一昨日2012年12月21日はマヤ暦によるとDoomsday(最後の審判の日)だったらしいが、何事もなく過ぎ、世界が滅びなくて良かった。
終末論には、仏教の末法思想、キリスト教の千年王国、ノストラダムスの大予言、野馬台詩などがあり下に列挙した。映画、SFや漫画にも終末論は多数あるがそれらには言及しない。
- 末法思想は、シャカ立教から2000年で仏法が行われない日が来ることをいう。この世の終わりではないのだが、平安時代の末期には終焉に結びつける思想が流行した。仏教の空の論理では断滅はない(不断)ので仏教に終末はありえない。
- キリスト教の千年王国にも異説はあるが、主たるものはキリストが再臨しハルマゲドン(Armageddon)が起こりサタンを滅ぼしたあと神が直接統治する至福の1000年が始まるとするものである。ハルマゲドンは戦争を終わらせる最後の戦争である。ハルマゲドンとは全く違うが関東軍参謀だった石原莞爾は1940年ころの世界情勢から日本を中心とする東亜連盟とアメリカ中心の西洋の間の世界最終戦論を考えた。
- 16世紀の預言者ノストラダムスの1999年7月に”空から大王が来る”という予言が、世紀末だったので終末論に結び付けられた。1999年はシンガポールにいた。関連本は相当売れたようだったけど、コンピューターの2000年問題のほうが重大だった。オーム真理教は1999年に世界の終末が来るのでハルマゲドンを始めたらしい。オームは基本チベット仏教だと思っていたがキリスト教も取り入れていたのだろうか。
- 吉備真備が解読した野馬台詩は、”東海姫氏国”(日本のこと)から始まり、最後は”百王が尽きて、ーーー、大地は荒れ果て世界は無に帰す”となり、天皇は100代で尽き世界は終わるとする。第100代は14世紀の後小松天皇である。今日は天皇誕生日で今上天皇は第125代となる。野馬台詩は江戸時代には面白おかしく取り上げられパロディー本なども書かれたが、基本的に偽書とされている。
- マヤ暦の終末論は、マヤの長期暦が2012年12月21日で終ることをもって終末論とするものである。原因は、Nibiruという3600年周期で太陽を回る惑星(?)が衝突するというものと、地球がフォトンベルトに突入し天変地異が起きるというものが主なものである。NASAは早くからそれを否定している。Nibiruは古代バビロンやシュメールの神話に出てくるらしい。フォトンベルトは科学的な裏付けのない”光子の束”でキリスト教のニューエイジを唱える人々が提唱する。ニューエイジは千年王国の次に来る時代をさす。
- 宇宙物理学での宇宙の終焉にはいくつか説があり、宇宙はこのまま膨張を続け熱的死を迎えるというもの、宇宙はやがて収縮が始まりビッグバンとは逆の究極的収縮ビッグクランチを迎えるというもの、ビッグバンとビッグクランチが繰り返され終焉はないという説もある。
- 地球の終焉でもっともよく語られるのが小惑星の衝突で、1910年のハレーすい星の接近時には彗星の有毒ガスに包まれて地球上の生物は死滅するという噂が流れたらしい。6500万年前の隕石の衝突(偶然だがマヤ文明のユカタン半島に落ちた)で恐竜が絶滅したように小惑星衝突の可能性は否定できない。それがなくても数十億年後のことだが、いずれプレート運動が停止して海水が無くなり火星のようになるか、膨張する太陽にのみ込まれて終焉を迎える。
- 人為的な世界の終焉には、世界戦争、放射能汚染、環境破壊、宇宙人の襲撃、ウィルスなどがあり地球は終焉リスクを数多く抱えている。宇宙人の襲撃はSFやマンガの話ではなくNASAが発表したという記事を読んだが、NASAのWeb-siteでは確認できなかった。宇宙人の襲撃理由は地球の環境破壊が宇宙の環境に影響することを看過できなくなることにあるという。そういえば映画”地球の静止する日”の宇宙人の襲撃理由は好戦的な人類に宇宙の平和を乱すなと警告することだった。
中国の杞の国の人は空が落ちてくるのではないかと心配したが列子は起きるかどうかわからないことを心配しても仕方がないとたしなめた。ブッダは現実主義者で、議論しても結論のでないこのような問題には答えなかった。同じく現実主義者の孔子も同様だったと思われる。ただし世界戦争や放射能汚染を含む地球環境は人類の対処次第なので、これが原因で地球の終焉を迎えるような愚かなことにならなければと思う。
下(wikiより)はマヤ暦の始まりである紀元前3114年8月11日を示すマヤ文字(数字)。映画”2012”はテレビで放映していたのを見始めたが特撮CGばかりで疲れたので途中で放棄した。(IMDbより)
参考:マヤ暦
- 1 Kin=1日
- 1 Winal=20 Kin=20日
- 1 Tun=18 Winal=360日=1年
- 1 Katun=20 Tun=7,200日=20年
- 1 Baktun=20 Katun=144,000日=394年
- 1 Piktun=20 Baktun=2,880,000日=7,885年
- 1 Kalabtun=20 Piktun=57,600,000日=157,704年
- 1 Kinchiltun=20 Kalabtun=約316万年
- 1 Alautun=20 Kinchiltun=約6,300万年
紀元前3114年に始まったマヤ暦ではまだ1Piktunにさえ達していない。2012年12月21日は単に394年ごとに廻ってくるBaktunの節目に相当するだけで特別な意味は認められない。マヤ暦のスケールの大きさは6300万年サイクルまでも記す。不思議なことにマヤ暦の最大サイクル1Alautunは6,500万年前の恐竜絶滅とほぼ一致している。やはり、マヤ暦は何かの終焉を予告しているのか。マヤ文明の研究者であるSandra Nobleさんは、終末説はまったくの作り話で金儲けのネタに使われていると批判している(wikiMayaCalendar)。 CNNニュースはマヤの人々は誰も終末説を信じてはおらず暦の1サイクルが終わり新しいサイクルが始まることを祝っていると伝える。