先々週、帰国の合間にWOWWOWでロビンフッド最新作を観た。前回、演技派女優のエレナ・ボナム・カーターのことを書いたので、マリアン役のケイト・ブランシェットのことを書いておかなければ片手落ちになる。
ケイト・ブランシェットの前に、”ロビンフッド”のことを少々語る。ロビンフッドとの出会いについては以前書いたように、絵本以外で読んだ我が記憶に残る最古の本である。小学校の図書館でこの本を選んだのは、おそらく弓矢を手にしたロビンフッドの挿絵に魅かれてのことだと思う。家が客商売をしていた所為で両親ともに忙しく学校から帰るとすぐカバンを放り出して友達と遊びに出かけ、夕方暗くなって家に帰るのが常だった。だからその年齢まで本など読んだことがなかった。家が徳島随一の繁華街だった東新町の近くだったので、アーケードの下で夜遅くまで遊び呆け、両親が警察に捜査願いを出したとか出すつもりだったという事件もあった(これは自分に対する脅しだったと思うが確かめてないので真相はわからない)。そのときのロビンフッドとの出会いが強烈だった証拠に、すぐに竹で弓矢を作り悪ガキ仲間とロビンフッドごっこをして遊んでいるのである。遊び仲間にお前はリトルジョンだとかタック和尚だとか指名し、シャーウッドの森と称する眉山の一画で木登りや棲家を作って遊んだ。彼らは何のことか皆目わからないままロビンフッドの言うことを聞いていたはずだ。その後、アーサー王物語やニューベルンゲンの歌やローランの歌や十字軍などの騎士道話を好んで読み、中学に入るころには冒険ものとSFの虜になっていた。これらエンターテインメントから次の文学に触れるようになのは、さらに高校で文学好き、哲学好き、政治好きな様々な級友から影響を受けるまで待たなければならなかった。考えてみると、読書に縁がなかった自分にとって、ロビンフッドとの出会いは人生の転機だったような気がする。
映画の”ロビン・フッド”は、ショーン・コネリーとケビン・コスナーと今回のラッセル・クロウの3作を観ている。ショーンコネリー版はマリアンがオードリーヘップバーンだった。ケビン・コスナー版にはモーガン・フリーマンとノッチンガムの悪代官役にダイ・ハードの悪役で売出したアラン・リックマン(ハリーポッターのスネイプ先生)が出ていた。マリアン役は、マリア・エリザベス・マストラントニオという長い名前の女優だった。
”ロビン・フッド”2010、監督:リドリー・スコット、出演:ラッセル・クロウ、ケイト・ブランシェット、マックス・フォン・シドー。Outlawとして活躍を描いた前作とは異なり、この映画では、なぜロビン・フッドはOutlawになったか、ジョン王とマグナカルタ大憲章のいきさつなどが語られる。内容の一部がケイト・ブランシェットの代表作である”エイザベス”に被る上、特筆すべきものはなく、ロビンフッドの逸話や史実がどのように脚色されたかの興味だけで見終った。人生の転機となった出会いだったことに気付かせてくれたことと、ケイト・ブランシェットに敬意を表して、★★★☆☆
さて、前回に続き、ケイト・ブランシェットの写真をIMDbから拝借する。下の作品以外では、”The Aviator"でのキャサリン・ヘップバーン役、”The Shipping News"の出てきたと思ったらすぐに交通事故死するめちゃくちゃな妻役、”Babel”の流れ弾に当たる妻を観ている。ケイト・ブランシェットは、威厳があって近付き難い。ハリウッド女優に近付けるはずもないのだが。
"Elizabeth the Golden Age"の孤高の女王
”インディー・ジョーンズ4”の偏執なソ連の隊長
”ロードオブザリング”のImmortalな妖精の女王
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