。★★★☆☆