写真家本城直季流の上の写真は、マニラのSofitelホテルの部屋から撮った。ヤシの木を配したプールは南国リゾート気分が満喫できるつくりになっている。当方は仕事で行ったので、プールではしゃぐ親子を横目で見ながらプールを一回りしリゾート気分を少しだけわけてもらった。
ヤシの木(Coconut)は南国には欠かせない風景である。下の写真は先週仕事で行ったミンダナオの村で背後にはヤシの木が群生している。村人が器用に木を登り実を落としてくれた。ヤシの幹には一定間隔に切れ目が彫ってあり、いつでも人が登りヤシの実を採ることができる。ヤシの実の殻をナタでざくっと切って開けた穴からジュースをがぶがぶっと飲んだ。熱帯の炎天下で仕事をしたあとのココナッツジュースはほのかに甘さがあって疲れを癒してくれる。贅沢を言えば、以前マレーシアの田舎の露店で飲んだヤシの実の中に氷を放りこんだココナッツジュースなら、なおいい。飲み終わったら次は穴を大きくして実の内側にへばりついているやや透明で白い果肉をヘラでこそぎ落として食べる。若いココナッツの果肉は軟らかくてうっすらと甘いが、古くなると固くなっておいしくない。
商業的にココナッツは、その果汁から食用のジュース、ココナッツミルクやヤシ油がとれる。20年ほど前大流行したナタデココも果汁からつくる。医薬品や美容品にも加工されている。葉は編んで入れ物にしたり、実の殻は燃料や活性炭になり、繊維部分からはロープも作れる。幹は家や橋の材料として使われ、根は歯ブラシに使うらしい。とにかくヤシは捨てるところがないと言われるほどに有用なのである。フィリピンは世界最大のヤシの木の産地で、中でもミンダナオには多くのヤシ園がある。生産量2位はインドネシアだということだ。1か月ほど前にシンガポールからインドネシアのバタム経由でスピードボートで行ったスマトラのヤシのプランテーションは大湿地帯に建設され、プランテーションで6000人、ジュースや殻の加工工場で4000人が働いているということだった。この工場で缶詰にされたココナッツジュース(http://www.sambugroup.com/)は世界中で販売されている。
昔二女がシンガポールで生まれたとき窓の外をふっと見やるとヤシの木が風に揺れていたので、ヤシにちなんだ名前を付けた。シャレで付けた名前を本人がどう思っているか確かめたことはない。