備忘録として

タイトルのまま

KANO

2014-09-15 13:10:11 | 映画

「KANO」2014、監督:ウミン・ボーヤ、出演:永瀬正敏、坂井真紀、曹佑寧、 大沢たかお、1931年日本統治下の台湾にある嘉義農林野球部は中華系と原住民の台湾人と日本人の混成チームで弱小だったが、松山商業から来た近藤監督によって強くなり甲子園に出場し準優勝する。史実に基づいた映画で、台湾で大ヒットし、今夏の甲子園に台湾からのツーリストが大勢訪れたという記事を以前読んでいた。日本ではまだ公開されていないが、インド行きSQ機中映画にあったのでさっそく観た。セリフは時代を反映し台湾人にたどたどしい日本語をしゃべらせ、台湾の農園風景、街並みのセットや甲子園のCGが時代の雰囲気をよく出していた。選手と指導者がスポーツにひたむきに取り組む姿勢は支配者・被支配者という関係を超克する力をもっているのだ。息子が中学1年のとき1度台湾に野球遠征に同行したことがある。また、シンガポールで開いていた少年野球大会に毎年台湾チームを迎えていた。息子のチームと対戦したいずれのチームもよく鍛えられていて強かった。台湾には100年近い野球の伝統があったからだと納得した。★★★★☆

「Grace of Monaco」2014、監督:オリビエ・ダーハン、出演:ニコール・キッドマン、ティム・ロス、モナコ公国はフランスから税金を納めろという圧力を受け、従わなければ経済制裁や国を統合されるという危機を迎える。国内でも大公を廃嫡しようとする陰謀が渦巻くが、グレースは世界を味方につけ大公を助けモナコを救う。この映画の制作に際し、グレース・ケリーの3人の子供たちは多くの部分が史実ではないと異論を唱えたが無視された。どこまで史実なのかわからないが、映画で悪者に描かれたフランス大統領ドゴールという名が懐かしい。ヒッチコックのそっくりさんも出てくる。最初は、グレース・ケリー役のニコール・キッドマンに違和感を覚えたが映画を観賞するうちに彼女でいいんだと思うようになったのは、ニコール・キッドマンがうまく役作りしていたということと、彼女にもともと備わっている気品だったかもしれない。少しニコール・キッドマンを誉めすぎたかも。

さて、下の写真はどっちがGrace KellyでどっちがNicole Kidmanでしょうか。簡単すぎるか。

左:http://iheartgracekelly.tumblr.com/より拝借、右:IMDbより

史実のグレース・ケリーは1956年27歳のときに映画界を引退しモナコ大公と結婚する。生涯で11本の映画に出て、うち3本がヒッチコック作品である。映画はヒッチコックが結婚引退しモナコに住むグレースのもとを訪れ、映画「Marnie」へ出演依頼するところから始まる。私の観たグレース・ケリーの出る映画は「真昼の決闘」、「モガンボ」、「裏窓」、「ダイアルMを廻せ」の4本である。若き日に観た「真昼の決闘」でのグレース・ケリーの可憐さに衝撃を受けたことを今も鮮明に覚えている。1982年にモナコの急カーブの坂道で自分の運転する車がガードレールに激突し事故死する。52歳だった。映画では、グレース・ケリーがスポーツ・カーを猛スピードで走らせ、あわや歩行者を轢きそうになる場面が出てくる。ヒッチコックにはほど遠いが、映画はサスペンス仕掛けになっていてどんでん返しも用意されている。★★★★☆

「Dial M for Murder」1954、監督:アルフレッド・ヒッチコック、出演:グレース・ケリー、レイ・ミランド、フレドリック・ノット、上の映画のあと続けて観た。妻の不倫を許せない夫は、ある男の弱みを握り妻の殺人を依頼する。しかし、男は妻に反撃され死んでしまう。正当防衛だった妻は夫の策略で殺人者に仕立てられ死刑の判決を受ける。夫の態度に疑問を持った愛人と刑事が夫のトリックを見破っていく。グレース・ケリーはここでも美しい。★★★☆☆

「Transcendence」2014、監督:ウォリー・フィスター、出演:ジョニー・デップ、レベッカ・ホール、モーガン・フリーマン、科学者が死に臨み自分の意識をコンピューターのAI上にアップロードするが、そのうちネットを支配しDNAまで制御し人間を支配するようになる。疑問を持った科学者の妻はAIの夫を止めようとする。「her」のSpinOffのような映画である。★★☆☆☆

「X-men:Days of Future Past」2014、監督:ブライアン・シンガー、出演:パトリック・スチュアート、イアン・マッケレン、ヒュー・ジャックマン、ジェイムズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ハル・ベリー、過去のX-menシリーズの出演者が揃う豪華版。X-menミュータントたちは特殊ロボットの襲撃を受け絶滅の危機に陥る。状況を打破しようと過去にウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)を送り込み遡ってロボットを開発した科学者を暗殺しようとする。これは「ターミネーター」と同じ設定だ。ニクソン大統領のそっくりさんが出てくるのが笑える。ウルヴァリンの影が薄いのは手からかぎ爪が出るだけという特殊能力が地味だからか。前回「ウルヴァリン・サムライ」の星ゼロが頭をよぎったが、これまで本シリーズを観てきた責任上鑑賞した。★★☆☆☆

「Blended」2014、監督:フランク・コラチ、出演:アダム・サンドラー、ドリュー・バリモア、ばついち子持ちの男女が最悪の出会いから偶然リゾート地で出会い子供とのふれあいから相手を認めていくという主役二人おハコのロマンチックコメディー。いつものように気楽に観る映画として面白かった。★★★☆☆

「The Other Woman」2014、監督:ニック・キャサベテス、出演:キャメロン・ディアズ、レスリー・マン、三又不倫の男の妻と愛人二人がタッグを組んで男を懲らしめるコメディー。 ★☆☆☆☆

「Captain America:The Winter Soldier」2014、監督:アンソニー・ロッソ、出演:クリス・エバンス、サミュエる・J・ジャクソン、スカーレット・ヨハンセン、がっかりするのがわかっているのに観た自分が悪い。★☆☆☆☆


インド・デリー

2014-09-14 14:34:21 | 

ブッダに興味を持ってからずっと気になっているインドに先週行った。たまたま仕事が入ったためで、デリーの雑然とした街並みとそこに住む人の多さに圧倒された。それでも郊外は田んぼ、サトウキビ畑、とうもろこし畑や果樹園が延々と続き、写真で見たブッダの世界が実感できた。

残念ながらデリー周辺には仏跡やアショカ王の遺跡はなかったので、仕事の合間に誘われるまま世界遺産だというクトゥブ・ミナール(Qutb Minar)とフマユン廟(Humayun Tomb)を見に行った。いずれもイスラム教の遺跡で、イスラム遺跡はデリー周辺に集中している。予備知識がまったくない状況で遺跡を見て回ったが、Qutb Minarの塔は巨大で圧倒的だった。高さ72.5m、基部直径14.3mの巨大な塔は赤い砂岩でできていた。建設工事は1192年にスルタンのQutb-ud-din Aibakによって開始され、後継者が引き継ぎ、完成したのは1368年である。日本では、鎌倉幕府が始まり、滅び、室町幕府が起こり、足利義満が3代目の征夷大将軍になるまでの期間である。この塔を建てた王朝は奴隷王朝(Slave Dinasty)あるいはマムルーク・イスラム王朝と呼ばれ、デリー周辺、北インドを支配するイスラム王朝である。

 Qutb Minarと鉄柱

 

左:絵やコーランで装飾されたQutb Minar塔の表面 右:敷地内にある建設途中で放棄されたAlai Minar

写真右のAlai Minarは、14世紀初頭のサルタンがQutb Minarの2倍の高さになるように計画し建設を始めたが、サルタンの死によって建設は中止された。Alai Minarの基部の直径はQutb Minarの倍ほどもある。Alai Minarは石積みのQutb Minarとは異なり、石の間を煉瓦のもとになる粘土で埋める練り石積みのように見えた。Qutb Minarは砂岩が十分な強度を持つので高さ72.5mでも十分屹立すると想像できるが、Alai Minarが見たままの練り石積みだとしたら、強度が足りずQutb Minarの2倍の高さ(140m)に耐えることなど到底無理だと思う。何か練り石積みの強度を増す秘密があったのかもしれないが。 

最上写真Qutb Minar塔の手前に見える細い塔は鉄柱で、日本語Wikiでは”アショカ王の柱のひとつ”と断定しているが、英語版Wikiにはそんなことは一言も書いていない。英語版Wikiでは、400年ごろグプタ王朝のチャンドラグプタ2世が建てた塔で、奴隷王朝による周辺地域の征服を記念し他の場所にあったものをここに移したとする。高さは約7mで表面に何やら文字が彫ってあった。1600年以上を経た鉄が雨風にさらされながらも腐食が進んでいないので、オーパーツとされる。

下は、別の世界遺産フマユン廟(Humayun Tomb)で、16~18世紀のムガール帝国2代目皇帝Humayunのお墓であり、赤い砂岩と大理石でできている。この廟は後代に建設されたタージマハールに影響を与えたとされ、屋根のドームなどが修復されればより壮麗になると想像できる。クトゥブ・ミナールもフマユン廟も入場料は同じで外国人は250ルピー(500円弱)だったが、地元民はわずかに10ルピー(20円弱)だった。遺跡には大勢の子供たちが訪れていたので外国人と地元民を区別する価格設定に疑問を持たなかった。

今回のインド訪問で、クシナガラやブッダガヤなどの仏跡に行きたいという気持ちがさらに高まった。